ものづくりから、事務・介護サービス・プログラミングまで時代に即した職業訓練が人気を集めています。経済的支援や子育て支援を受けながら技能や技術を習得でき、修了後は就職支援も受けられるためです。
職業訓練校の運営主体は3つあり、訓練コースの内容も異なることをご存知でしょうか?今回は職業訓練校の概要や活用するメリット、ハローワークから入校までの流れをご紹介します。
職業訓練校とは
職業訓練校とは、公的職業訓練を受講できる機関です。近年ではハロートレーニングという愛称で呼ばれ、受講できる内容は幅広く、雇用保険の給付金を受けながら技能や技術を習得できるため注目されています。
ここでは職業訓練校を活用するメリットやその種類について見ていきましょう。
職業訓練校を活用するメリット
職業訓練校の活用は「経験やスキルがない」とお悩みの方や「即戦力として活躍できる専門的な技能・技術を習得したい」という方におすすめです。ハローワークから紹介を受けて職業訓練校を活用すると、次のようなメリットがあります。
- 雇用保険(以下、失業保険)の「基本手当」「受講手当」「通所手当」などをもらいながら職業訓練を受けられる
- 原則、求職者は無料でトレーニングを受けられる
- 手厚い就職支援を受けられる
- 託児サービス付きの訓練コースも選べる
- 仲間と一緒なので孤独にならず生活リズムも整う
失業保険の基本手当は、被保険者であった期間に応じて90日・120日・150日などと定められています。しかしハローワークの所長から職業訓練の受講を「指示」された場合には、訓練が終了するまで給付期間が延長されるので知っておきましょう。
中には座学や実習といった職業訓練校でのトレーニングに加え、企業での職場実習を体験できるコースもあります。訓練期間中は金銭的な負担を気にせずに子どもを預かってもらえる託児サービス付きの職業訓練は、手に職をつけたい女性に人気です。
また再就職に向けて、コース担任や就職相談員がきめ細かな就職支援を行ってくれます。職業訓練校は、手厚いサポートを受けながら再就職を目指したい方にぴったりといえるでしょう。
職業訓練校の種類
ハローワークで求職中に、雇用保険の給付を受けている方が利用できる職業訓練校の種類は以下の3つです。
運営主体 | 職業訓練校の名称 | 職業訓練コースの概要 |
国 | ポリテクセンター(職業能力開発促進)センター | ・スケールメリットを活かし、主にものづくり分野の高度な訓練 |
都道府県 | ・職業能力開発校 ・都立職業能力開発センターなど都道府県ごとに名称が異なる | ・地域の産業が抱えるニーズに応じた多様な訓練 |
都道府県から委託された民間 | ・民間事業ごとに名称が異なる | ・事務系、介護系、情報系など |
運営主体ごとに特色のある職業訓練コースが提供されているので、職業訓練校を検討する際の参考にしてみてください。
【ポリテクセンターとの比較はこちら】
職業訓練校のうち、特に有名なものにポリテクセンターがあります。ポリテクセンターと職業訓練校の細かな違いについては以下の記事で解説しています。
職業訓練(ハロートレーニング)の種類
公的な職業訓練(ハロートレーニング)には、以下の2種類の訓練があります。
- 公共職業訓練
- 求職者支援訓練
大きな違いは対象者です。失業保険の基本手当(雇用保険の給付金)を受給しているか、受給できないかで受けられる職業訓練が次のとおり異なります。
職業訓練の種類 | 失業保険 |
公共職業訓練 | あり |
求職者支援訓練 | なし |
公共職業訓練も求職者支援訓練も仕事を探している人を対象にしていることから、訓練にかかる費用は基本的に無料です。働く意欲がある人が対象ですが、申し込みにはハローワークから訓練の必要性などを認められる必要があります。
ここでは、それぞれの職業訓練についてその概要を見ていきましょう。
失業保険「あり」の方が対象の公共職業訓練
公共職業訓練は、主に失業保険を受給中の「離職者向け」に実施されています。受講期間中に受給できる失業保険の給付金は以下のとおりです。
- 基本手当
- 受講手当
- 通所手当
ほかにも「在職者向け」「学卒者向け」「障害者向け」があり、学卒者や在職者もスキルアップのために公共職業訓練を利用可能です。ただし学卒者と在職者を対象とする職業訓練の受講料は、有料となります。
対象者別の公共職業訓練の概要は、次のとおりです。
対象 | 受講料 | 訓練期間 | 実施主体 |
離職者 | 無料(テキスト代は有料) | 概ね3か月〜2年 | 国、都道府県、民間教育訓練機関など |
在職者 | 有料 | 概ね2〜5日 | 国、都道府県 |
学卒者 | 有料 | 1年または2年 | 国、都道府県 |
障害者 | 無料 | 概ね3か月〜2年 | 国、都道府県、民間教育訓練機関など |
再就職を目指す方は、訓練終了まで失業保険を給付しながら、最長で2年もの訓練を無料で受講できる可能性がポイントです。これは「訓練延長給付」と呼ばれており、失業保険の基本手当が継続して支給されるので職業訓練に専念できます。
実際に失業保険の所定給付日数が短い人も、職業訓練を受けることで給付日数を増やすことが可能です。ただし訓練延長給付を受けるためには、ハローワーク所長の指示などさまざまな条件があるため、簡単ではありません。
失業保険「なし」の方が対象の求職者支援訓練
求職者支援訓練は、失業保険を受給できない次のような方を対象としています。
- フリーランス
- 自営業
- 主婦
- 就職先が未定のまま学校を卒業した方などで就職を希望する方
訓練期間は2〜6か月で、民間教育訓練期間などで介護系・情報系・医療事務系などの訓練コースを受講可能です。
なお、失業保険を受給できない代わりに、一定の要件を満たす方には次のような給付金が用意されています。
- 月額10万円の職業訓練受講給付金
- 通所手当
一定の要件とは以下の7つです。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在の住まい以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に給付金を受給しながら訓練を受講中の人がいない
- 過去3年以内に、不正に給付金の支給を受けたことがない
ハローワーク経由で職業訓練校へ入校するまでの流れ
ここではハローワークの概要や、職業訓練校へ入校するまでの流れをご紹介します。
そもそもハローワークとは
ハローワークとは「職業紹介」「雇用保険」「雇用対策」の業務を実施する、国が無償で支援する雇用のセーフティーネットです。特に近年増加している就職困難者への就職支援も実施して効果をあげています。
ハローワークの主な求職者向けサービスは次のとおりです。
- キャリアコンサルティング
- 全国ネットワークを活用した職業紹介
- 職業訓練の受講案内
職業訓練校を受験する条件
受講料無料の公的な職業訓練に申し込むためには、まずハローワークで求職登録と訓練受講相談をします。相談を受ける中で、ハローワークが求職者に以下の点を認めることが受験を申し込む条件です。
- 訓練を受講することが適職につくために必要
- 訓練を受けるために必要な能力などがある
つまりハローワークから受講指示あるいは推薦を受けられる方が、職業訓練校の選考試験を受験できます。ハローワークで訓練受講相談をするときは、気持ちの良い応対を心がけましょう。
なおハローワークは早期再就職を促進していることから、失業保険の基本手当の残日数が1/3以下の方は基本的に申し込めません。また過去1年以内に職業訓練を受けられた方も基本的に対象外です。
職業訓練校へ入校する流れ
ここでは、ハローワークで求職登録と訓練受講相談をしてから職業訓練校へ入校するまでの流れを見ていきましょう。
- 訓練校とコースを選ぶ
- 職業訓練ガイダンスや訓練コース説明会に参加
- 受講手続き(ハローワークと職業訓練校)
- 職業訓練校にて面接・筆記試験を受験
- 選考結果通知
なお希望する職業訓練校やコースを見つけ、ガイダンスや説明会に参加してからハローワークで求職登録や訓練受講相談をしても構いません。
1. 訓練校とコースを選ぶ
職業訓練校の情報は、都道府県のサイトやハロートレーニング関連のサイトで確認できます。ハローワークの掲示板やパンフレットなどでも確認できるので、しっかり情報収集するようにしましょう。
ハローワークでは、職業訓練校やコースの選び方について相談も可能なのでアドバイスを聞くのも1つの方法です。
2. 職業訓練ガイダンスや訓練コース説明会に参加
職業訓練校の施設を見学できる場合は、チャンスをぜひ活かして、応募前に足を運びチェックするようにしましょう。実際の訓練の様子や、通いやすい場所にあるか、どの程度の訓練期間かも合わせて確認することが大切です。
修了するまで通い続けられる環境かどうか、職業訓練校の雰囲気を自分で確かめるようにしてください。
3. 受講手続き(ハローワークと職業訓練校)
受講訓練申込書を記入したらハローワークで誤りや漏れなどがないか確認を取ってください。その後、受験する職業訓練校へ提出します。職業訓練校によっては、面接補助シートや確認書なども合わせて提出することがあるので漏れのないように注意してください。
4. 職業訓練校にて面接・筆記試験を受験
受験する職業訓練校によって選考試験の内容は異なります。国が運営する人気のポリテクセンターを希望する方は、面接と筆記試験の対策が必要です。人気の訓練コースはどうしても倍率が高くなるので、受験対策をするようにしましょう。
5. 選考結果通知
訓練実施機関の選考試験に合格したら、ハローワークから「受講あっせん(指示)」を受けて、職業訓練校へ入校という流れとなります。
職業訓練校の選考試験とは
職業訓練校で実施される選考試験の出題科目は、それぞれの訓練校や都道府県によって異なります。概ね「国語」と「数学」が出題されますが、まれに一般知識が出題されるケースもあるので注意が必要です。解答形式も選択式や記述式があります。
せっかく迎えた受験日に、対策不足で持ち時間をうまく使えず、実力を発揮できなかった…そのような後悔をしないためにも「職業訓練試験サクセス」で効率よく対策するのがおすすめです。
受験者の試験結果が合格ラインに達しなければ、応募が定員に満たなくても合格させることはありません。そこで合格ラインを狙うためには、事前の受験対策が必須といえます。
「職業訓練試験サクセス」は、各職業訓練校の出題傾向をおさえた予想問題集です。解答だけでなく解き方もていねいに解説されているので、「勉強は久しぶり」という方もどんどん対策できます。
しっかり対策をして人気の職業訓練校合格を目指そう
職業訓練校では、経済的な支援を受けながら再就職を目指す方が無料あるいは格安で技能や技術を習得できます。時代に即した、企業が即戦力として期待する分野で技能や技術を身につけられるので、大変人気です。
訓練修了者には手厚い就職支援も行われることから、職業訓練は非常に魅力的な制度といえるでしょう。ハローワークで職業訓練が必要だと認められたら、チャンスを手にするためにも、事前対策は「職業訓練試験サクセス」にお任せください。
筆記試験対策だけでなく、面接や願書の書き方まで徹底して対策できます。希望する職業訓練校別に効率よく対策できるので、忙しい方にもおすすめです。