ポリテクセンターでは何を学べるの?他の職業訓練校との違いを解説

技術を習得・異業種への転職 女性も歓迎!

↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓

ハローワークが紹介する職業訓練は、さまざまな訓練所で実施されています。なかでも「目指せ!ものづくり女子」や「日本版デュアルシステム」を掲げ、公共職業訓練を実施するポリテクセンターをご存知でしょうか?

ポリテクセンターと職業能力開発センターなどの職業訓練校は同じ立ち位置ではありません。今回はポリテクセンターの概要やその立ち位置、実施されている職業訓練コースについてご紹介します。

ポリテクセンター(職業能力開発促進センター)とは

同僚とリストをチェックする

ポリテクセンター(職業能力開発促進センター)は「ものづくり分野」を中心に、国が担う公共職業訓練を実施する施設です。

機械・電気・電子などの分野が充実しており、「独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構(高障求機構)」が運営しています。

ポリテクセンターが実施する職業訓練と設置数

ポリテクセンターで実施されている職業訓練は、以下の2つです。

  • 再就職を支援するための離職者訓練
  • 中小企業などで働く人を対象にした高度な在職者訓練

より高度なものづくりを支える人材育成を担うポリテクカレッジ(職業能力開発大学校・短期大学校)もあります。いずれの修了者も地域のものづくり産業から高く評価されており、高い就職率を誇っているのが特徴です。

ポリテクセンターは東京都以外の全国46道府県に合計63か所(令和3年4月現在)設置されています。

ポリテクセンターには女性の受講生も多い

ポリテクセンターでは「目指せ!ものづくり女子」を掲げていることから、ものづくり分野で離職者訓練を受ける女性は増えています。令和元年度の女性受講生の数や就職率は、以下のとおりです。

令和元年度(2019年)女性受講生の動向指標
受講生の人数(全国)5,400名
就職率88%

ものづくりの現場では、男性よりも女性のほうが向いている仕事があります。ポリテクセンターでの実習は少人数制で、女性も問題なく取り組める内容です。

小学校就学前の子どもがいる方もポリテクセンターを活用できる「託児サービス付き職業訓練」もあります。そのため待機児童を抱える方でも、ポリテクセンターで職業訓練を受けて就職活動をすることが可能です。

ポリテクセンターと他の職業訓練校の違い

建築中の家

ここでは、ポリテクセンターと他の職業訓練校との違いを詳しく見ていきましょう。

職業訓練校としてのポリテクセンターの立ち位置

ハローワークが紹介する公共職業訓練は、「国(高障求機構)」「都道府県」「民間」の3つで以下の役割分担があります。費用はテキスト代などを除き基本的に無料で、訓練期間は概ね3か月~2年です。

対象

運営主体

機関

役割

ハローワークの求職者:

主に雇用保険受給者

(高障求機構)

ポリテクセンター

(職業能力開発促進センター)

ものづくり分野の高度な訓練

・金属加工科

・住環境計画科など

都道府県

職業能力開発校

地域の産業ニーズに応じた訓練

民間

都道府県からの委託された教育訓練機関など

モデルカリキュラムなどの訓練

・事務系

・介護系

・情報系など

民間では実施しづらいものづくり分野の高度な訓練を、国というスケールメリットを活かして担っているのがポリテクセンターです。雇用保険を受給しているハローワーク求職者を対象にしていることから、受講期間中は以下の手当が支給されます。

  • 基本手当
  • 受講手当(500円 × 訓練日)
  • 通所手当
  • 寄宿手当

なお上述の役割分担は、「職業能力開発促進法」の第16条および第25条に定められています。また職業訓練は、学校教育法が定める学校教育とは制度的に異なる扱いです。

職業能力開発センターとは

ポリテクセンターは職業能力開発促進センターのことですが、よく似た名前に職業能力開発センターがあります。

職業能力開発センターとは、職業能力開発促進法に基づき都道府県が設置する職業能力開発校です。東京都や埼玉県でこの名称が使われていますが、各都道府県によって呼称が異なるのでチェックすると良いでしょう。

ポリテクセンターとの違いは、雇用保険受給者だけでなく高等学校卒業者など新規学卒者も有料となりますが、職業訓練を受けられる点です。しかし東京都の授業料は年額118,800円(2022年2月現在)ですので、民間より格安で受講可能です。

東京にはポリテクセンターが設置されていません。その代わりに都立職業能力センターで、機械・電気および建築・造園などのものづくり分野も含む幅広い職業訓練が実施されています。

【職業訓練校の詳細はこちら】

ポリテクセンターも含まれる、職業訓練校全体については以下の記事で解説しています。

ものづくりを中心とした職業訓練コース

金属を溶接する

ここでは、ポリテクセンターが実施する職業訓練コースの例と特色のある「日本版デュアルシステム」をご紹介します。

ポリテクセンターの職業訓練コース

ポリテクセンターでは、主に次のような訓練コースが受講できます。訓練期間は、標準6か月です。

職業訓練コース習得できる技能就職先職種
テクニカルオペレーション科・機械図面の見方、描き方
・CADの使い方
・機械の組み立て方 ・工作機械の使い方
・自動車や電気機械器具の各種製品製造業など・CADオペレーター
・NC工作機械工などの技術者
金属加工科・設計図の見方
・鋼材の加工や溶接
・機械板金
・鋼材のプレス加工
・自動車や電気機械器具の各種製品製造業など・機械板金の担い手
・溶接の担い手
電気設備技術科・電気配線図の読み方
・電気設備CADの使い方
・屋内電気配線工事
・防災・消防設備の設計・施工・保全
・電気設備会社など  ・電気工事や電気設備施工の技能者
・設備保全者
・電気設備の管理者
ビル管理技術科・給排水設備の施工・修理
・電気配線工事や電気測定
・空調(ボイラー)設備
・変電設備の保守管理・点検
・工場・ビル・ホテルなどの建物の管理会社・電気・空調・水道など各種設備の保守管理の担い手
住宅リフォーム技術科・大工・電気工具の使い方や木材加工の方法
・建築図面の読み方や建築CADの使い方
・内外装工事
・工務店など  ・木造住宅のリフォーム工事
・福祉住環境設備などの施工技能者  

各ポリテクセンターによってコースの名称などが異なりますので、個別に確認してみてください。

日本版デュアルシステムとは

日本版デュアルシステムとは、ポリテクセンターでの座学や実習と企業での職場実習の両方を受けられる6か月コース(短期課程活用型)です。修了者の中には、体験先企業へそのまま就職するケースもみられます。

職場実習は、実際の仕事現場を体験しながら自分自身の適性や方向性に気づける貴重な機会です。

令和2年(2020年)4月1日より、対象が「概ね45歳未満」から「概ね55歳未満」と拡大されました。より多くの方が日本版デュアルシステムを利用できるようになったので、ぜひ参考にしてください。

ポリテクセンターに入所するまでの流れ

雇用保険受給者の方がポリテクセンターに入所する流れは次のとおりです。

  1. 職業訓練ガイダンスに参加
  2. 訓練受講申込書・面接補助シート・確認書をポリテクセンターに提出
  3. 入所選考(面接・筆記)
  4. 入所予定者の発表
  5. 入所手続き説明会
  6. ハローワークより訓練受講指示または推薦
  7. 訓練受講開始

選考試験では、訓練内容を理解する基礎学力や安全上必要な注意力を確認するための筆記試験や面接が実施されます。ポリテクセンターでの職業訓練は非常に人気が高いため、選考試験対策を行ってから試験に臨むことが大切です。

そこで各ポリテクセンターや都立職業能力開発センターの各校別に対策できる「職業訓練サクセス」がおすすめです。各校の傾向をおさえていることから、効率よく合格へと導く内容となっています。

希望する方は、ライバルに差をつける願書の書き方も習得可能です。ポリテクセンターの対策問題集なら、面接対策と筆記試験模試に取り組める「職業訓練サクセス」で力をつけましょう。

技能・技術を習得し再就職を目指そう

雇用保険を受給しながら受講できるポリテクセンターの職業訓練は、別の業種からの転職にも活かせるとあって大変人気です。子育て中の女性は、託児サービスを利用しながらものづくり分野の技能・技術を習得できます。

しかし誰でも申し込みをすれば、受講できるわけではありません。選考試験があり、基礎学力や熱意を面接でチェックされるため対策が必要です。職業訓練試験の合格を目指す方は、各校別の傾向を把握できる「職業訓練サクセス」にお任せください。