民間企業に勤務していても、仕事内容や将来を考え、公務員への転職を検討している20代の皆さん、大チャンスです。20代という力溢れる年齢で、民間を経験しているというのは、多様な人材を求めている公務員にとって、有望な存在です。
ただし20代は公務員への転職に有利である一方で、転職活動や勉強で注意すべきこともあります。そこで今回は、20代の公務員転職の採用枠や条件、メリットや注意点、民間企業との比較や転職成功の3つのコツを解説します。
20代から公務員に転職!受験可能な採用枠や条件を解説
一般区分での受験
おもに学歴や年齢別で分けられている一般的な公務員試験は「一般区分」と呼ばれていますが、具体的な試験名や受験条件は自治体により異なります。以下に、令和4年度の東京都と大阪府の公務員採用試験を例にまとめました。
自治体 | おもな一般枠の試験 | 条件(令和4年度) |
東京都 | Ⅰ類A(事務・土木・建築・機械・電気など) | ・平成3年4月2日~平成11年4月1日生まれ ・必要な資格・免許は特になし ・Ⅰ類Bと併用可 |
Ⅰ類B一般方式(土木・建築・機械・電気・福祉A・福祉C・栄養士・衛生監視・獣医・薬剤A・薬剤Bなど) | ・平成5年4月2日~平成13年4月1日生まれ ・職種によっては必要な資格・免許を持っている人(取得見込み含む) | |
Ⅰ類B新方式(行政・ICT) | ・22歳~29歳 ・必要な資格・免許は特になし | |
Ⅱ類(司書・栄養士) | ・平成9年4月2日~平成15年4月1日生まれ ・職種によっては必要な資格・免許を持っている人(取得見込み含む) | |
Ⅲ類(事務・土木・建築・機械・電気など) | ・18歳~21歳 ・必要な資格・免許は特になし | |
大阪府 | 競争試験(行政・警察行政・土木・建築・機械・電気・環境・農学・農業工学・林学) | ・高校卒程度(18歳から21歳) ・行政職の大学卒程度(22歳から25歳、または、21歳以下で試験受験年度末までに大学卒業見込み) ・警察行政職、技術職の大学卒程度(22歳から29歳、または、21歳以下で、試験受験年度末までに大学(技術職は短大または専門学校も可)を卒業見込み) |
選考試験(競争試験以外の業種) | 一定の学歴や資格が必要 |
経験者採用区分での受験
民間企業などでの社会人経験を持つ人材を採用する「経験者採用区分」を設けている自治体もあります。経験者採用区分の受験条件に合えば、20代の方の受験も可能です。令和4年度採用の東京都と大阪府の経験者採用区分を例としてまとめました。
自治体 | おもな経験者採用区分の試験 | 条件(令和4年度) |
東京都 | キャリア活用採用選考(事務・技術・専門的な職種) | ・昭和38年4月2日以降に生まれた人 ・学歴区分に応じた民間企業などにおける一定以上の職務経験(院修了5年以上、大卒7年以上、短大卒9年以上、高卒11年以上)がある人 ・職種によっては必要な資格・免許を持っている人 |
大阪府 | 競争試験社会人等26-34(行政) | ・26歳~34歳 ・学歴および職務経験は問わない |
20代から公務員転職を目指すメリット
20代のうちに公務員への転職を目指せば、転職活動でもその後の働き方でも多くのメリットが得られます。公務員への転職を迷っている方が知っておきたい、20代から公務員転職を目指すメリットを解説します。
同年代との差が出にくい
公務員は以下の理由により、数年に一度人事異動が行われます。
- 癒着などの不正防止
- 人員の適所への配置
- 多くの業務経験の蓄積
- 各家庭への配慮
20代で公務員へ転職すれば、周りと経験の差があまりない内に公務員としての業務をスタートできます。
退職金が満額受け取れる可能性が高い
公務員の退職金は勤続年数で決まります。20代のうちに公務員へ転職すればそれだけ勤続年数が長くなるため、退職金を満額受け取れる可能性も高くなるでしょう。
受験できる区分が多い
公務員採用試験を受験できる条件のひとつに、年齢があります。30代や40代では受験できる採用区分に制限がある一方で、20代には受験できる採用区分も多くあります。併用できる試験もあるため、それだけ公務員になれるチャンスが大きいといえるでしょう。
安定して働ける
民間企業が業績不振による倒産やリストラなどのリスクがあるのに対して、公務員の雇用先は国や地方自治体のため、雇用元のトラブルによる解雇のリスクは基本的にありません。
また、育児休暇や介護休暇などの働き方に関する制度も充実しているため、ライフスタイルやライフステージに合わせて安定した働き方もできます。
20代から公務員へ転職するときの注意点
20代から公務員へ転職する場合には、注意すべきポイントもあります。転職を成功させるために覚えておくべき注意点を解説します。
経験者採用区分の勤務年数を満たせない場合がある
20代が受験できる公務員試験の区分に、経験者採用区分があります。経験者採用区分は、専門的な知識やスキル、経験を持つ人材を採用するために設けられている枠です。そのため、自治体によっては受験の条件に、一定の勤務年数を設けている場合があります。
勤務年数を満たさない場合は、以下いずれかの方法で公務員試験を受験することになります。
- 年数を満たすまで民間企業での勤務を続ける
- 勤務年数を問わない自治体の経験者採用区分を受験する
- 一般区分で受験する
ふたたび民間企業へ転職するのが難しくなることがある
20代で公務員へ転職するのは、周りの人と公務員としての経験に差ができないうちに業務をスタートできる点がメリットです。ところが逆にいえば、民間企業では十分な業務経験を積まない内に公務員へ転職することとなります。
公務員へ転職後ふたたび民間企業へ転職を考えた際、専門的な知識やスキルを身につけていないことから転職が難しくなる可能性があります。公務員への転職を検討する際には、自分が将来的にやりたい仕事や方向性をしっかりと持ったうえでの行動が重要です。
当ブログでは、志望自治体に特化した「自治体別・合格レベル問題集」を取り扱っています。「市役所」「県庁・政令指定都市」「警察」「消防」「町村役場」「国立大学法人」と、区分ごとに分けられており、あなたの目指す自治体の出題傾向を把握できます。「他の問題集や参考書に目移りせずに集中して取り組める」「仕事と両立できた」「ブランクがあってもすぐ現役の感覚を取り戻せた」と、92.8%のお客様から、満足のお声を頂いております。最小の投資で効果を最大化できる問題集となっていますので、ぜひ対策に活用してください。
公務員と民間企業の比較
民間企業から公務員への転職を迷っている20代の方のために、公務員と民間企業をさまざまな点から比較しました。民間企業と公務員どちらの働き方が良いか迷っている方も、ぜひ参考にしてください。
比較する項目 | 公務員 | 民間企業 |
仕事内容 | 国や地域に関わる仕事 | 物やサービスに関わる仕事 |
仕事の目的 | 国民や県民、市民の生活のため | 企業の利益のため |
仕事の自由度 | 低い | 高い |
異動の頻度 | 多い | 企業の制度や職種などで異なる |
給料 | 職種と勤務年数で決定 | 企業の規模、業績、制度、成果などで異なる |
ボーナス | 夏と冬に支給 | 企業の規模、業績、制度、成果などで異なる |
安定性 | 解雇やリストラがなく基本的に終身雇用 | 解雇やリストラのリスクがある |
採用方法 | 公務員採用試験に合格する | 企業別の採用方法により決定 |
社会的信用性 | 高い | 企業の規模や勤続年数、雇用形態によって異なる |
20代の公務員転職を成功させる3つのコツ
民間企業と公務員の仕事や働き方を比較し「公務員として働きたい」と決意したら、ぜひ20代のうちに公務員への転職活動をはじめましょう。20代の公務員転職を成功させるためのポイントや方法を解説します。
問題集や参考書を活用し対策と社会人生活と両立
20代で公務員への転職を目指す方は、民間企業で勤務をしている人、家庭に入っている人などすでに社会人として生活している人がほとんどです。仕事をはじめとした社会人生活と公務員試験への勉強を両立させながら対策をしなければいけません。
公務員試験対策の勉強方法として有効なのが、問題集や参考書の活用です。自分が受験を希望する職種の問題集を入手し、勉強をすることで出題傾向や範囲を把握し、対策ができます。公務員は自治体の過去問の公表はありませんが、弊社の問題集は実際の受験生の声をもとに作成した予想問題集となっておりますので、ぜひご活用ください。スキマ時間などスケジュールを上手く立てて勉強を進めましょう。
面接や小論文対策をする
公務員は、知識や学力だけでなく人物も重視して採用されます。受験生の人物像を見るための面接や小論文を公務員試験に課している自治体がほとんどです。筆記試験だけでなく、面接や小論文の対策もしっかりと行いましょう。
臨時採用などで実務経験を積む
公務員試験対策に有利となる方法のひとつに、公務員としての実務経験を積む方法があります。各自治体では、職員に欠員が生じた場合に臨時採用を行っています。臨時採用の職員は勤務期間が限定される「非正規採用」という立場です。たとえば東京都では「任期付職員採用試験」という名称で原則3年5か月勤務の非常勤職員を募集しています。
臨時採用は公務員試験が不要で、書類や面接のみで採用が決まります。すでに非正規採用の職員として実務経験があれば、公務員試験に有利となる可能性が高いです。実務経験を積みながら公務員試験対策をしたい場合は、臨時採用なども視野に入れましょう。
20代からの公務員転職を成功させよう!
20代は公務員転職に有利な点も多く、将来的に公務員として長く活躍したいと考えている方には最適な転職タイミングといえます。受験を希望する職種や自治体の公務員試験対策をしっかりと行ったうえで、20代の公務員への転職をぜひ成功させましょう。
社会人採用枠では、特に面接試験が重視されます。面接試験の際に重要となるのは「刺さる回答」、特に「志望動機」はあなたの第一印象を左右するものです。以下の記事では、面接官に好印象を与えるポイントを頻出質問ごとに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。