大学編入試験では小論文と面接試験が重視されており、筆記試験は実施されない大学もあります。そのため、いつでもすぐ対策はできるのではと思われがちですが、小論文や面接試験にて専門知識が問われるため、一般入試と同じように対策が必要です。
社会人から大学への編入試験を目指している方のために、今回は、社会人の大学編入試験の勉強をいつから始めるのがベストか、編入試験の概要、勉強のポイントについて解説します。
社会人も大学編入試験を受けられる
大学編入試験は、大学在学者や大学・短大・高専の卒業(見込み)者、専門学校修了者、高校専攻修了者が主流ですが、社会人も受験が可能です。
近年、リカレント教育(学び直し)が注目を浴びており、「大学卒業の資格を取りたい」「もう一度学び直しをしたい」などという意向や人材育成の観点から、社会人から大学へ入学することを推奨する動きが出ています。
社会人として働きながら入学・通学ができる大学もありますし、入学ぎりぎりまで働くことも可能です。また、社会人を対象とした大学編入試験の呼び名は、各大学によって異なります。
編入試験の募集は「欠員がある」「志願者がいれば」という場合もあれば、大学側が定員を設けて募集することもあり、毎年実施されるわけではありません。
社会人として働きながら学ぶことも可能
社会人が大学で学ぶ方法は、4年生大学へ編入することだけではありません。夜間大学へ編入すれば、社会人として収入を得ながら大学生になれます。学び直しのために社会人としてのキャリアを継続できるだけではなく、学費の面においても4年制大学より抑えることが可能です。
しかし近年、夜間部は学生数の減少にともない廃止する大学が増えています。お住まいの地域で通学圏内に夜間大学があればよいですが、遠方にある場合、通学が困難になる可能性もあります。
夜間大学・夜間部がない場合は、社会人コースが設置されている大学がおすすめです。社会人コースは、オンラインや通信課程で週末や好きな時間に学べるため、現在のキャリアを維持しながら学べます。
社会人編入試験の出願資格
社会人の編入試験は、出願要件で定められている勤続年数をクリアすれば出願は可能です。多くの場合は、1~3年となっています。パートなども勤続年数に含まれることもあるため、現在、専業主婦でも受験できる可能性はあります。勤続年数以外の出願要件は以下のとおりです。
学校 | 資格要件 |
大学・短期大学・高専 | 卒業者 |
他の大学 | 2年以上の在学、在学中に卒業認定に必要な62単位以上修得 |
専修学校専門課程 | 2年以上の修業、修了に必要な1700時間以上の過程修了した大学入学資格を持つもの |
大学で学士を修得していれば、社会人編入以外に学士編入の選択も可能です。働きながら通える社会人コースを受けるなら、現職のまま編入試験を受ける場合、在職中の会社の所属長などに入学承諾書を書いてもらう必要があります。入学時までに退職するときは、退職証明書の提出も必要です。
学部や通信課程によっては、編入制度がない大学もあります。編入できないときは、学士入学試験を受けることになります。受験科目などが異なるため、事前に出願資格を確認してください。
社会人枠の編入試験を実施する大学は少ない
大学編入試験はすべての大学・学部で実施されるわけではありません。一部では、学外からは募集していない大学もあります。募集人数は5名や10名前後が多く、「若干名」と記載している大学がほとんどです。
毎年決まって募集されるわけでもないほか、合格をつかむには出願要件をクリアしたうえで学力も必要です。また、4年制大学で編入試験を実施しているのはほとんどが私立大学であり、国公立大学は3年次編入が主流です。試験を受けられる大学・学部が限られていますし、学部によっては競争率も高くなるでしょう。
編入学を視野に入れて勉強しようと考える場合は、事前に編入学試験を実施している大学・学部について調べておきましょう。
大学編入にかかる費用
大学編入の入学検定料は3万5,000円です。一般入試では地域に試験会場が設けられている大学もありますが、編入試験は大学で受験します。大学が遠方にある場合、交通費や宿泊費が必要です。
ほかにも、学力を補うため編入試験対策として予備校に通うなら、年間約60万円前後かかります。さらに合格後は、大学の入学金や授業料など、初年度納入金は70~100万円を納めなければなりません。給与から予備校の費用を捻出しながら、編入後の大学の学費も貯めるのはとても大変です。
社会人の場合、雇用保険の被保険者なら「教育訓練給付金」を活用できる大学もあります。受給には世帯収入や貯蓄額など一定要件がありますが、満たせば学費を抑えることが可能です。すべての大学で使用できるわけではないため、志望大学・学部が対象であるか事前に調べておきましょう。
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社会人編入試験の内容
編入試験で合格をつかむには、どのような試験が実施されるのか試験科目や内容を把握しておくことが大切です。基本的に編入試験の内容は書類選考をはじめ、小論文や面接試験がベースとなりますが、受験する大学によって試験内容は変わるため把握しておきましょう。
編入試験の試験科目
編入試験は小論文や面接試験が主流ですが、筆記試験もおこなわれます。筆記試験は「英語」「数学」「理科」が中心です。高校レベルの内容もあれば、大学レベルの内容が出題される大学もあります。英語のみ実施するところもあれば、筆記試験を実施せずに小論文・面接のみで合否が決まる大学もあります。
試験科目を問わずTOEFLやTOEICのスコアを合否判定に使用する大学もあります。両方とも団体受験結果は認められません。また、テストの実施日も決まっているため、試験日までの日程を確認してスコアの取得を目指しましょう。
小論文
編入試験の小論文は一般的なテーマよりも、学部や学科に関連したテーマを出題する傾向があります。志望学科に対して関心や理解度をはかるために実施されます。出題形式は以下のとおりです。
小論文の出題形式 | 出題形式の内容 |
課題文読解型 | 課題文をふまえて設問に沿って自分の考えを述べる1つの文章だけでなく複数の文章が提示されることもある |
テーマ型 | 「~について論じなさい」とテーマについて論じるキーワードのみもあれば、短文が出題されることもある |
資料分析型 | 表・グラフをもとに設題について論述する写真や絵画などを見たうえで自分の考えを書く |
文字数は大学によって異なります。志望学部や学科から、出題される大きなテーマは予測できるでしょう。大学によって過去の出題テーマをホームページで公開しています。事前に出題形式の傾向がわかれば対策もしやすいので、確認しておくとよいでしょう。
面接試験
面接試験は個別または集団討論です。おもに出願理由や志望する専修プログラムへの関心レベルを図る質問をおこない、知識レベルを判断します。面接官の質問に対する回答によっては、筆記試験や小論文がどんなによくても合格をもらえない大学もあるため、しっかりと知識をつけておくことが大切です。
大学によっては、募集要項に学部で採用しているプログラムの内容を掲載しています。あらかじめ理解しておくことで、面接官からの質問にもスムーズに答えることができるでしょう。
大学編入試験の勉強はいつからやる?勉強のポイント
社会人が大学編入試験の勉強をいつからやるかは、受験を決めたらすぐがおすすめです。早ければ早いほどよいでしょう。しかし、日中は働いているため、勉強時間は帰宅後か週末など休みの日を使うことになります。少ない時間で効率よく勉強するには、綿密なスケジュールを立てることが大切です。社会人の編入試験で合格をつかむための勉強法について解説します。
募集要項で志望校の試験日から逆算する
編入試験は一般入試と異なり、大学ごとに実施日が異なります。そのため、まずは志望大学の出願日や試験日を把握することが大切です。編入学試験の募集要項は出願月の2~3か月前に出されるため、募集要項で出願書類や試験日、出願資格などを確認してください。
大学ごとに試験日程や試験会場は異なるため、つねに志望大学の情報を収集しておきましょう。出願時には成績証明書や卒業証明書、在職証明書などの用意も必要です。勉強の合間に取得する期間も検討してください。
志望大学・学部に関する知識を深める
編入試験は学科試験が実施されない大学もあります。しかし、小論文や面接試験で専攻学科に関する知識が問われるため、専門知識を身につけておかなければなりません。入学後の勉強にも役立つため、一般入学試験の対策問題集などを解いて、現状の知識レベルを確認しておくと、どの部分をカバーすればよいのかがわかります。
各大学の過去問が入手できるなら、出題傾向をつかめるので便利です。編入試験の過去問は、まれに大学のホームページからダウンロードすることで入手できることもあります。
TOEIC・TOEFLのスコアを上げておく
編入試験では筆記試験を実施しない代わりに、TOEICやTOEFLのスコアの提出を求める大学もあります。TOEICは最低でも600点前後、TOEFLは40~80点を目安にしておくとよいでしょう。
ただし、ハイスコアを取得していても、英語の筆記試験の点数が悪いと評価は下がってしまうため、基礎からしっかりと身につけておくことが大事です。両方とも試験日は決まっているため、英語に苦手意識を持っている方は早めに勉強をはじめておきましょう。
大学編入試験は志望理由書も重要
社会人の大学編入試験は、志望理由書も大事です。志望理由書には、400文字程度でその大学の志望理由を書きます。文字数は大学によって異なるので確認してください。
志望理由書に書かれた内容は、面接試験時に面接官から再度質問をされます。「社会人として働いているのに、なぜもう一度学ぼうと思ったのか」など、面接官が聞きそうなことに対する回答を書くとよいでしょう。
ビジネス文書の作成に慣れているなら、志望理由書の作成には困らないかもしれません。志望理由に加えて、入学後はどのようなことを学びたいか、修得した知識をどう活かしていきたいかまで書けると好印象を与えることが可能です。
志望学部別の対策問題集で合格をつかもう
試験内容は小論文と面接試験が主流ですが、どちらも専攻した学科の専門知識が必要になるため、一般入試を受験するときと同じように対策が必要です。当ブログで取り扱っている「学部別・志望理由書・論文最強ワーク」は、志望理由書と論文対策をそれぞれ最短8日間で行い、音声で専門知識を学べるため、、短期間で効率よく勉強できると多くのお客様にご利用いただいています。合格をつかむためにもぜひ活用してみてください。
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