公務員には多種多様な職種があり、試験内容も異なります。難易度もさまざまですが、ひとくくりに「難しい」というイメージが、皆さんの中に一人歩きしていませんか?社会人の皆さんにとっては、公務員への転職は、最短で合格できる、チャンスともいえます。
今回は公務員への転職が本当に難しいのかを解説し、公務員への転職が成功するためのポイント、一般枠・社会人採用枠のメリットをご紹介します。
公務員転職は本当に難しいのか?
公務員は大きく分けると、国の機関で働く「国家公務員」と地方の自治体で働く「地方公務員」があります。それらの2つは職種や業務内容、働く場所によってさらに細かく分けられるため、ひとくくりで「公務員の転職は難しい」とはいえません。
公務員の倍率
公務員の採用倍率はさまざまです。中には国家公務員総合職(大卒程度試験)のように競争倍率が高く「難しい」といえるものもあります。しかし、国家公務員一般職(行政職以外・大卒程度試験)のように倍率が低い採用試験もある点は、注目すべきところです。
また、人気の高い首都圏を外すなど、働きたいエリアを限定しなければ選択技が広がり、転職できる可能性は高まるでしょう。
試験の種類 | 申込者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
国家公務員総合職 (大卒程度試験) | 12,886人 | 1,360人 | 9.5倍 |
国家公務員一般職 (社会人試験(係員級)) | 309人 | 66人 | 4.7倍 |
国家公務員一般職(行政職) (大卒程度試験) | 22,316人 | 6,476人 | 3.4倍 |
国家公務員一般職(行政職以外) (大卒程度試験) | 4,003人 | 1,793人 | 2.2倍 |
岡山市民間企業職務経験者 | 41人 | 10人 | 3.5倍 |
出典:2023年度国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)実施状況
出典:2023年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況
公務員の筆記試験の難易度
社会人を対象にした採用試験は一般の採用試験と比べると筆記試験のウエイトが軽い傾向です。学校を離れて年月が経ち、筆記試験があるから「難しい」と公務員への転職に躊躇してはいませんか?職務経験をアピールし、筆記試験対策を取れば合格は望めます。
公務員の年齢制限
国家公務員試験(大卒程度)の年齢制限は30歳前後としているものが多いです。30歳までに転職を決心した方は、大学生と同じ試験を受けることができます。
また「社会人採用」や 「経験者採用」をしている自治体が多くあり、転職者には狙い目です。年齢制限は自治体によってさまざまで、40歳程度から59歳までと多岐にわたります。年齢制限は緩和される傾向なので、受験したい試験の年齢条件に変更はないか、確認しておくといいでしょう。
社会人採用枠で転職
公務員採用試験の状況は変わりつつあり、社会人経験者の採用は増加傾向にあります。一般企業で経験を積んだ方が求められ、転職のチャンスが広がっているといえるでしょう。
国家公務員には「経験者採用試験」「中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」、地方公務員は「社会人採用試験」「民間企業等職務経験者採用試験」などと呼ばれている、社会人を対象とした試験があります。
2通りある国家公務員への転職
ここは重要ポイントです。
「経験者採用試験」に合格すると、国の機関の係長級以上のポジションに採用されます。「中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」は、各官署において一般の行政事務や技術的な業務などに従事します。採用されてからのことを考えて試験を選択しましょう。
どのような業界で経験を積んだ方が採用されているのか、気になる方も多いでしょう。人事院の資料によると金融機関や投資銀行、保険会社、監査法人、建設会社、旅行会社、食品会社、IT・通信会社、化学メーカー、鉄鋼メーカーなど幅広い業種から採用されています。前職の業種を気にすることなく挑戦しましょう。
資格保持者と技術系が有利な地方公務員への転職
横浜市では下記のように「資格」や「技術」を必要とする専門職を多く募集しています。これは他の自治体でも同様で、地方公務員の中途採用は社会人経験年数にプラス「資格」や「技術」がある方が有利と考えられます。
まずは、自身が持っている「資格」や「技術」が活かせる募集がないか確認しましょう。
職種 | 必要な免許・資格 | 受験者 | 合格者 | 倍率 |
事務 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 629人 | 50人 | 12.6 |
社会福祉 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人+社会福祉士、精神保健福祉士 | 49人 | 10人 | 4.9 |
保育士 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人+保育士、国家戦略特別区域限定保育士 | 54人 | 5人人 | 10.8 |
保健師 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人+保健師、看護師、助産師 | 28人 | 9人 | 3.1 |
土木 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 50人 | 11人 | 3.8 |
建築 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 27人 | 3人 | 7.7 |
機械 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 26人 | 5人 | 5.2 |
電気 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 15人 | 6人 | 2.5 |
造園 | 民間企業等における職務経験を5年以上有する人 | 22人 | 7人 | 2.9 |
公務員への転職を成功させるための試験選び
公務員試験は、受験先によって受験科目や受験資格が異なり、倍率も違います。得意なことで受験ができ、競争倍率が低いところを選んで受験すると公務員に転職できる確率もアップします。まずどのような方法でどこを受験するのかを決めましょう。
一般枠で受験するメリット
一般枠の試験は、新卒者だけを対象とした試験ではなく、年齢要件などを満たせば既卒者や社会人も対象となります。昨今の傾向として、年齢要件が引き上げられた採用試験も増えていて、転職したい方には見逃せません。
大卒程度試験とありますが大卒レベルの問題が出題されるだけで、学歴が大卒でなくても受験ができます。一般枠は出題範囲が幅広く、多くの勉強時間が必要です。しかし、社会人枠に比べて採用枠が多いという利点があります。勤続年数が短い方におすすめの試験です。
社会人採用枠で受験するメリット
社会人採用枠は、一定の業務従事年数が受験資格として必要です。自治体によっては正規雇用でないアルバイトやパートタイマーも業務従事年数に合算できるところもあります。一般枠の試験に比べると試験科目が少ない場合が多いので、勉強時間が少なくてすむ点は大きな魅力です。
社会人採用試験は「経験」や「スキル」が合否のポイントとされます。面接の際に「自分を採用するとどんなメリットがあるのか」など、自身をアピールできれば合格の可能性が高いです。
公務員への転職を成功に導く対策
「どこを受験するか」「どの方法で受験するか」を決めたら、勉強の計画を立てます。公務員への転職を希望する方の多くが仕事をしながら勉強されるのではないでしょうか。公務員試験は計画的に効率よく勉強しましょう。
効率的に進める筆記試験対策
まず、自分が受験したい自治体の出題形式の確認が必要です。試験には教養試験や専門試験、論文があり、受験する職種によって異なります。
合格するためには1,000時間の勉強時間
一日あたり3〜4時間の勉強時間の確保が必要とされます。
参考書から重要な箇所のピックアップ
参考書を読み深め、知識を整理しましょう。重要な箇所は翌日だけでなく、1週間後、2週間後、1か月後と繰り返し復習し覚えます。
高い得点を意識
参考書と問題集を利用し、基本的な箇所と出題傾向の高い部分を押え、得点を意識した勉強をおすすめします。
過去問はあるの?
一般的に、各自治体は過去問を公表していません。そこでおすすめなのが、当ブログが取り扱っている、志望自治体に特化した「自治体別・合格レベル問題集」です。「市役所」「県庁・政令指定都市」「警察」「消防」「町村役場」「国立大学法人」と、区分ごとに分けられており、あなたの目指す自治体の出題傾向を把握できます。「他の問題集や参考書に目移りせずに集中して取り組める」「仕事と両立できた」「ブランクがあってもすぐ現役の感覚を取り戻せた」と、92.8%のお客様から、満足のお声を頂いております。最小の投資で効果を最大化できる問題集となっていますので、ぜひ対策に活用してください。
得点比重が大きい面接対策
試験には面接があるので対策が必要です。下に挙げた神戸市や広島市などのように社会人枠試験の場合、面接の得点比重は大きい傾向があります。自分の積極性や社会性、信頼感、経験学習力、自己統制力、コミュニケーション力を意識して考えをまとめておきましょう。
- 志望動機など想定できる質問に対する答えはノートにまとめる
- 社会人枠で受験する場合は特にこれまでに培った経験やスキルがアピールできるようまとめる
- 1分程度で簡潔に答えられるように声を出して練習する
一般枠試験 | 基礎能力(教養)試験 | 専門試験 | 一般論文 試験 | 人物試験 |
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験) | 2/9 | 4/9 | 1/9 | 2/9 |
埼玉県上級職試験 | 100 | 100 | 100 | 300 |
社会人枠試験 | 一次試験 | 二次試験 | 三次試験 | |||||
教養試験 | エントリーシート | 資格加点 | 面接 | 小論文 | 面接・プレゼン テーション試験 | 集団討論試験 | 提案型論文 | |
広島市(職務経験者対象)試験 | 100 | 200 | - | 300 | 200 | 400 | 200 | - |
神戸市(社会人・春)採用試験 | 200 | 100 | 50 | 200 | - | 200 | 100 | 100 |
公務員への転職は難しくない!
一般企業のように書類審査で落とされることもなく、チャンスは平等です。受験できる年齢の上限も緩和傾向にありますので、転職したい方は、このチャンスをいち早く掴みましょう。
社会人採用枠では、特に面接試験が重視されます。面接試験の際に重要となるのは「刺さる回答」、特に「志望動機」はあなたの第一印象を左右するものです。以下の記事では、面接官に好印象を与えるポイントを頻出質問ごとに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。