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民間企業にはないさまざまな魅力のある公務員ですが、社会人として就職した後でも、社会人採用試験に合格することで、公務員に転職が可能です。一般枠よりも社会人採用試験に合格するのは難易度が高いとされているため、合格を目指すには早めに対策することが大切になります。
今回は、公務員の社会人入試の方法、試験内容の詳細、面接対策のポイントなどについて紹介します。
社会人が公務員になるには?
社会人として働いていても、仕事や収入の安定性を求め公務員への転職を考える人は多くいます。行政も多様化する課題に対応するために、さまざまなバックグラウンドを持つ人材として、社会人経験のある人材の採用に積極的です。
社会人が公務員になるための2つの方法
社会人が公務員になるためには、以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
社会人枠 | 一般枠(大卒程度) | |
対象者 | 民間企業等での職務経験がある者を対象とする。 新卒者ではなく、即戦力として活躍できる専門知識や技能を備えていることが求められる。 一般枠より募集人数や試験区分が限定される。 | 新卒、既卒、社会人問わず年齢要件を満たす者 |
受験資格 | 年齢要件、社会人経験年数 | 概ね年齢要件のみ |
試験形式 | 【一次試験】 教養択一、論文(課題式、職務経歴、経験論文)など 【二次試験】 面接試験など | 【一次試験】 教養択一、論文(課題式)など 【二次試験】 面接試験(個別、集団)、集団討論など |
【公務員試験サクセス】
<消防士採用試験 合格体験談>
栃木県 K・Mさん
1問5分で無駄なく進められて、移動時間でも勉強ができ、見事合格!
私は大学卒業後に一般企業に就職しましたが、消防士の夢をあきらめきれず、後悔すると思って覚悟を決めました。
自治体別の合格セットは、志望の自治体にぴったりでした。仕事をしながら家で対策をしていき、要点解説講座は、判断推理、数的推理、文章理解、社会科学のポイントが凝縮されていて、音声解説も丁寧で把握しやすかったです。
1問5分で無駄なく進められて、移動時間でも勉強ができました。要点解説講座の解法は、自治体別の合格セットを解くときにとても役立って、合格圏である6割以上の得点ができるようになりました。願書ワークでは志望理由や面接のポイントが分かりやすく、家でもしっかり対策を取ることができました。無事に合格できたので、頼れる消防士になっていきたいと思います。
社会人枠採用の試験内容とは?
公務員の社会人枠採用試験では、一次試験で一般教養や論文などの筆記試験が実施され、二次試験では面接試験が実施されます。一般枠、社会人枠、いずれも受験資格を満たしている場合、試験の実施日程が別であれば併願ができる場合もあるため、出願前に受験要項等で確認しておきましょう。
社会人入試の一次試験
一次試験の種類 | 試験内容 |
教養択一試験 | 一般知能分野(数的処理・文章理解など) 一般知識分野(歴史・生物・化学など) |
論文試験 | 一般課題式論文、職務経験論文の両方またはいずれか |
出題科目やレベルは、一般枠の大卒程度試験に準じている場合が多いですが、中には高卒程度と明記されている場合もあります。その場合は、高卒程度試験の対策で対応ができるでしょう。
また、論文では一般課題式に加え、職務経験論文があるのが特徴です。
社会人入試の二次試験
二次試験では、志望動機や自己PRなど、一般的な質疑応答がなされる個別面接が一般的ですが、集団面接や集団討論、プレゼン形式などが実施されることがあります。回数も1回とは限らず2回以上実施されるケースもあるようです。
どのような形式で試験が実施されるのかについては、募集を行う自治体等により異なるため、要項などで確認したうえで対策を取りましょう。
社会人入試では面接試験が重視される
各自治体等が社会人として働いた経験者を採用するのは、複雑化する行政課題に対応するために、あらゆる分野で経験のある人材を確保したいというのが目的です。また、一般枠よりも社会人採用枠は競争率が高くなりやすいため、筆記試験よりも面接試験のウエイトが高くなる傾向にあります。
社会人入試では「これまでの社会人経験で培った経験やスキルはどのようなものなのか」など、民間企業等での経験や知識について問われるため、一般枠よりもしっかりと対策を取ることが大切です。
必ず問われる「志望動機」の考え方
民間企業から公務員への転職の場合、面接試験では志望動機について鋭くチェックされる傾向にあります。志望動機があいまいだと「公務員の仕事をよく理解しないまま応募してきている」と思われ、採用が見送られてしまう可能性も否定できません。
なぜ公務員を目指すのか、説得力のある回答ができるよう、志望動機を固めておきましょう。
なぜ公務員を目指すのか
社会人入試の面接試験では「なぜ前職を辞めたのか」「前職を辞めてまで公務員を目指す理由」についてよく質問されます。「収入が安定しているから」「とりあえず志望してみた」など、ありきたりであいまいな志望理由では熱意が伝わらず、面接でも良い印象を与えにくいでしょう。
「公務員になったらこんなことをしたい」「でもそれは今の会社でもできるよね?」というように、自分の意見に対して自分で反論を考え、それに対して答えがでるまでしっかりと考えておくのがポイントです。深く考えておくことにより、説得力のある志望動機を伝えることができます。
前職をアピールしすぎない
社会人入試では、前職の経験や実績をアピールポイントとして活かせるのが特徴です。しかし、前職をアピールしすぎてしまうと、過去の実績に固執しすぎている印象を与えてしまいかねません。
公務員にはさまざまな職種があり、幅広い世代の人とかかわる機会があるため、柔軟性が求められます。そのため、前職をアピールしつつ、公務員として新たな環境にも対応できることをアピールしましょう。
面接でよく聞かれる質問と回答例
面接ではさまざまな質問をされますが、中には社会人入試ならではの質問もあります。あらゆる質問を想定して回答を考えておくことで、面接対策を万全に整えておきましょう。
なぜ新卒のときに公務員を選ばなかったのですか?
新卒のときに公務員を志望しなかった理由を問われたときの回答例は、次の通りです。
「新卒のときは、まだ自分が何をやりたいのかはっきりしておらず、前の会社に就職してしまいました。もっと将来について真剣に考えておくべきだったと反省しています。」
「就職活動とは、民間企業を回り、そこに就職するものだと思っていました。新卒のときは視野が狭かったと反省しています。」
民間企業ではなぜだめなのですか?
民間企業ではなく、公務員を希望する理由を問われたときの回答例は次の通りです。
「民間企業は営利目的であるため、お金を持っている人にサービスが偏ってしまいます。一方で公務員は、どのような人に対しても等しくサービスを提供できるため、魅力を感じました。」
「公務員でしかできない」ということを伝えるのがポイントです。「今の会社ではできないから」という理由では、「公務員でなく他の会社ならできるのではないか?」と受け取られる可能性があるため、説得力に欠けてしまいます。
仕事がうまくいかなかったときどのように対処しましたか?
仕事がうまくいかなかったときの対処法を質問されたときの回答例は次の通りです。
「前職でそのようなことがあったときは、上司や同僚に相談していました。ひとりで考えるよりも、客観的な視点でアドバイスをしてもらうのが良いと考えたからです。」
公務員として働くことになっても、仕事の問題は必ず発生するものです。ひとりで考えるよりも上司や同僚など周りに相談することが大切になります。この質問では、問題を解決する能力やコミュニケーション力が見られると考えられるでしょう。
公務員への転職について誰かに相談しましたか?
公務員へ転職することについて、誰に相談したのかを問われたときの回答例は次の通りです。
「はい、私はまだ結婚しておりませんので、両親に相談しました。その際、自分の人生だから、悔いが残らないよう好きに生きなさいと背中を押してもらうことができました。」
相談したか、していないかについては、はっきりとどちらが正解ということはありません。しかし、困ったときに相談できる相手がいるということは、いざ公務員の仕事をする中で壁にぶつかったとき、ストレス対策ができるのでは、と評価される可能性があります。
給料は下がっても大丈夫ですか?
給料が今より下がっても大丈夫かどうかを質問されたときの回答例は次の通りになります。
「はい、承知の上で公務員を志望しました。公務員に転職できたとしても、生活水準を保てることは調べてあります。たとえ給与が下がったとしても、公務員として働くことを希望します。」
民間企業では、転職の際に給与について交渉する場合がありますが、公務員の初任給は経歴などに関係なく、規定に則って算出されます。社会人としての経験が長いと、これまで勤めていた企業での給料より下がることが多いため、実際に面接でも給料について質問されるケースが多いようです。
面接対策を万全にすることが合格への近道
社会人として民間企業で勤めていても、社会人入試に合格することで公務員を目指すことが可能です。社会人経験があることを前提とした採用試験になるため、新卒で受験する一般枠と比べると、筆記試験より面接試験を重視する傾向にあるようです。
民間企業を辞めてまでなぜ公務員を目指すのか、自己分析によって明確にすることで、面接官に対してしっかりと熱意を伝えることができます。社会人入試は、一般枠よりも狭き門となるため、早めに対策をして自信をもって公務員試験に挑みましょう。