介護の仕事に就きたい!資格は必要?条件や仕事内容をまとめました

介護職の資格で給料アップ 働きながら取得する方法

高齢化が進む日本ではこれからますます介護が必要とされるため、介護職に注目が集まっています。また、社会人であっても働きながら目指せるという点でも人気の職業ですが、「介護福祉士や介護関連の資格を取らなければ、介護職に就けないのではないか」と思われていないでしょうか。

実は資格がなくても介護職に就くことができます。今回は、これから介護職を希望される方に向けて、介護職という職業の具体的な仕事内容や介護職における資格の必要性、働きながら介護職に関する資格の取得方法などについてご紹介します。

介護職の仕事内容

車いすに母を乗せて散歩する娘

一般的に「介護士」というくくりは、介護職に携わる人すべてを表し、介護職員や施設で働く介護スタッフなどが広く該当します。ただし、これは正式な肩書きではなく、同じ「士」が就く職業でも弁護士や司法書士といった資格を持った方とは異なります。

一方で「介護福祉士」と混同する方もいますが、これは国家資格の正式な名称です。従って、介護士というカテゴリの中に介護福祉士が含まれるということになります。

介護福祉士だけではない介護職

介護士の仕事は、高齢者などの要介護者の方に対して、介護に関わる業務や生活援助を行います。例えば着替えや食事、排せつ、入浴の介助、口腔ケアなどを行ったり、施設でレクリエーションにまつわる作業を行ったりします。

勤務する場所としては、老人ホームやデイサービスセンターなどの介護施設、もしくは在宅で介護を必要とする利用者の自宅などが挙げられ、看護助手として医療機関で働くこともあります。

介護職に資格は必要?

車いすを動かく男性

介護福祉士の資格がないと、介護の仕事ができないというわけではありません。介護の仕事内容は多岐に渡るのですが、ここでは資格がなくてもできる業務と資格が必要な業務に分けて説明します。

資格がなくても就ける業務

医療系専門学校入試情報が満載老人ホームやデイサービスセンターなど、介護施設内で働く場合は、資格を持っていなくても作業可能な仕事は数多く存在します。ここでは資格がなくても働ける介護関連の仕事について、主なものを挙げてみました。

生活援助

介護施設内にある利用者の部屋などの掃除やベッドのメイキング、食事の支度や配膳、洗濯、生活に必要な物品の買い物や薬の受け取りなどを行うのが「生活援助」です。なお、介護施設内ではなく、利用者の家で作業を行う訪問看護については、資格が必要です。

身体介護

食事や入浴の介助、衣類の着脱、体位の変換や服薬など、高齢者の身体に直接触れて行う介護は「身体介護」といいます。こちらも介護施設内であれば、資格を持っていなくても対応できますが、一般的には資格を持った方のサポート役として関わるものです。

送迎業務

デイサービスなどでは利用者を車で送迎する必要があります。その際に運転する場合は、通常の運転時と同様に普通免許があれば作業ができ、特に資格は必要ありません。また、利用者の乗り降りをサポートする場合も、資格はなくても問題ありません。

事務処理

介護施設の事務作業には、おもに受付業務と介護報酬請求業務があります。介護報酬請求業務は介護保険に関する専門知識が必要ですが、特に資格がなくても仕事はできます。

ただし、介護報酬請求事務技能検定試験や介護事務管理士、介護事務実務士などさまざまな資格があり、これらを取得すると知識が身につくために仕事がしやすく、求人採用の際に有利に働く場合もあります。

その他にも他業務の会社と同じように経理や職員の給与計算などの事務作業もあり、介護施設だからといって介護に特化した資格はなくても問題ありません。

資格が必要な業務

介護施設内で身体介護や生活援助を行う場合は、資格がなくても可能と説明しました。仕事の実情としては、特に身体介護に関して知識やスキルが必要です。最低でも「介護職員初任者研修」の資格を持っている方が良く、未経験や資格を持っていない方は、補助的な役割に回ることが多いものです。

また、介護施設内ではなく、利用者の自宅に赴いて介護の仕事を行う訪問介護の場合は、資格がなければ仕事はできません。訪問介護を行っている事業所で働く場合は、生活援助と身体介護の両方が実施できるよう、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」の資格が必要です。

ただし、資格を持っている人に限定すると人材を確保しづらいという事情もあります。生活援助を専門に行う人材を育成するため、2018年4月からは「生活援助従事者研修」という公的資格が別途、新たに創設されています。

資格を取得した方が良い理由

資格がなくても多くの介護に関する仕事は可能ですが、給与は資格を持っている方よりも低くなるのが一般的です。厚生労働省が発表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、介護職員初任者研修があるかないかで比較した場合には、月給で無資格の状態で比べても、月給で2万円以上の差が開いています。

資格名平均給与額(常勤者の月給)
介護福祉士32万9,250円
実務者研修30万3,230円
介護職員初任者研修30万1,210円
保有資格なし27万5,920円

そのため、まずは働きながら介護の実務経験を積んだうえで資格取得を目指すと、給料アップにつながります。介護関連の資格の中でも介護職員初任者研修は比較的取得しやすく、勉強することで身体介護などに関する基本的な知識を身につけることができ、仕事に役立てることができます。介護職員初任者研修は、2週間~数か月ほどで取得が可能です。

資格を持っておらず未経験の方でも多くの介護の仕事はでき、さらに介護業界は長年の間人材不足を指摘されている業界であるため、求人を募集している事業者は多く、本人の希望と仕事への意欲があれば、働くことはできるでしょう。

ただ、給与面やスキルアップ、仕事の範囲の広がりという点において、資格を取っておいて損はありません。まずは介護の仕事に携わり、実務経験を積んで次第に慣れてきたら介護関連の資格を取ってみてはいかがでしょうか。

働きながら資格を取得するには

働きながら介護職の資格を取得するには、最初は介護職員初任者研修からスタートし、のちには介護福祉士を目指してみることをおすすめします。介護の現場で所定の日数以上勤務した後、さらに実務者研修(450時間以上)または介護職員基礎研修及び喀痰吸引等研修を修了すると、介護福祉士の受験資格が得られます。

この実務経験ですが、正社員のみならずパートやアルバイト、派遣などで働いた場合でも認められます。勤務の日数などの詳細な条件については、以下のとおりです。

資格取得の条件

資格取得の条件資格取得に必要な内容
従業期間実務経験のある同一の施設・職種における在職期間が3年以上。(在職期間には産休や育休・病休などによる休職中の期間を含みます)
従事日数介護業務に従事した実日数であり、年次有給休暇・特別休暇・出張・研修などで、介護業務に従事しなかった実日数は含みません。 ※ただし、1日における勤務時間の長短は問いません。
重複した場合の従事日数・同一期間内で複数の事業所に所属する介護職員が、1日に複数の事業所で介護業務を行なった場合は、従業期間及び従事日数は重複してカウントはできず、1日として計算します。
・同一期間内に複数の事業所等に所属する場合は、各々の事業所で「従事日数内訳証明書」を発行してもらう必要があります。
受験資格の見込みについて・受験申込時に上記に記載している従事日数や従事期間の条件をクリアしていない場合でも、試験実施年度の3月31日までに条件をクリアできる見込みがある場合は、「実務経験見込み」という扱いとして受験可能です。

慢性的な人材不足に悩まされている事業者においては、知識やスキルを持った介護士を育てるため、教育研修の仕組みを充実させ、資格取得を支援するための制度を設けているところもあります。

その支援制度では、例えば資格取得のための受講費用の一部や全額を事業者が負担したり、資格取得後にある一定の年数勤務し続けたりすれば返済の必要がないといったものもあります。事業者により支援の内容は異なりますので、制度の有無を勤務先の選択材料にするのも良いでしょう。

まずは介護職に就いてみよう

今回は社会人の方が資格がなく未経験であっても介護の仕事に就くことができるのかという疑問に対し、資格がなくても働くことはできるという理由について説明しました。

最初から資格を持たなくても問題はありませんが、給与のアップやスキル向上、仕事の広がりなどを考えると、資格を持つメリットはあります。まずは介護職の仕事に携わり、働きながら国家資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。