↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓
離職中に、再就職のために資格取得やスキルアップを目指したい人もいるのではないでしょうか。失業保険の給付を受けながら資格やスキルが取得できる職業訓練の制度が利用できます。
職業訓練の中には、民間の短大や専門学校などで訓練を受ける委託訓練があり、保育士や介護士などの専門的な資格取得も可能です。
今回は、職業訓練を受けて安定した資格職への就職を目指したい方に向けて、職業訓練のひとつである委託訓練の内容や利用できる条件、メリットについてご紹介します。
委託訓練とは
委託訓練の概要や訓練内容について解説します。
公共職業訓練のひとつ
委託訓練とは、失業保険を受給している求職者を対象とした公共職業訓練のひとつです。公共職業訓練には、以下のふたつがあります。
- 施設内訓練
- 委託訓練
施設内訓練とは、都道府県の訓練施設または都道府県の職業能力開発促進センターで実施する職業訓練です。委託訓練は、都道府県から委託された短大や専門学校などの民間施設で受ける職業訓練を指します。
専門的な資格の取得ができる
委託訓練は、短大や専門学校の民間施設で受講することで専門的な資格が取得できるのが特徴です。たとえば保育士資格を取得する場合、所定の教育課程を履修し必要な単位を習得しなければいけません。さらに、ピアノの練習や子どもへのお世話など、実践的なスキルを身に付ける必要もあります。
資格取得に必要な教育課程を設けている、また技術やスキルを身に付けるための設備が充実している民間の短大や専門学校へ職業訓練を委託することで、専門的な資格の取得が実現できます。
取得したい資格やスキルに合わせた訓練がある
委託訓練では専門的な資格取得を目指せるコースの他にも、数日間や1週間単位の短期集中型のコースもあります。再就職の希望期間や得たい資格、スキルに応じてコースを選べるのも特徴です。
例として、東京都で実施している委託訓練の一部を以下に紹介します。
委託訓練の内容 | 訓練期間 |
オンラインスキルアップ職業訓練 | 3か月 |
再就職を目指す女性のためのWord・Excel基礎科 | 5日間 |
介護福祉士養成科 | 1~2年 |
保育士養成科 | 2年 |
専門人材育成訓練 | 1~2年 |
母子家庭の母などの特性に応じた訓練 | 1~2か月 |
医療事務科 | 6か月 |
ネットワーク構築科 | 6か月 |
委託訓練で実施しているコースは、各都道府県によって異なります。以下のページでコースや都道府県別の実施状況を検索可能です。
実施組織 | 検索ページ(クリックで移動) |
ハローワーク | 訓練検索・一覧 |
厚生労働省 | 地域毎の訓練情報(公共職業訓練(離職者訓練)関係) |
利用するには条件を満たす必要がある
委託訓練を受講するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 失業保険(基本手当)の給付を受けている
- 委託訓練の受講開始日に、ハローワーク(公共職業安定所)に求職申込みをしている離職者であること
- 公共職業安定所長の受講指示、受講推薦または支援指示を受けている
- ハローワークの職業相談にて、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受けた結果、当該訓練の受講が必要と認められる人
- 原則、受講開始日から1年以内に公共職業訓練または求職者支援訓練の実践コースを受講していない人
- 過去に1年以上の公共職業訓練(委託訓練)を受講したことがない、または正当な理由の無い中途退校をしたことがない人
- 受講を希望するコースによって年齢、性別、学歴での制限あり
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委託訓練受講の流れ
委託訓練を受講する際には、以下の流れに沿って手続きをします。
- ハローワークに求人申し込みをする
- 施設見学会へ足を運ぶ
- 希望の委託訓練への申し込みをする
- 必要に応じて面接選考日時の電話予約をする
- 合格者説明会へ参加する
- 委託訓練の受講開始
それぞれの流れについて解説します。
1. ハローワークに求人申し込みをする
委託訓練を受けるには、以下の条件を満たさなければいけません。
- ハローワークに求職者と認められ失業保険を受給する
- キャリアコンサルティングを受けた結果必要と判断される
- 公共職業安定所長の受講指示、受講推薦または支援指示を受けている
離職後、離職票をもって居住地のハローワークへ足を運び、失業保険の受給手続きを行います。求職者と認められ、失業保険の受給が決定すれば委託訓練の申し込みができます。
委託訓練は受講したいコースによって募集期間が異なります。たとえば東京都の委託訓練で「4月入校」のコースを受講したい場合、募集期間は1月中です。受けたいコースの募集期間に間に合うように、失業保険の受給手続きや委託訓練の受講希望を進めておきましょう。
委託訓練の受講希望であることをハローワークに申し出ると、キャリアコンサルティングを受けます。キャリアコンサルティングでは、今までの職務履歴やスキル、能力などを棚卸ししながら委託訓練の受講が適切かどうか判断されます。
キャリアコンサルティングの結果、委託訓練の受講が必要と判断され公共職業安定所長の受講指示、受講推薦または支援指示を受ければ委託訓練の申し込みが可能になります。
2. 施設見学会へ足を運ぶ
短大や専門学校など、実際に委託訓練を受ける教育機関や施設の見学会が実施されています。必須ではありませんが、見学会への参加が推奨されています。入校後に「イメージと違った」「希望する内容が勉強できなかった」などのミスマッチを防ぐためにも、施設見学会にはぜひ足を運んでみましょう。
施設見学会の日程や申し込み方法は、各委託訓練のコース概要に掲載されています。
3. 希望の委託訓練への申し込みをする
以下の必要書類をそろえて、募集期間内にハローワークへ委託訓練の申し込みをします。
- 必要事項を記入し、写真を添付した民間委託訓練受講申込書
- 94 円切手を貼った「長3」サイズの返信用封筒
4. 必要に応じて面接選考日時の電話予約をする
受講を希望するコースによっては、面接選考が行われる場合があります。面接選考は自分で民間委託施設へ面接の申し込みをしなければいけません。面接の申込期間が指定されているため、忘れずに面接の予約電話を入れておきましょう。
指定の日時に行われる面接選考、および書類選考によって合否が決定し、郵送で通知されます。
5. 合格者説明会へ参加する
合格の通知を受け取ったら、合格者説明会へ参加します。合格者説明会では以下の内容を行います。
- 入校の手続き
- 訓練ガイダンス
- 雇用保険の手当受給手続き
合格者説明会も、日時が指定されています。合格者説明会に参加しなかった場合は受講辞退とみなされるため必ず参加しましょう。
6. 委託訓練の受講開始
受講期間に入ると、委託訓練の受講が開始されます。所定の期間委託施設に足を運び、資格取得やスキルアップを目指しましょう。
なお、受講期間内には失業認定やジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受けるために定期的にハローワークへ足を運ぶ必要があります。
【委託訓練の職種について解説】
委託訓練のコースや職種について、おすすめも含めて以下の記事で解説しています。
委託訓練の4つのメリット
委託訓練を受けることで、以下4つのメリットが得られます。
- 失業保険を受けながら受講できる
- 基本的な受講料は無料
- 資格職への再就職が可能になる
- 受講希望者に応じたコースが豊富
それぞれのメリットについて解説します。
失業保険を受けながら受講できる
委託訓練は失業保険を受給している人を対象とした公共職業訓練です。ハローワークで申し込みを行い、受講が必要と認められれば失業保険を受けながら受講ができます。
基本的な受講料は無料
委託訓練は、基本的な受講料は無料です。再就職のために資格やスキルの取得を目指したい人でも、経済面であきらめてしまうこともあるでしょう。委託訓練を利用すれば、費用をおさえて資格やスキルの取得が実現できます。
なお、基本的な受講料は無料ですが受講するコースによっては以下の費用が発生します。
- テキスト代
- 健康診断料
- オンラインカリキュラム代
- 追試や補講代
具体的に発生する費用については、各コースの概要欄に記載があるため確認しておきましょう。
資格職への再就職が可能になる
委託訓練を利用することで、再就職に有利となる資格やスキルの取得が実現します。保育士や介護士などの資格を取得し、安定した職への就職も可能となります。
受講希望者に応じたコースが豊富
委託訓練は、期間、内容、取得できる資格など豊富なコースが設けられています。さらに、以下のように受講希望者の属性に応じた受講しやすいコースがあるのも特徴です。
- 女性向け
- 45歳以上の再就職を目指す人向け
- 非正規労働者としての経歴が長い人を優先
- 受講中の託児サービスあり
職歴や年齢、子育て中などで再就職が難しいという人にも、受講しやすいコースがそろっています。
失業保険受給中は委託訓練を利用してみよう
失業保険受給とともに利用できる、委託訓練について解説しました。失業保険受給中は、再就職のための活動もしなければいけません。
希望する職種でなかなか就職先が決まらない場合には、委託訓練を利用し再就職に有利な資格やスキルを得るのも有効です。ぜひ委託訓練を活用し、再就職を実現させましょう。
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