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短大から大学、または社会人から大学を目指す方法のひとつに、大学編入があります。大学編入には2年次編入、3年次編入、学士編入などがあり、編入できる時期や条件が異なります。自分の状況に合わせた編入制度を利用するのが重要です。
今回は、社会人や短大から大学編入を目指す人や、大学編入を検討している人のために、大学編入の概要、条件、種類とスケジュール、編入試験の内容や申し込み方法についてご紹介します。
大学編入とは
大学編入とは、4年制大学の途中年次から入学できる制度です。編入学とは、教育課程の一部を省いて他の種類の教育機関へ入学することと定義されています。4年制大学の場合、一般入試などで1年次から入学し4年で卒業しますが、編入制度を利用することで2年、3年、4年次からの入学が可能です。
大学編入では他の教育機関で履修した単位を編入後の大学でも活かせるため、今までの学歴を活かしつつ大学卒業を目指せます。ただし、取得単位がどのくらい編入後に換算されるかは、編入した大学や学部によって異なります。
大学編入の種類と条件
大学編入には以下の種類があります。
- 3年次編入
- 2年次編入
- 学士編入
- 社会人編入
- 内部編入
- 推薦編入
それぞれの特徴や利用できる条件を解説します。
3年次編入の特徴と条件
3年次編入とは、大学の3年次から編入できる編入制度です。編入制度を設けている大学ではもっとも多く採用されており、一般的に大学編入というと3年次編入を指すことが多くなっています。
以下の条件を満たすときに、3年次編入が利用できます。
最終学歴 | 求められる条件 |
4年制大学(在学中含む) | 2年次修了で62単位前後を取得(見込み) |
短期大学(外国の短期大学や日本国内の外国の短期大学相当として指定された学校を含む) | 卒業(見込み) |
専修学校の専門課程(修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上または62単位以上に限る) | 修了 |
修業年限が2年以上その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校専攻科 | 修了 |
ただし、専門士(専修学校卒)や専攻科修了者の編入は受け入れていないなど条件は受験する大学によって異なります。
2年次編入の特徴と条件
大学の2年次から編入できるのが2年次編入です。2年次編入と3年次編入を合わせて「一般編入」とも呼ばれています。ただし2年次編入は3年次編入に比べると一般編入として採用している大学は少なくなります。
2年次編入が利用できる条件は以下の通りです。
最終学歴 | 求められる条件 |
4年制大学(在学中含む) | 以下のいずれかを満たすこと ・1年次修了で31単位前後を取得(見込み) ・2年次修了で62単位前後を取得(見込み) |
短期大学(在学中含む) | 以下のいずれかを満たすこと ・卒業(見込み) ・1年生で所定の単位を取得(見込み) |
大学3年次編入ができる単位を取得していても、以下のように編入後の学部の必修科目の関係から2年次編入(場合によっては1年次後期)となるパターンもあります。
- 医学部や看護学部、薬学部など国家資格取得を目指す学部へ編入
- 教員を目指すために教職課程を履修する
たとえば、現在大学2年次修了時点で62単位取得見込みの人が大学編入を希望した場合には、学部によって以下のパターンに分かれます。
- 経済学部や外国語学部などは3年次編入が可能
- 医学部や看護学部、薬学部などは2年次編入となる可能性がある
- 教職課程を履修するなら2年次編入、または3年次編入でも2年で卒業できない可能性がある
2年次編入を行っている大学の中には、ごく少数ですが短大1年生の受け入れを行っている大学もあります。ただし、ほとんどの大学は3年次編入と同じ短大卒(見込み)が条件です。
学士編入
学士編入とは、4年制大学卒業(見込み)者を対象とした編入制度です。一般編入と学士編入を別に設けている大学もあれば、学士編入のみを受け入れている大学もあります。学士編入は、大学院受験の併願として利用するパターンが多くなっています。
社会人編入
社会人編入とは、学歴ではなく社会人としての経歴を編入の条件として認めている編入制度です。社会人選抜や特別選抜という名称で募集されることもあります。
社会人編入が利用できる条件は大学によって異なります。おもな条件は以下の通りです。
- 所定の年齢
- 社会人としての所定の実務経験年数
- 短大または大学卒業後の所定の経過年数
- 在職中の職場の推薦が受けられる
社会人としての実務経験は、パートやアルバイト、専業主婦の期間が認められるか認められないかも大学によって異なります。
社会人編入は社会人を対象とした編入制度のため、他の編入方法よりも編入試験の対策負担が少ない場合があります。たとえば、一般編入では英語や専門論文が課される一方、社会人編入は面接のみ、または面接と小論文のみという場合もあります。
ただし、社会人編入制度を設けている大学や学部は少なく、大学によっては社会人編入でも一般編入と試験内容が変わらない場合もあります。現在社会人でも、最終学歴が大卒や短大卒の場合は一般編入も受験可能です。社会人編入だけでなく、一般編入の併願も検討しておきましょう。
内部編入
内部編入とは、名前の通り内部の大学や併設校からの大学編入です。内部編入には以下のパターンがあります。
- 同じ大学の異なる学部や学科へ編入する(転部、転籍)
- 併設されている短大から大学へ編入する
- 大学の卒業生が同じ大学の異なる学部や学科へ編入する
内部編入の受験条件は、大学の内部情報となるため公表されていない場合がほとんどです。
推薦編入
推薦編入とは、大学が指定している短大に対して編入希望者を募集し、短大が推薦したものが編入できる制度です。内部編入と同じく推薦編入の条件は公開されていない場合が多くなっています。
編入試験の試験内容
大学編入には、編入試験を受けて合格する必要があります。大学編入の試験内容(試験項目)は以下の通りです。
- 英語
- 専門論文
- 小論文
- 面接
それぞれの試験内容について解説します。
英語
英語は受験する学部や学科問わず編入試験として設けている大学が多くなっています。英語の編入試験には、以下のパターンがあります。
- 受験する学部や学科に関する専門性の高い英文の和訳
- 専門性は低く全学部に共通する英文の和訳
- 試験に加えて、指定する外国語検定試験の基準を満たす
英語は選択式ではなく記述式として出題され、各大学によって内容が異なります。大学の一般入試の英語対策ではなく、大学院受験レベルの英語対策が求められます。大学によっては、TOEICやTOEFLなど指定した外国語検定試験の一定のスコアや合格なども求められます。
受験する大学や学部、学科によっては英語以外の外国語の受験を認めている場合もあります。
専門論文・専門諮問
受験する学部や学科に関する専門的な知識を問う試験です。学部や学科に合うテーマに対して論述する形式や、記述式の試験を課します。
英語の試験と同じく、大学の一般入試とは異なる専門的な知識が求められます。
小論文
大学によっては、専門論文と別に一般的なテーマに対して論述をする小論文を設けているところもあります。ただし、大学によっては「小論文」と記載していても試験内容は専門論文と同じ、というパターンもあるため注意が必要です。
編入を希望する大学や、学部の過去問や傾向などの情報を踏まえて対策を行いましょう。
面接
大学編入の面接は、大学によっていろいろなパターンがあります。名前が「面接」でも、実際に受けると面接官から口頭で問題を出されて答える「口頭諮問」だった、ということもあります。他の試験と同じく、過去問や傾向などの情報を手に入れて対策をしましょう。
大学編入のスケジュールと出願方法
大学編入のスケジュールと出願方法を解説します。
大学編入のスケジュール
大学編入のスケジュールを以下にまとめました。募集や出願は大学によって異なるため、しっかりと情報収集を行いましょう。
季節 | スケジュール | 行うこと |
8月 | 情報収集 | ・志望校選び ・学部や学科選び ・編入制度について調べる |
11月 | 試験対策 | ・試験勉強 ・過去問集め ・出題傾向の分析 |
4月 | 受験準備 | ・募集要項が公表されるので確認 ・志望校の確定 ・出願に必要な書類の準備と作成 |
5月~ | 出願 | 志望校へ必要書類を提出し、出願 |
6月~ | 受験 | 編入試験を受験 |
8月~ | 編入手続き | ・合格発表を確認 ・所定の期日までに入学金などを支払う ・編入手続きを行う |
大学編入は編入試験で専門的な知識が求められるため、早めの受験対策が必要です。所定の外国語の資格取得や基準スコアが必要な場合は、合わせて該当する資格の勉強や取得も進めておきましょう。
編入試験の募集期間や出願期間、試験日は大学によって差があります。志望校を確定させたら、募集要項をしっかりとチェックするようにしましょう。
出願方法
編入試験の出願方法は、郵送、Webなど大学によって異なります。必要な書類をそろえて提出し出願しましょう。おもに編入試験の出願で求められるのは、以下の書類です。
- 編入学志願票
- 成績証明書
- 編入学志願票
- 写真票・受験票
- 卒業(見込)証明書
- 編入学志望理由書・推薦書
- 健康診断書
- 入学検定料振込金受付証明書
- 所定の外国語資格のスコアや合格証書
所定のフォームのものは、大学の公式サイトからダウンロードするか、返信用封筒を同封の上で大学側から取り寄せます。
内部編入や推薦編入の出願方法や条件は、公式サイトで公開されていることもあれば、外部へは詳細を非公開としている場合もあります。現在短大生で内部編入や推薦編入の利用を検討していて情報が公開されていない場合は、学生部などの担当者に確認しましょう。
社会人や短大から大学編入を目指そう
大学編入の概要や種類、受験の条件、編入試験の内容、受験のスケジュールや出願方法を解説しました。大学編入制度を利用すれば、今までの学歴や取得した単位を活かして大学へ編入できます。
一般入試よりも早く卒業できるメリットがある一方、試験内容や募集時期も大学によって異なります。専門的な知識も求められるため、早めに志望校の情報収集や受験勉強をはじめ、社会人や短大から大学編入を目指しましょう。