電気工事士へ転職するために一から学ぼうとする時、独学で、と考えると先が長いですよね。専門学校に入学して電気工事士の資格を得る方法もありますが、学費がかなりかかるのが難点です。
学費を抑えるなら通信講座もありますが、当ブログ一押しなのは、職業訓練の制度です。比較的費用を安く抑えた上で、しっかりカリキュラムを受けられます。
今回は職業訓練の制度を活用して電気工事士の資格を取得する方法やメリットデメリットについて解説します。
電気工事士ってどんな資格
職業訓練を通じて電気工事士の国家資格を得る方法を説明する前に、まずは電気工事士の仕事とは何か、資格試験の内容などについてご説明します。
仕事の内容
電気工事士とは、「建物などで電気を安全に正しく使えるようにする仕事」です。新しくできた建物で電気を使えるように対応したり、既に使用されている建物で新たな電気設備を追加したり、電気設備を改修したりします。
作業場所は電気を使っている所すべてなので、民間企業や公共施設から一般家庭まで、ありとあらゆる場所が対象です。工事の規模や内容によって労働形態はさまざまですので、一般家庭でエアコンを取り付けるような単独作業や、建設作業と並行して電気工事を行うような団体作業もあります。
より具体的に言うと、「電気設備の配線や器具の設置を適切に行う」「電気設備の保守・管理を行う」「電気設備技術基準に適合した作業を行う」などです。
資格の違い
電気工事士となるためには国家資格が必要になりますが、携わることができる仕事の規模によって、第一種と第二種に分類されています。
下記にその違いを列挙します。
比較項目 | 第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 |
取扱範囲 | 最大電力500kw未満の工場・ビル。第二種の範囲を含む | 一般住宅、小規模な店舗・事業所等、家庭用太陽発電設備など、600V以下で受電する設備 |
免状の取得条件 | 試験の合格だけではなく、3年以上の実務経験が必要となる また、5年に1度定期講習を受講する法令上の義務を負う 高齢・退職などを理由とした返納制度がある | 合格して申請すれば、誰でも免状を取得可能 また、免状に有効期限はなく、一度取得すれば更新不要 |
メリット | 求人では第二種よりも優遇され、取扱範囲が広いため、年収も比較的高い | 比較的取得しやすく、実務経験は不要 |
第一種と第二種では仕事ができる範囲に違いがあり、第一種の方がスキルが高くて大規模な仕事ができる分、待遇面で有利に働きます。
資格の取得方法
電気技術者試験センターが実施している第一種電気工事士及び第二種電気工事士試験について、内容は以下のとおりです。
試験種別 | 項目 | 第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 |
学科試験 | 試験方法 | CBT方式またはマークシート筆記の四者択一 | CBT方式またはマークシート筆記の四者択一 |
試験時間 | 140分 | 120分 | |
問題数 | 50問 | 50問 | |
技能試験 | 試験方式 | 持参の作業用工具を使って、配線図の問題を、準備された材料で時間内に完成させる | 持参した作業用工具を使い、配線図で与えられた問題を、支給される材料で時間内に完成させる |
試験時間 | 60分 | 40分 | |
問題数 | 1問 | 1問 | |
合格基準 | 欠陥がなく時間内に作品を完成させること(欠陥の判断基準は事前に公表済み) | 欠陥がなく時間内に作品を完成させること(欠陥の判断基準は事前に公表済み) | |
出題範囲 | 事前に公表される候補問題(10課題)より1題出題 | 事前に公表される候補問題(13課題)より1題出題 |
学科試験は10月上旬に行われ、合格した人または学科試験が免除された人は12月中旬に実施される技能試験を受けることができます。
資格を取得するメリット
電気工事士の資格がないと電気工事ができません個人で活動する場合は定年がないため、一生使えるスキルを身につけることができます。職人といえるため、経験を積めば積むほどスキルは上達していく点でも一生ものの資格といえます。
社会のIT化やオール電化などによるガスエネルギーからの置き換え、太陽光発電の広がりなどで、電気への依存度は年々高まっています。そのため電気工事士のニーズは高く、年中求人が行われています。特に電気工事会社や建設会社、ビル管理・メンテナンス会社では、部署によって必須の資格となっているため、転職にも有利に働きます。
新しく電気工事の業界に転職する場合は、実務経験がゼロで第一種電気工事士資格は取得できないため、まずは第二種電気工事士の資格取得が目標となります。
職業訓練の訓練内容
職業訓練では「電気工事士取得」といったピンポイントな受講内容に限定したコースはありません。電気工事全般に関する内容を学び、電気工事士以外の資格が取得できます。
一例として、ある職業訓練校での電気工事科夜間部のカリキュラムについて、下記に挙げます。
科目 | 時間数 | |
学科 | 電気に関する基礎理論 | 100時間 |
配電理論及び配線設計 | 30時間 | |
電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 | 90時間 | |
電気工事の施工方法 | 70時間 | |
一般用電気工作物の検査方法 | 15時間 | |
配線図 | 50時間 | |
一般用電気工作物の保安に関する法令 | 50時間 | |
実習 | 実習 | 570時間 |
合計 | 975時間 |
なお、修了しただけで第二種電気工事士の免状を得られることがありますが、コースによって異なりますので、訓練内容をよく確認しておきましょう。
職業訓練を通じて電気工事士の資格を取得するメリット
電気工事士の資格を取得するために職業訓練を利用することについて、いくつかのメリットがあります。
基本的に無料で受講できる
職業訓練の1番のメリットは無料で受講できることです。テキスト代や資格受験料などは実費となりますが、学校に通うのに比べると費用面でかなり有利です。電気工事士以外の資格取得にも役立ちますし、電気工事全般のスキルも身につけることができます。
転職活動に役立つ
職業訓練校の最終目的は、利用者が就職・転職できることです。そのため、知識や技能の取得だけではなく、就職活動支援も行われることがあります。職業訓練のカリキュラムには履歴書の書き方や面接でのマナーなども含まれることがありますので、新しい分野へ転職する際にかなり有益です。
職業訓練を通じて電気工事士の資格を取得するデメリット
職業訓練を利用することによって自己負担が少ないメリットがある一方、デメリットもあります。良し悪しをきちんと確認したうえで、職業訓練を利用するかどうか検討しましょう。
拘束時間が長い
拘束時間が長いことはデメリットです。職業訓練校は、専門学校生と同様、多くの時間を訓練校で費やします。昼間部の場合は平日5日間の朝から夕方までみっちり勉強を行います。
欠席をすると授業についていけなくなったり、中途退学になったりする危険性があります。また、修了時に第二種電気工事士の資格が取得できるコースでも、100%出席が条件となっていることがあります。常に体調を整えて欠席にならないよう日程調整を行う必要がある点に注意が必要です。
国家資格試験が取得できない場合も
職業訓練を修了したからといって自動的に国家資格が得られないコースもあります。その場合は、自ら受験に臨み合格しなければなりません。電気工事のスキルを得るだけではなく、特に第二種電気工事士の資格取得を目標にしているのであれば、無駄にならないように勉強に励みましょう。
試験日程に注意
必ずしも国家資格の受験日が訓練修了の日に近いとは限らないという点も意外に重要です。電気工事士第二種の国家試験は、年に2回しか行われません。職業訓練が終わった直後など、自分が思う時期に受験できなければ、転職活動がさらに先へ伸びてしまう可能性があります。
もちろん、訓練を修了したのと同時に第二種電気工事士の資格が取得できるコースであれば試験日程を気にする必要はありません。
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職業訓練を受けた後の就職先や取得可能資格
職業訓練を通じて第二種電気工事士の資格を取得すると、どのような職種に就職できるのでしょうか。また、電気工事士以外にどのような資格が取得できるのでしょうか。
職業訓練を受けた後の就職先
職業訓練校の電気工事士コースを受講後、就職先として考えられる業種としては、電気工事士はもちろん、ビルメンテナンス会社、機器を取り扱う会社のサービスエンジニア、電気設備管理業などが考えられます。
あわせて受けたい職業訓練コース
職業訓練の電気工事科などでは、電気工事士の資格取得だけではなく、消防設備士や技能士など、その他の資格が目指せます。複数の資格を持つことで就職の幅が広がりますので、関連スキルを得るのも良いでしょう。
職業訓練で電気工事士の資格取得を目指そう
職業訓練は自己負担を少なくして受講できるのが大きなメリットです。多くの時間が割かれるため、利用すべきかどうかよく考えながら、職業訓練を通じて電気工事士の資格取得を目指してみてください。
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