OAソフトや社内システムの利用など、今やパソコンなしでは業務の遂行はできない社会となっています。「今までパソコンを触る機会があまりなかった」、「リモートワークが増えてパソコンスキルが無いと転職が難しい」など、あらためてパソコンのスキルを身につけたいという方、近年増えてきています。
そこで今回は、職業訓練でパソコンのコースを受けるメリットやデメリット、訓練終了後に取得できるスキルや活用できる職種などについて解説します。
パソコンコースで学べる内容
職業訓練で学べる内容は多種多様ですので、自分のパソコンスキルを考えたうえで、どのコースを受講するか決める必要があります。
受講コースの例
職業訓練で受講できる内容ですが、厚生労働省のホームページに掲載されている「教育訓練給付制度厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」やハローワークインターネットサービスで調べることができます。
例えばハローワークインターネットサービスで、エリアを大阪、想定する分野を基礎で検索すると、以下のコースが選択できます(一部抜粋)。
コース名 | 訓練内容 |
オフィスビジネス基礎科 | 多数の職務・業種に必要なコミュニケーション・ビジネスマナーを習得する。パソコンを使用した仕事に関する知識及び、技能を習得する。 |
パソコン基礎科 | ビジネス文書作成、表計算データ処理、プレゼンテーションの使用方法及び、基本的な事務作業に関する知識・技能を習得する。コミュニケーション、ビジネス基礎力といった社会人として求められるスキルの向上を目指す。 |
ビジネスアプリケーション・Webページ基礎科 | 職業能力の基礎となるコミュニケーション力やビジネスマナー、ワープロソフト・表計算ソフト・Webページ制作ソフトの使用法及びビジネス文書やWebページ制作に関する知識・技能を身につける。 |
上記以外にもプログラムに特化したコースやパソコン関連の資格取得に特化したコースなど多岐に渡りますので、自分のニーズに合った内容を選択しましょう。
カリキュラムの一例
スキルや学びたい内容によってコースは多岐に渡りますが、実際にどのようなカリキュラムが組まれているか、一例を挙げてみました。ビジネスシーンでパソコンを利用するための基礎的な講座であり、訓練時間は1日6時間40分(休憩時間含む)、訓練期間は6か月です。
科目名 | 科目内容 | 訓練時間 |
ビジネステクニック | パソコンの起動・終了といった基本的な操作だけではなく、ビジネスマナーや会社で働く際の心構えなど、会社員としての基本的なふるまいを学ぶ。 | 63時間 |
ビジネスヒューマン | コミュニケーションを円滑に進めたり、チームワークを高めるためのヒューマンスキルを学ぶ。 | 18時間 |
就職活動計画 | 求人の動向や求人票の見方やポイントを知る。 採用面接を受けるにあたり、履歴書作成のポイントやマナーなどを学ぶ。 | 24時間 |
職業生活設計 | 仕事を探すにあたって、自分の性格や経験などの棚卸しなどを行う。 | 15時間 |
学科 | コンピュータの基礎知識だけではなく、ビジネス文書の作成方法や履歴書・職務経歴書の作成方法を学ぶ。 | 36時間 |
実技 | パソコンを使って文書の作成やオフィスソフトの基本的な操作を行う。 | 183時間 |
その他 | 職業人講話を1回受講する。 | 6時間 |
合計 | 345時間 |
パソコンの基本的な操作だけではなく、就職活動に関する内容や仕事をするのにあたって必要なふるまいなども含まれているため、転職に役立ちます。
職業訓練でパソコンコースを受けるメリット
パソコンのスキルを学ぶにあたり、職業訓練を利用するのにはいくつかのメリットがあります。
安価で学べる
テキスト代や資格受験料などは実費ですが、受講料が無料で、給付金が支給されることです。失業手当を受けられない方でも職業訓練受講給付金の条件に合致すれば、月10万円まで受給できます。ただし、収入などの要件がありますので、確認が必要です。
初心者へのハードルが低い
初心者でも受講しやすいのも大きなメリットです。パソコン初心者向けからプログラム学習まで、多くのコースが設定されており、極端な言い方をすれば、パソコンの電源の入れ方がわからない方でも学習できます。
その代わり、簡単すぎても学習意欲が湧かなくなりますので、自分がもつスキルよりやや上のコースを選びましょう。
関連スキルも身につけられる
希望する職種にも拠りますが、パソコンの操作方法さえ知れば仕事ができるというわけではありません。パソコン自体のスキルだけではなく、ビジネス全般のスキルについてコース内に含まれていることもありますし、別途、簿記などを学ぶこともできます。
職業訓練でパソコンコースを学ぶデメリット
職業訓練を利用することで活用しやすいというメリットがある一方、デメリットもあります。その点をきちんと押さえたうえで、利用するかどうか検討しましょう。
希望が叶えられない可能性
職業訓練は複数のスクールで実施されてはいるものの、あらかじめ開催時期などが決められているため、自分の希望と合わない可能性があるのが、1番のデメリットです。
自分が受講したいコースの開催時期が合わない、開催されているスクールが実家から遠い、受講人数には定員があり面接で落ちて受講できないなどといった要因により、最終的には受講をあきらめることになるかもしれません。
モチベーションが下がりやすい環境
職業訓練を活用して受講する場合、自ら学費を払って受講する場合と比べて受講者の学習意欲が低い方がいる可能性があります。前述のとおり、職業訓練はほぼ無料で受けられる上に月額10万円ほどの給付金がもらえるため、残念ながら受講者のなかに「給付金さえもらえれば良い」と考える人がいる可能性があるのです。
周りに学習意欲が低い人がいると、心理的に引きずられることもあるため、モチベーションを保つように工夫する必要があるかもしれません。
職業訓練を受けるのには面接が必要
職業訓練を利用するには、ハローワークで面接を受ける必要があります。転職を見据えた活動を考えていればそこまで難しくはありませんが、ある程度の準備が必要となります。
どのくらいパソコンを使っていたか
受講コースを申し込む前に面接を受ける際、前職やこれまでの経験によってどれほどパソコンを使っていたのか、実務経験についてできるだけ具体的に伝えましょう。スキルと受講内容のミスマッチを防ぐためですので、正直に伝える必要があります。
訓練修了後に想定する職種
また、訓練を受講した結果どのような仕事に就こうとしているのかについても、明確にする必要があります。職業訓練には税金が投入されますので事前にチェックされますし、希望者が定員を超えると、ふるいにかけるために面接が必要です。
単にパソコンのスキルを身につけたいというあいまいな志望理由では、職業訓練が受けられない可能性がありますので、カリキュラムの内容に即してどのような仕事をしようとしているのか、整理しておきましょう。
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職業訓練で学んだ後は?
職業訓練でパソコンについて学ぶと、実際にどのようなスキルを得られて、どのような職種に就職が可能なのでしょうか。
職業訓練で取得できる資格
職業訓練を受けただけではパソコンに関する資格が取得できませんが、知識は身につけられます。学んだ知識を活かして以下のような資格を、任意で受験できます。
認定機関 | 試験名称 |
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) | Word 2019Excel 2019Power Point 2019Outlook 2019 |
サーティファイ | Word 文書処理技能認定試験Excel®表計算処理技能認定試験PowerPoint®プレゼンテーション技能認定試験 |
パソコン関連の資格を持つと就職できるというわけではありませんが、面接先の会社にある一定以上のパソコンに関するスキルを持っているというアピールになります。
パソコン関連の資格以外でも、カリキュラムによってはパソコン技能検定Ⅱ種試験や秘書技能検定などの資格が取得できる場合もあります。どのような資格取得が想定されるのかについては、それぞれのコースの募集内容に記載されています。
スキルが活用できる就職先
パソコンに関する職業訓練を受けた後に想定される就職先の職種としては、一般事務や営業事務、データ入力業務などが挙げられます。これ以外に簿記や医療事務に関する職業訓練を受けると、さらに幅が広がるでしょう。
パソコンのスキルを職業訓練で得よう
職業訓練ではパソコンスキルだけではなく、転職活動で役立つことや会社で勤めるのに必要なビジネススキルも合わせて学べるのが大きな魅力です。職業訓練のメリットやデメリットを考慮したうえで、積極的に活用しましょう。
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