↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓
新しい仕事に就きたいと思っていても、スキル不足でなかなかうまくいかないという方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのが職業訓練です。希望の職種に必要なスキルを身に付けることができる上に生活費の心配も軽減される施策もあります。
今回は、職業訓練を受講した場合のメリットと、就職率がアップするとされている人気のコースや職種についてご紹介します。
厚生労働省管轄の職業訓練とは?
職業訓練には、公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類があり、雇用保険が受給できる方とできない方で、受けられる職業訓練が違います。共通しているのが、どちらも受講料は原則無料という点です。少ない負担でスキルアップができます。
職業訓練の費用と給付
職業訓練は、受講料が原則無料な上に給付金が支給されるなど生活支援も行われています。加えて、受講手当や通所手当も支給されるという手厚いサポートもあり、仕事をしたい方が希望する仕事にチャレンジできる制度です。
公共職業訓練(離職者訓練)の詳細は以下のとおりです。
対象者 | 雇用保険を受給している方 |
費用 | 無料(テキスト代などは実費負担、有料講座もあり) |
訓練期間 | ・3か月~2年 |
メリット | ・受講手当日額500円の支給(上限あり) ・通所手当の支給(通所方法により支給額、上限あり) ・職業訓練終了時まで雇用保険の日数は延長 ・職業訓練中はハローワークへの通所不要 |
求職者支援訓練の詳細は以下のとおりです。
対象者 | ・雇用保険が受給できない方 ・雇用保険受給が終わった方 ・一定額以下の収入のパートタイムで働いている方 |
費用 | ・無料(テキスト代などは実費負担) |
訓練期間 | ・2~6か月 |
メリット | ・職業訓練受講給付金月額10万円の支給(一定収入がない方対象) ・通所手当の支給(通所方法により支給額、上限あり) ・寄宿手当の支給(往復所要時間が4時間以上の方などが対象) |
高度なスキルアップが目指せる教育訓練給付制度
職業訓練にはない、国家資格免許やスキルアップを目指したい方には「教育訓練給付制度」があります。一部費用負担が発生しますが、幅広い職種に就くための講座が充実しています。
教育訓練給付制度の詳細は以下のとおりです。
対象者 | ・雇用保険に通算3年以上加入している方(初めての利用は1年以上) ・離職し、受講開始から1年以内の方 |
費用 | ・専門実践教育訓練:受講費用の50%(年間上限40万円) ・特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円) ・一般教育訓練:受講費用の20%(上限10万円) |
訓練期間 | ・1か月~3年 |
メリット | ・在職中でも受講が可能 ・厚生労働大臣の指定を受けた対象講座が約14,000講座 ・受講中雇用保険が切れた方には教育訓練支援給付金の支給 |
職業訓練のコース一覧
職業訓練のコースは幅広い分野にわたります。ここではどのような職種に関して学べるのかを取り上げてみました。
公共職業訓練の講座
訓練の種類 |
職種/訓練コース |
訓練コースの詳細 |
|
施設内訓練 |
短期課程 |
介護関係 |
介護サービス科、福祉用具科など |
塗装・印刷関係 |
DTP科、U-30建築塗装科など |
||
その他 |
ジョブセレクト科、住宅リフォーム科など |
||
委託訓練 |
長期高度人材育成コース |
介護福祉士養成科・保育士養成科など |
|
その他 |
貿易実務科、医療事務科、財務管理科など |
公共職業訓練には、施設内訓練と委託訓練の2種類があります。施設内訓練は、ものづくり系の講座が多いのが特徴です。各地域にある職業能力開発センターで受講します。
一方、委託訓練は専門的な技能を習得できる点が特徴です。民間の教育訓練機関が主体となり講座を受講します。
求職者支援訓練の講座
職種/訓練コース | 訓練コースの詳細 |
ビジネス基礎 | オフィスワーク科、ビジネスパソコン科など |
IT分野 | WEBアプリ開発科、Android/JAVAプログラマ養成科など |
営業・販売・事務分野 | 営業販売科、OA経理事務科など |
医療事務分野 | 医療・介護事務科、調剤事務科など |
介護・医療・福祉分野 | 介護職員実務者研修科、介護職員養成科など |
デザイン分野 | WEBデザイナー科、広告・DTPクリエーター科など |
その他の分野 | 3次元CAD活用科、ネイリスト養成科など |
求職者支援訓練は、民間の教育訓練機関が主体となって実施し、社会人としての基本的なスキルから実践的な技術まで習得できます。働く意欲が高まる講座内容と評判です。
教育訓練給付制度の講座
職種/訓練コース |
訓練コースの詳細 |
専門実践教育訓練指定講座 |
介護福祉士、看護師、保育士などの資格を目指す講座 |
教職大学院、法科大学院など大学院・大学課程 |
|
商業実務、衛生関係など専門学校の課程 |
|
第四次産業革命スキル習得講座などデジタル系講座 |
|
特定一般教育訓練 |
介護職員初任者研修、大型自動車第一種免許など |
基本情報技術者試験など |
|
特別の課程(保健)、特別の課程(社会科学・社会)など |
|
一般教育訓練 |
英語検定、簿記検定など資格取得が目標の講座 |
修士・博士の学位など大学院などの課程 |
教育訓練は専門実践教育訓練と特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類にわけられています。専門実践教育訓練は、就職に直結する国家資格が取得できる講座が多く、特定一般教育訓練はキャリアアップに役立つ高度な資格が取得できる講座が多いのが特徴です。
一般教育訓練は、知識や技術を身につける講座が中心となります。
【職業訓練校の詳細はこちら】
職業訓練校の概要や制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
就職に有利なおすすめのコース
厚生労働省では求職者の動向や人材不足とされる職種を踏まえて、職業訓練のコースが用意されています。さまざまなコースがありますが、定員数が設定されているので注意しましょう。
おすすめは、医療系が人手不足という点から就職に有利となる医療系訓練コースです。医療系の職種は、全国的に活躍できる分野という点でもおすすめします。コースへの申込倍率も高くない傾向にあり、学びたい方が学びたいときに申し込みやすいでしょう。
収入アップが見込める看護師が人気
社会的に人材不足とされているのが「看護師」です。昨今の社会状況も加わり看護師不足は深刻化していています。そのため、国では看護師に対する賃金改善の施策が取られているので、収入アップが見込めるでしょう。
看護専門学校は教育訓練給付制度対象
国では、医療サービスの提供に支障をきたすための看護師不足対策が取られています。厚生労働省では数多くの看護学校を教育訓練給付制度対象に指定し、看護師の育成をバックアップしています。
「学費面が心配」と思っている方も教育訓練給付制度を利用すれば、学費の負担軽減が可能です。一度社会人になった方も看護師の資格取得が目指せます。
看護専門学校は専門実践教育訓練指定の対象講座です。例えば、3年間通った場合には、最大168万円の給付金が受給できます。
年間学費100万円の看護学校に3年間通うケース | 給付金 |
年間学費の50%(年間上限40万円)が在学中3年間分支給 | 40万円 × 3年間 = 120万円 |
受講修了後に看護師資格を取得し、修了した日の翌日から1年以内に病院等に就職すると、学費の70%で再計算され、差額分の20%(年間上限16万円)が3年間分を支給 | 16万円 × 3年間 = 48万円 |
合計給付金 | 168万円 |
再就職・転職しやすい介護系職種
日本は超高齢化社会に突入するとされ、介護系の職種は医療の現場で担う役割がより大きくなっていく傾向にあります。将来性があり、現状売り手市場の職種です。
将来性が高い理学療法士や作業療法士
介護系職種の中でもおすすめなのが理学療法士や作業療法士です。理学療法士や作業療法士は、病院のリハビリテーション科など医療機関でのお仕事が一般的でした。しかし、昨今では訪問リハビリテーションや介護施設、福祉施設などでも必要とされている職種です。
理学療法士や作業療法士は国家資格が必要で専門学校に通う必要があります。資格取得を目指すために、専門実践教育訓練に指定されている専門学校に通いましょう。看護専門学校と同様に、3年間通った場合最大168万円の受給が可能です。
自分に合った職業訓練を見つけよう!
職業訓練はたくさんのコースがあり、新たな職種に挑戦できる体制が整ってます。ぜひ今回ご紹介した内容を参考にして、職業訓練を見つけて新たな技術や資格を身につけてください。技術や資格を持った人は、企業にとってメリットがあり必要とされ転職もしやすいでしょう。
また、卒業後すぐに就職するのではなく、一旦社会人になってから職業訓練校や専門学校に通い国家試験などを目指すのは大変と考えられます。しかし、一度取った資格や身につけたスキルは一生ものです。ぜひ、国の施策を利用して自分に合った仕事、やりがいのある仕事に出会ってください。