学費の一部が返ってくる?社会人のための「教育訓練給付制度」

教育訓練給付制度 上手に使って負担ない勉強を

社会人が自身のキャリアアップや自己啓発のために勉強をしたり、現在失業中の方がスキルを身につけるために勉強をしたりするなど、社会人になっても勉強の必要性は高まっています。勉強するにはお金がかかるのですが、その費用の一部を給付してもらえる制度があることはご存知でしょうか。

教育訓練給付制度といいますが、利用には一定の条件があります。今回は、教育訓練給付制度の概要や利用条件、申請方法、利用できる講座内容などについてご紹介します。

制度の概要

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教育訓練給付制度について、厚生労働省の公式サイトでは以下のように説明しています。

教育訓練給付制度とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。

引用:厚生労働省「教育訓練給付制度」より

具体的にはどのような制度なのでしょうか。

教育訓練給付制度とは?

教育訓練給付制度とは、雇用保険に一定期間以上加入中の労働者が、職業訓練を受けたり資格試験取得のために通学したり通信教育を受けたりと、国の指定を受けた教育訓練機関を使って勉強した場合に、負担した学費の一部が国から支給されるという制度です。

国がこの制度を作った目的は、失業者を減らすことや労働の生産性を上げることにあります。労働者の積極的なスキル向上を後押しすることで、能力不足や企業とのミスマッチが原因となる失業を防いだり、再就職をスムーズに行えるようにしたりします。

労働者がより高い付加価値を生み出す職に就けることを、目的としているのです。

給付の種類

教育訓練給付制度は1998年(平成10年)から開始されましたが、2014年(平成26年)に改正され、「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2種類となっています。

2種類の給付金の違い

「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の違いはどのような点にあるのでしょうか。下記にまとめました。

 一般教育訓練給付金専門実践教育訓練給付金
制度の概要・厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了後に、自己負担した授業料などの一部が支給されるという制度。
・対象となる教育訓練は、英会話やパソコンスクール、資格取得に関する通信教育など、幅広い対象が含まれている。
・一般教育訓練給付金と同様、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了すれば支給される。
・教育訓練の対象が看護師・介護福祉士・建築士の資格取得を目的とする専門学校などへの入学や、比較的専門性が高く長期間の職業訓練を受ける場合に対象。
給付の要件・受講開始日において雇用保険の被保険者資格を有する期間が3年以上。(初めて支給申請をする方については、1年以上)
・退職者の場合は、退職日の翌日から起算して1年以内(妊娠・出産等などの理由があれば4年以内)に受講を開始する必要がある。
・前回の訓練給付金を受けてから、3年以上が経過していなければならない。
・受講開始日時点で雇用保険の被保険者資格を有する期間が3年以上。(初めて支給申請をする方については、2年以上)
・退職者の場合は、退職日の翌日から起算して1年以内(妊娠・出産等などの理由があれば4年以内)に受講を開始する必要がある。
・前回の訓練給付金を受けてから、3年以上が経過していなければならない。
支給額・教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち、20%に相当する額 (10万円が上限であり、4,000円を超える場合のみ)・教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち、50%に相当する額。(1年間で40万円が上限であり、訓練期間は最長で3年間。また、4,000円を超える場合のみ)
・専門実践教育訓練の受講を終了した後、指定の資格試験等に合格した場合は、さらに20%を事後加算。(1年間の上限は、合わせて56万円)  

教育訓練支援給付金

さらに、退職後に専門実践教育訓練を受ける際に「受講開始時点で45歳未満であること」「専門実践教育訓練を修了する見込みがあること」など、一定の要件を満たすと、専門実践教育訓練給付金とは別の「教育訓練支援給付金」という給付が受けられます。

これは教育訓練期間中に所得補償として給付されるもので、対象となる期間1日につき、雇用保険の基本手当における日額の80%にあたる金額が給付されます。

申請から支給の流れについて

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ここでは教育訓練給付制度を利用するのに必要な申請手続きについて、説明します。

申請を行う時期

受講者本人の現住所を管轄するハローワークの窓口で必要書類を提出し、申請を行います。一般教育訓練給付金の場合、支給申請期限は教育訓練の受講修了日の翌日から1か月以内です。

一方、専門実践教育訓練給付金は訓練が長期間にわたりますので、訓練期間内で6か月ごとに期間を分割し、それぞれの期間における最終日の翌日から起算して1か月以内に申請を行う必要があります。

専門実践教育訓練給付金に関する注意点

専門実践教育訓練給付金の場合には、別途、事前の手続きが必要となります。訓練開始日の1か月前までに、キャリアコンサルタントが行なう訓練前のキャリアコンサルティングを受けることで、ジョブ・カードの交付してもらえます。このジョブ・カードは後にハローワークへ提出する必要がありますので、大切に保管しておいてください。

おすすめの資格

夢の職業を目指す

資格取得のための通信教育や専門学校はたくさんありますが、ここでは、実際に教育訓練給付制度が活用できる資格について、いくつかの事例をご紹介します。なお、実際に制度の対象となる学校名や通信教育サービスを行なっている企業名と対象講座については、厚生労働省の公式サイトにある「教育訓練講座検索システム」で確認が可能です。

一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金の対象となる講座は多岐に渡り、例えば通信教育大手のユーキャンでは、2021年10月1日現在で、以下の講座が対象です。

ジャンル資格名
法律関連 行政書士
財務関連ファイナンシャルプランナー、簿記2級、建設業経理士2級
不動産関連宅地建物取引士、マンション管理士・管理業務主任者
人事関連社会保険労務士、メンタルヘルス・マネジメント検定(II種)
事務関連医療事務、調剤薬局事務
福祉関連介護福祉士、ケアマネジャー、福祉住環境コーディネーター、社会福祉士、保育士 
IT関連ITパスポート
国際関連通関士、日本語教師養成
工事関連第一種電気工事士、第二種電気工事士
設備点検関連電験三種、二級ボイラー技士
飲食関連調理師、衛生管理者
デザイン関連インテリアコーディネーター、カラーコーディネート
その他登録販売者、旅行管理者、気象予報士、運行管理者(貨物)、危険物取扱者

もちろん、ユーキャン以外の通信教育でも対象講座はあり、専門学校の講座も多数対象となっています。

専門実践教育訓練給付金

看護専門学校入試情報が満載専門実践教育訓練給付金については、対象期間が長く、専門的な知識を要する資格が対象となっています。資格が必要な職業で、専門実践教育訓練給付金の対象となっている講座には、以下のようなものがあります。

ジャンル資格名
医療関連看護師、准看護師、助産師、歯科衛生士、はり師、柔道整復師、理学療法士、
言語聴覚士、あんまマッサージ指圧師、歯科技工士、臨床工学技士、
作業療法士、視能訓練士、きゅう師、義肢装具士
福祉関連社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士、保健師、臨床検査技師
美容関連美容師、理容師
工事関連電気工事士
建設関連建築士、測量士、測量士補
飲食関連調理師、栄養士、製菓衛生師、管理栄養士
乗物関連海技士、航空運行整備士
その他キャリアコンサルタント

教育訓練給付制度を活用しよう

今回は、社会人が資格を取得する場合に役立つ教育訓練給付制度の内容について、ご説明しました。現代は労働環境や市場の変化により、日々の仕事をこなすだけではなく、常にスキルアップが必要な時代です。

再就職を希望される場合、スキルアップは重要です。教育訓練給付金や教育訓練支援給付金といった制度がありますので、給付条件を十分に確認のうえ、上手に活用してスキルアップを図ってみてください。