公務員試験の受験資格を見ると、転職組に広く門戸を開いていることがわかるはずです。行政が抱える課題が多様化していることから、即戦力となりえる専門性の高い人材が求められています。
そこで転職を検討中の方は、民間経験者採用の公務員試験もぜひ視野にいれましょう。今回は社会人採用枠の公務員試験の概要、よくある質問や勉強すべき内容についてご紹介します。
転職組も受験できる3つの公務員試験
ここでは、転職を検討中の社会人に向けて、地方上級・市役所行政職の公務員試験の概要をご紹介します。
社会人が公務員を目指す方法は、大きく次の3つです。
- 大卒程度を対象にした一般枠
- 社会人採用(民間経験者採用)
- 就職氷河期世代対象
では、それぞれについて見ていきましょう。
大卒程度を対象にした一般枠
ほとんどの自治体で実施されている公務員試験です。ここでは大卒程度を対象にした一般枠の公務員試験について、概要をご紹介します。
一般枠の採用情報 | 募集の概要 |
対象者 | 大学の新卒者のほか、年齢要件を満たす新卒者や既卒者、社会人 |
受験資格 | 概ね年齢要件のみ |
試験内容 | ・1次試験では教養択一・専門択一・論文(課題式)など ・2次試験では個別面接・集団面接・集団討論など |
試験時期 | 例年、6~10月に実施されることが多い |
社会人採用(民間経験者採用)
募集される試験区分や募集人数は限定的ですが、職務経験をもとにアピールできるのが社会人採用(民間経験者採用)です。ここでは社会人採用(民間経験者採用)の公務員試験について概要をご紹介します。
民間経験者の採用情報 | 募集の概要 |
対象者 | 専門知識・技能を備え、行政への即戦力として活躍できる人材 |
受験資格 | 年齢要件+職務経験年数ほか、活動経験など |
試験内容 | ・1次試験では教養択一・職務経歴書・論文(課題式・経験論文)など 「SPI3」などの適性検査が実施されるケースもある ・2次試験では個別面接など ※面接試験は複数回に及ぶことが多い ※3次試験まで実施されることもある |
試験時期 | 自治体により異なるものの、9月実施のケースが多い 年に複数回実施するケースもある |
就職氷河期世代対象
就職氷河期世代とは、雇用環境の厳しいバブル崩壊後の1990〜2000年代に就職活動をした世代のことです。厚生労働省は、さまざまな問題を抱える就職氷河期世代の支援に乗り出しています。
就職氷河期世代の採用情報 | 募集の概要 |
対象者 | 就職氷河期世代で、安定した雇用の機会に恵まれなかった人 |
受験資格 | 以下の要件が加わる場合がある ・職務経験 ・雇用期間 ・学歴 |
試験内容 | 主に以下の試験項目になる ・教養試験 ・SPI3 ・基礎能力試験 ・作文試験 |
試験時期 | 自治体により異なるものの、9月実施のケースが多い |
社会人採用枠の公務員試験に向けて勉強すべき内容とは
一般的に、社会人採用枠の公務員試験に向けては、主に次の3つの試験科目について勉強する必要があります。
- 教養試験
- 論文試験
- 面接試験
なお難易度については自治体によって異なるため、自治体別の対策問題集がおすすめです。では、それぞれの科目について見ていきましょう。
教養試験
教養試験の内容は次のとおりです。
- 判断推理
- 数的推理
- 文章理解
- 社会科学
勉強のポイントは、教養試験の中で最も配点が高い「判断推理」に時間をかけることです。また効果的に得点アップを狙える「数的推理」も重要です。いずれも解法パターンを身につけることで、得点率をアップできます。
弊社の「公務員試験要点解説講座」を活用すれば、長らく勉強から遠ざかっている人も解法の習得がスムーズです。直前対策には、模試形式の「教養試験合格レベル問題集」を繰り返し解くと実力がつきます。
なお新卒者も対象にした一般枠の公務員試験と比べると、教養試験の難易度は低めです。専門試験が実施される場合でも、総じて難易度は低めと考えてよいでしょう。ただし教養試験は足切りとして利用されるケースがあるので、対策をおろそかにはできません。
また教養試験が実施されず、論文試験のみのケースもあります。
論文試験
論文試験は、人物評価につながる重要な試験です。論文は「書く面接」とも呼ばれ、社会人採用・民間経験者採用では、教養試験よりも論文試験が重要視される傾向にあります。
合格点を得られる論文を作成するためには、内容はもちろん好印象を与える「型」を学ぶことが大切です。弊社では「公務員願書+論文最強ワーク」をご用意しております。民間と公務員の違いをあらためて認識し、公務員らしい判断を身につけられる音声講義つきです。
論文試験では、職務経験にまつわるテーマが出題されるので、これまでの職務経験についてよく整理しておきましょう。そのうえで今まで自分が何を達成できたのか考えつつ、時間を計って論文を書く練習をすることが大切です。
事前準備次第で合否に差がつきますので、教養試験の勉強を始めるタイミングで論文試験対策も始めてください。
面接試験
公務員試験では、面接試験の配点がとくに高く設定されています。教養試験の対策ばかりに夢中になっていると、面接試験対策が手薄になりがちです。そこで教養試験の対策を始めるタイミングで、面接試験の対策も始めましょう。
面接試験の対策は、論文試験の対策をしながらできます。職務論文を書く練習をしているうちに、面接で頻繁に聞かれる自己PRや志望動機を作成することになるからです。「公務員願書+論文最強ワーク」なら、志望動機の作成に役立つ「自己分析」もできます。
論文対策との違いは、自己PRや志望動機を作成したら面接官の立場で質問を考える点です。面接官の視点で自分が作成した自己PRや志望動機に対する質問を考え、誰もが納得する回答も作成するようにしましょう。
公務員試験にまつわるよくある質問
ここでは社会人採用の公務員試験について、よくある質問を以下のとおりまとめました。
- 会社を辞めて勉強に専念すべき?
- 居住地、出身校、職歴、併願状況は合否に影響する?
- 公務員試験の試験日程はどう調べればいいの?
では、それぞれについて見ていきましょう。
会社を辞めて勉強に専念すべき?
会社を続けながら、社会人採用の公務員試験を目指す人は多くいます。教養試験と論文・面接で受験できる市役所が多くあり、専門試験が課されない自治体や試験区分を選べば対策がしやすいといえるでしょう。試験区分によっては、教養試験もないことがあります。
つまり社会人採用枠を活用して転職を検討する場合は、公務員試験の情報収集こそが対策の鍵です。試験の日程や試験科目を調べてから、勉強の方針をたてスケジュールを組むことで独学も可能です。
自治体別の対策問題集の入手、通信講座やオンライン講義など、さまざまな対策方法があるのでチェックしてみてください。
居住地、出身校、職歴、併願状況は合否に影響する?
募集要項などをみると「試験の結果のみで合否が決定される」とあります。つまり地元の自治体を受験しておけば、有利というわけではありません。試験日程が重ならなければ、遠方の自治体の公務員試験との併願も可能です。
ただし公務員試験では、面接試験の配点が非常に高いことに留意してください。「なぜ、この自治体を選んで公務員試験を受けているのか?」という質問に、説得力のある回答を用意しておく必要があります。
「前年の倍率が低かったから」では合格点は得られませんので、十分な事前対策が必要です。
公務員試験の試験日程はどう調べればいいの?
公務員試験の試験日程は、志望している自治体の採用情報で調べるのが一番正確です。前年度の情報も参考情報として、受験案内のページに掲載されています。日程など基本情報を調べるのはなかなか骨が折れますが、転職のために戦略を練る必要があるので丁寧に調べましょう。
退職者の状況などの事情で、年度によっては公務員試験が実施されない試験区分もあります。とくに民間経験者採用や就職氷河期世代向けの公務員試験においては注意が必要です。
市役所を併願する場合には、志望する市役所がA日程・B日程・C日程、さらにイレギュラーなD日程の内でどの区分なのかを確認しましょう。例えば、併願する市役所がどちらもA日程だと、併願ができないので注意が必要です。
公務員試験の日程一覧はネットでも確認できますが、それらは第三者が作成したまとめ情報です。裏付けのためにも、志望する自治体の公式ホームページで試験日程や科目などの情報を必ず確認するようにしましょう。」
40代でも遅くない!転職なら公務員試験を目指そう
社会人採用(民間経験者採用)試験では、受験資格をしっかりチェックしてください。年齢の上限も緩和されつつあり、59歳まで受験できる自治体もあります。公務員試験合格を目指すのは、40代でも遅すぎません。
職務経験の認定は自治体によってさまざまですが、アルバイトやパートの経験も算入できるケースがあるのがポイントです。そこで転職を思い立ったら「公務員になるのは無理」と諦める前に、まずは気になる自治体の採用情報をチェックしてみると良いでしょう。
自治体の公務員試験合格を転職先として狙うなら、弊社、公務員試験サクセスに対策をぜひお任せください。