スケールの大きな仕事に従事できる、社会的信用の高い公務員への転職を考えている社会人の皆さん、年齢を気にして、受験をあきらめている人はいませんか?
たとえ中高年であっても、中途採用で公務員になれる可能性は十分にあります。むしろ社会経験がある分、多様な人材が欲しい国や市は、皆さんを求めています。
そこで今回は中途採用で公務員を目指す3つの方法や注意点、合格を目指す4つのポイントについて解説します。
59歳まで目指せる!中途採用で公務員になる3つの方法
中途採用で公務員になるには、採用試験に合格する必要があります。そこで、まず確認したいのが採用試験案内に記載された年齢の上限です。近年では制限が緩和され、受験可能な年齢の上限は上がっています。
自治体や職種によって年齢要件は大きく異なりますが、民間経験者の採用枠を中心に年齢要件を59歳とするケースもあるのです。このため多くの社会人経験者が、公務員への転職を目指す環境が整いつつあるといえるでしょう。
以上を踏まえて、ここでは公務員へ転職する方法として次の3つをご紹介します。
- 方法1. 大卒程度一般枠
- 方法2. 地方自治体の社会人枠
- 方法3. 国家公務員の経験者・社会人枠
それぞれの方法について見ていきましょう。
方法1. 大卒程度一般枠
大学を卒業してから数年程度しか社会人を経験していないなら、大学卒業程度の公務員試験を一般枠で受験することが可能です。国家公務員試験では年齢上限が30歳未満で統一されています。
都道府県や市役所などの地方公務員試験では、大卒程度一般枠の年齢要件が統一されていません。上限を27〜35歳とするケースが多く、59歳まで受験可能な試験もあります。地方公務員試験では、自治体によって年齢要件にバラツキや見直しがあるため、最新の採用試験案内をチェックしてください。
国家公務員試験の中でも、ある程度の人数を採用している職種として次の5つが挙げられます。転職を計画する際に、参考にしてください。
- 国家総合職
- 国家一般職
- 国税専門官
- 財務専門官
- 裁判所職員
なお、高卒程度試験や初級区分の地方公務員試験においては、年齢上限が若い年齢に設定されています。中途採用で公務員になるには現実的な方法ではないため、今回は取り上げていません。
ただし稀なケースとして、警視庁警察官Ⅲ類のように高卒程度試験でも年齢上限が30代半ばという例があります。
方法2. 30歳以上は地方自治体の社会人枠
社会人枠での受験は、民間から中途採用で公務員へ転職する際に最も一般的な方法です。
30歳をすでに超えている人は、地方自治体の社会人採用枠を受験することを検討しましょう。
受験にあたっての要件には、次のような特徴があります。
- 年齢要件に「30歳以上」といった下限がある
- 職務経験年数に「5年以上」といった要件がある
ある程度のまとまった期間、民間企業で勤務した経験のある人なら、簡単にこれらの要件をクリアできるでしょう。また、年齢要件の下限を20代とする自治体もあります。たとえば東京特別区の経験者採用は採用規模が大きく、20代で受験できる代表的なケースです。
また民間からの転職ばかりでなく、公務員から公務員への転職もありえます。「民間企業等」における職務経験を要件とし、国家公務員や地方公務員の職務経験も含む自治体があるからです。
方法3. 国家公務員の経験者採用枠
マイナーな方法ですが、国家公務員の経験者採用枠を受験するのも、公務員に転職する1つの方法です。ただし係長級、あるいはそれ以上のいわゆる幹部採用試験となるため、採用にあたって求められる知識・能力・経験のレベルはかなり高いものといえるでしょう。
採用予定数も少なくかなり難関なので、国家公務員の経験者採用だけを受験するのはリスクが大きく、おすすめできません。受験する際は、前述した地方公務員の社会人枠と併願するのがおすすめです。
中途採用で公務員に転職する際の3つの注意点
中途採用で公務員になるには採用試験を受験する必要がありますが、いくつか知っておきたい注意点があります。ここでは、公務員へ転職する際の3つの注意点について見ていきましょう。
大卒程度一般枠と社会人採用枠の違い
大卒程度一般枠と社会人採用枠では、いくつか違いがあります。自分にとってのメリット・デメリットを見極めて受験先を選ぶようにしましょう。
大卒程度一般枠 | 社会人採用枠 | |
対象 | ・新卒者 ・既卒者 ・社会人 (民間のように新卒者が有利ということはない) | ・民間企業等で実務に従事していた職務経験のある即戦力 |
受験資格 | ・年齢要件をクリアできれば受験可 (主に行政事務職の場合) | ・年齢要件 ・職務経験年数 ・プラスアルファの要素 |
採用試験の実施 | ・ほとんどの自治体で毎年実施される | ・実施しない自治体が一定数ある |
採用人数 | ・多い | ・少ない(倍率が高くなりがち) |
試験実施時期 | ・国家公務員および特別区・政令指定都市・県庁などの地方公務員の主要な採用試験は5~6月が多い | ・9月頃の実施が多い |
試験日程 | ・他の志望する自治体と重なることが多く併願しづらい | ・概ね自治体ごとに試験日が異なるので併願しやすい |
試験合格のポイント | ・専門試験も課されるケースもあり、筆記試験対策に時間をかける必要がある | ・公務員では得難い対外折衝能力や問題解決能力が求められる ・民間等での職務経験のプレゼンが採用担当者に評価されれば、合格の可能性が高まる |
公務員採用試験は、選考試験という性質から受験料は無料です。しかも社会人採用枠の試験日程はズレが多いため、大卒程度一般枠では併願が難しい複数の自治体で採用試験を受験できます。
なお同じ自治体で大卒程度一般枠と社会人採用枠がある場合、たとえ試験日が別でも併願できない可能性もあります。申し込み前に、採用試験案内を確認したり受験する自治体に問い合わせたりして可否を確認してください。
転職活動における公務員と民間の違い
転職活動において公務員と民間の違いといえば、書類選考の有無です。公務員採用試験では、受験の申し込みをした人はすべて採用試験に臨めます。民間のように、応募しても実際に書類選考が行われているのかも分からず時間が過ぎるということはありません。
ただし公務員になるには、採用試験に合格するための対策準備が必要です。そのため民間と異なり、自分の都合のいいように転職時期を決められません。
無事に合格すると、人事委員会が作成した採用候補者名簿に記載され、原則として4月に任命権者(市役所であれば市長)によって採用される流れです。また公務員の世界ではあらかじめ入庁日が決まっており、自身の都合に合わせて別の日に変更をお願いすることはできません。
合格後の退職スケジュールを組み、現在抱えている業務の引き継ぎをしっかり行えるようにしましょう。
準公務員になるには公務員採用試験は不要
公務員に似た働き方や待遇を希望していて、中途採用で安定性の高い仕事に転職したい場合は、準公務員という選択肢もあります。準公務員とは「みなし公務員」とも呼ばれ、国民の生活を支えるインフラなど公共性や公益性の高い仕事に従事する労働者のことです。
たとえば郵便局職員、電力・ガス会社の職員、国立大学の職員や教習所の検定員などが挙げられます。準公務員の雇用先は民間企業である点が、公務員との大きな違いです。
準公務員になるには一般的な採用試験や面接に合格すればよく、時間をかけて公務員採用試験の対策をする必要はありません。企業や団体ごとに採用情報をチェックしてみてください。
民間から公務員試験で合格を目指す4つのポイント
民間から中途採用で公務員になるには、どうやって合格を目指せばいいのでしょうか?ここでは、民間から公務員試験で合格を目指す4つのポイントをご紹介します。
採用試験案内を集める
中途採用で公務員になるには、情報収集がとても重要です。公務員の種類は多岐にわたるため、視野を広げて自治体や国家公務員の採用試験案内を集めましょう。直近の採用試験案内から年齢要件を確認して、自分の年齢で受験できる公務員の種類を絞り込みます。
転職の可能性を広げるため、専門職である裁判所事務官、国税専門官などの情報もリサーチするのがおすすめです。社会人採用枠はありませんが、30歳未満なら受験できます。ゼネコン出身であれば、地方自治体の技術職である土木職や建築職などもチェックするといいでしょう。
一般枠あるいは社会人採用枠か選択
年齢や職務経験から、一般枠あるいは社会人採用枠のいずれの受験条件も満たしている人がいるでしょう。採用試験案内に記載されたそれぞれの枠の採用人数を調べた上で、試験内容などから自分にとって有利な立場で受験できる採用枠を選択することが重要です。
公務員の種類によっては、一般枠しか採用を行っていないものもあります。社会人採用枠は中途採用を目指す人の間で人気ですが、業務遂行に必要な高いレベルの知識や能力が必要です。即戦力として自身の実績をアピールできなければ、採用には至りません。
集めた採用試験案内で実施される試験の種類を確認して、自分なりの戦略を練りましょう。
採用試験で出題される科目の調査
受験資格を確認し、受験する公務員の種類が決まったら、出題される科目の調査を行いましょう。
近年では、従来型の公務員試験ではなく、民間の採用試験で活用されるSPIやSCOAなどの適性検査を導入する自治体も増えています。さらに事務適性検査が実施されることもあるので、試験当日に慌てないためにも事前にチェックしておくことが大切です。
従来型の筆記試験の対策は、すべての科目を自分のやり方で学習すると効率が悪いことがあります。基本的に学習する量が多いため、予備校に通うとなると長時間の講義を受講する時間が惜しく感じることもあるでしょう。
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戦略に応じた学習計画の立案
現在の仕事を続けながら公務員採用試験の準備をすすめて合格するためには、戦略の立案が重要になります。やみくもに学習するのではなく、限られた時間内に効率よく勉強していく必要があるためです。
現在どのくらいの知識や問題を解く力があるのかを、それぞれの科目ごとに正確に把握することから始めましょう。自分の現在の力量を見極めた上で、何に取り組むべきか戦略的に決めることが大切です。
決断したら、前に踏み出そう
中途採用を目指す人たちの間で公務員の人気は高いものの、科目の多い採用試験の準備を大変に感じて躊躇する人も多くいます。そんな方たちを越えていくのが皆さんです。思い立ったら吉日、1つ1つ準備して合格を掴みましょう。
社会人採用枠では、特に面接試験が重視されます。面接試験の際に重要となるのは「刺さる回答」、特に「志望動機」はあなたの第一印象を左右するものです。以下の記事では、面接官に好印象を与えるポイントを頻出質問ごとに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。