小学校の英語必修化にともない学校現場で導入されているのが、小学校で英語を教える教師である、英語専任教員です。英語専任教員によって、学級担任の業務負担軽減や学校教育における英語の指導力の向上などが期待されています。
英語専任教員のニーズを知っておくと、教員を目指すにあたって、より自分が目指したい教師像が見つかるかもしれません。 そこで今回は小学校の英語専任教員が重要視される2つの理由や英語専任教員の業務内容、必要な資格やなる方法を解説します。
小学校の英語専任教員が重要視される理由
小学校の英語専任教員とは、小学校において英語の授業を専門で担当する教師です。小学校の英語専任教員が導入される背景を解説します。
小学校全体での英語指導力の向上
2020年(令和2年)4月からの新学習指導要領により、小学校3年生より外国語活動、小学校5年生より教科としての英語が導入されるようになりました。外国語活動および英語は言語活動であるため、従来の授業と同じく学級担任による指導では、英語の十分な指導ができない可能性があります。
そのため小学校での英語指導力の全体的な向上のため、外国人講師(ALT)とともに一定の英語力を有した英語専任教員の導入が推進されています。
小学校英語教育の特性への対応
小学校には、中学校や高校にはない小学生への指導ならではの特性があります。以下のような小学校の英語教育への特性に対応するためにも、英語専任教員が重要視されているのです。
- 国語や日本の文化への理解
- 失敗を恐れない授業展開
- ほかの教科学習との関連付け
- 中学校英語へのスムーズな連携
- 学級担任間の授業交換の実現
母語である日本語や日本の文化への理解や、ほかの教科と英語を関連付けての指導など教科的な側面のほか、中学校英語を踏まえた指導や学級担任間での授業交換などの指導展開のためには、学級担任と英語を担当する講師のスムーズな連携が必要です。
小学校英語教育の特性への対応はネイティブスピーカーをはじめとしたALTでは対応できない場合があります。よって、日本人でもある英語専任教員が求められています。
小学校の英語専任教員になる方法
小学校の英語専任教員になるには、さまざまな方法があります。小学校の英語専任教員になるための方法を、必要な資格や要件、試験内容とともに解説します。
なお、必要となる資格や要件、試験内容は受験する自治体や学校によって異なります。小学校の英語専任教員の採用試験などを受ける時には、実際の要項を確認しましょう。
小学校の教員採用試験に合格する
自治体によっては、小学校の教員採用試験を経て英語専任教員となるルートが用意されています。たとえば東京都では、教員採用試験で募集する校種・教科に「小学校全科(英語コース)」を設けています。
小学校全科(英語コース)単体の教員採用試験は実施されていません。小学校全科の教員採用試験の合格者のなかから、以下両方の免許を取得している合格者が英語専任教員として配属されます。
- 小学校教諭普通免許状
- 英語の中学校または高等学校の教諭普通免許状
東京都の小学校教員採用試験の試験内容は以下の通りです。
試験区分 | 試験内容 | スケジュール |
第一次選考 | ・教職教養(60分) ・専門教養(60分) ・論文(70分) | 7月上旬~中旬 |
第二次選考 | 面接(集団面接、個人面接) | 8月下旬 |
実技(200語程度の英語の音読、リスニングに対する質疑応答) | 9月上旬 |
非常勤講師として採用される
小学校の英語専任教員を非常勤講師として募集している自治体もあります。たとえば広島市では、以下の受験資格を満たした小学校英語専科指導教員を、非常勤講師として募集しています。
条件 | 必要な受験資格(以下のいずれか) |
条件1 | 小学校教諭普通免許状を所有または期日までに取得見込みで以下のいずれかを満たす ・2年以上の外国語指導助手(ALT)の経験者(「ひろしま型カリキュラム英語指導アシスタント」を含む) ・CEFA B2相当(英検 準1級程度)以上の英語力を有する者 ・海外大学または青年海外協力隊もしくは在外教育施設などで2年以上の英語を使用した海外留学・勤務経験者 |
条件2 | 小学校教諭特別免許状(外国語(英語))を所有または期日までに取得の意思があり、以下いずれかを満たす ・2年以上の外国語指導助手(ALT)の経験者(「ひろしま型カリキュラム英語指導アシスタント」を含む) ・CEFA B2相当(英検 準1級程度)以上の英語力を有する者 ・海外大学または青年海外協力隊もしくは在外教育施設などで2年以上の英語を使用した海外留学・勤務経験者 |
条件3 | 中学校教諭普通免許状(外国語(英語))または高等学校教諭普通免許状(外国語(英語))を所有または期日までに取得見込み |
条件4 | 中学校教諭特別免許状(外国語(英語))または高等学校教諭特別免許状(外国語(英語))を所有または期日までに取得見込み |
選考試験として、以下のふたつが行われます。
- 選考シートによる書類選考
- 個人面接試験
選考の結果「採用候補者名簿」に登載された人から順次採用されます。ただし採用される立場は非常勤講師のため、年度途中からの採用、または登載はされても採用されない場合があります。
私立の小学校に採用される
英語の専任教員を募集している小学校に応募し、採用される方法もあります。ある私立小学校の英語専任教員の募集要項や試験内容を紹介します。
応募には以下いずれかの教員免許状の所持、または期日までの取得見込みが必要です。
- 中学校教諭(英語)
- 高等学校教諭(英語)
- 小学校(全科)教員免許
採用試験内容は以下の通りです。
- 書類選考(履歴書、所定のテーマに沿った作文)
- 面接
- 模擬授業
- 学園長面接
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小学校の英語専任教員に小学校教員免許が必要な理由
教育職員免許法第16条の5では、「中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者はその免許状に係る教科に相当する教科の小学校等の主幹教諭、指導教諭、教諭等となることができる」と規定されているため、理論上は中学または高校の英語科免許があれば小学校の英語専任教師になることは可能です。
ただし東京都では、小学校の英語専任教員となるための要件として小学校全科および中学または高校の英語科教員免許の両方を上げています。小学校の英語専任教員となるのに、なぜ両方の免許が求められるかの理由を解説します。
小学校教育への専門性の向上
小学校の英語専任教員は小学生へ英語の指導を行います。中学校または高校の教員免許のみでは、小学校教育や小学生への指導に関する十分な知識が身に付いていない場合が多いです。小学校教育への高い専門性を持って指導を行うために、小学校の教員免許の取得が求められています。
小学校の教員確保
小学校の英語専任教員が小学校の教員免許を取得していれば、外国語活動や英語だけでなくほかの教科の指導や学級担任としての業務も担当できるようになります。不足している小学校教員としての人材確保にもつながります。
東京都では、今後中学または高校の教員免許所持者が小学校教員免許を取得しやすくするための、緩和策などが検討されています。
小学校英語教師となるには色々なルートがある
小学校の新学習指導要領による外国語活動と英語必修化により、小学校英語専任教員のニーズは高くなっています。小学校英語専任教員となるためのルートは複数ありますが、それぞれで必要となる資格や試験の内容が異なります。受験する自治体や学校それぞれの受験要項についてしっかり確認し、小学校英語専任教員を目指しましょう。
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