教員採用試験は、大きく二つに分かれます。一つは地方自治体が行う教員採用試験、もう一つは各私立学校を運営する学校法人が行う教員採用試験です。
同じ教員でも、国公立と私立では、資質や能力など求められることに違いがあり、同じように試験対策を行うだけでは、私立の教員採用試験を受けるにあたっては十分な対策が取れていないことも。
そこで今回は私立学校の教員を目指す方に役立つ、採用試験の基礎や対策を解説します。
私立の教員採用試験のメリット
教員を目指す方は、どのような教員生活を送りたいかを考え、教員採用試験を受ける必要があります。私立の教員採用試験を受け、採用された際のメリットをご紹介します。
基本的に異動がない
文部科学省の調査によると、下記の図のようにたくさんの公立、私立の学校があります。公立と私立どちらに勤めたいか、迷う方も多いのではないのでしょうか。
公立学校は基本的に5〜10年で人事異動があり、どこに勤めるか選べません。一方、私立学校は基本的にないところが多く、大きなメリットと言えます。同じ学校に長期間勤務することができ、教科の研究に打ち込めるので、自身のキャリア形成がしやすいです。
学校 | 私立 | 国立 | 公立 |
小学校 | 243校 | 67校 | 18,851校 |
中学校 | 780校 | 68校 | 9,164校 |
義務教育学校 | 1校 | 5校 | 172校 |
高等学校 | 1,320校 | 15校 | 3,489校 |
中等教育学校 | 18校 | 4校 | 35校 |
特別支援学校 | 15校 | 45校 | 1,111校 |
出典:令和4年度 文部科学省「学校基本調査」
教育活動に専念できる
学校には、それぞれ掲げる運営方針があります。例えば「建学の精神」や「校風」「教育方針」などです。公立の運営は同じ自治体であっても学校によって目標が違い、配属されたそれぞれの学校に合わせた働き方が必要となります。
その点、私立は学校の目標に合った教育活動に専念できるのが、大きな魅力です。教育方針に賛同した教員同士、切磋琢磨し活動できます。
給与水準が高い可能性あり
私立の場合、学校の経営状況に応じて給与水準が違い、公立よりも高い可能性があります。有名私立大学の附属学校など、給与水準が高い傾向です。応募要項に「給与規定に則る」と記載されていることが多いので、志望する私立学校の給与や待遇面などは確認しましょう。
私立学校の教員採用システム
日本には教員免許制度があり、教員として学校の教壇に立つためには公立と私立共に教員免許状が必要です。しかし、教員採用試験のシステムは異なります。
どのような点に公立との違いがあるのか取り上げます。
私立学校は独自の採用スケジュールがある
公立教員採用試験は自治体によって多少違いはあるものの、毎年4月から募集がスタートし、9〜10月に合格発表があります。配属先が決まるのは10月上旬から3月下旬にかけてです。
私立は、各学校によってスケジュールに違いがあります。また、毎年教員採用試験を行うとは限りません。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
私立 | 専任・常勤 募集 | 常勤・非常勤募集 | 入職 | ||||||||||
公立 | 志願書受付 | 一次試験 | 二次試験 | 合格発表 | 臨時教員募集 | 入職 |
私立学校の採用ツール
私立学校の求人は早期化しているとされていますが、突発的に募集が出されることもあります。私立学校を目指す方はさまざまな採用ツールなどを活用し、随時確認を行いましょう。
採用ツール | ツールの詳細 |
日本私学教育研究所教職員採用情報 | 日本私学教育研究所のホームページで、都道府県私学協会加盟の私立中学校および高等学校から寄せられた教職員募集情報を掲載 |
就職エージェント | リクナビ、DODAなどのサイトにて会員登録し希望する求人にエントリーする |
人材紹介会社 | 教員人材センターなど人材紹介会社に登録し、学校の紹介を受ける |
私学教職員志望者履歴書依託・預かり・登録依託制度 | 私立中学高等学校で教職員を希望する方の履歴書を預かる制度 |
私学教員適性検査 | 一部の自治体で実施されている協会主催の試験 |
各私立学校のホームページ | 志望する私立学校のホームページに設けられた採用情報 |
大学の掲示板 | 大学に寄せられた私立学校の採用情報 |
私立教員採用試験対策
私立の教員採用試験を受けると決めたら、対策を練りましょう。学校側は、教員採用試験で「本校に合うかどうか」を判断します。
ファーストコンタクトの書類審査対策
私立の教員採用試験で避けて通れないのが、書類審査です。大学の成績証明書や教員免許状(取得見込み証明書)の写しなどが必要な学校もあります。提出するとき書類不足がないように注意しましょう。
履歴書のみの場合
履歴書のみの学校も多いです。次のステップに進むために最低限、丁寧な字や誤字脱字がないように心がけてください。
学校指定のエントリーシート
エントリーシートや教育観の作文の提出が必要な学校があります。自分の書きたいことをただ書くのはNGです。学校のホームページを参照し、自分の経験や考え方が、志望する学校が求めている人物像であることをアピールする必要があります。
筆記試験対策
各学校で求めるレベルが違っているため、想定するなら志望する学校の進路実績を参考にされることをおすすめします。例えば、国立大学に多くの生徒が進学している高校であれば、そのレベルの知識がある教員が求められると推測できます。
一般的に大学入試レベルの筆記試験が多いとされているため、センター試験の問題集などで対策するといいでしょう。
小論文対策
筆記試験で小論文がある私立学校もあり、下記のようなテーマが出されます。
- 中高一貫校における授業について
- 中高一貫校の6年間で生徒に身につけさせたい力と、自身が貢献したい領域
- 高校の授業でつけさせたい力
- これからの教育の在り方について
- 本校で実践してみたい教育について
- 授業や担任、部活動などの各業務をどのように配分するか
適性検査「SPI」
下記の表に挙げたSPIは多くの一般企業の採用選考で利用されている適性検査です。私立学校でも採用試験として導入しているところがあります。公立ではさいたま市がいち早く導入しています。
本番で自分の実力をきちんと出せることが大切です。SPI対策としては、方法や形式に慣れておくことをおすすめします。
検査区分 | 検査の内容 | |
①能力検査 | 言語分野 | 言葉の意味や話の要旨を的確にとらえて理解できる力を測定 |
非言語分野 | 数的な処理や、論理的思考力を測定 | |
英語能力検査 | 英語能力のベースとなる語彙・文法の理解力とそれを用いる際の流暢さと、読解力を多角的に測定 | |
構造的把握力検査 | ものごとの背後や背景にある共通性や関係性を、構造的に把握する力を測定 | |
②性格検査 | 応募者の人となりを測定 |
当ブログでは、独学でも予備校のような学習が叶う、教員採用試験対策セットの決定版「要点解説講座」を取り扱っています。これまで蓄積した教員採用試験データから厳選した、最重要・頻出問題について、講師が音声で詳しく解説しています。一般教養・教職教養の200テクニックが身につくため、「この対策セットだけで合格できた!」「1テクニックの音声解説を5分以内に聴けるから、勉強のハードルが下がった!」と94.1%のお客様に満足いただいています。最小投資で志望自治体の傾向に合わせた対策ができる「自治体別・合格レベル問題集」も併せてご活用ください。
好印象を与える模擬授業対策
学校の指導方針を確認をし、模擬試験では堂々として、生徒の学習を任せられるオーラを出しましょう。好印象を残す模擬授業になるためにも、下記のことを心がけてください。
- 時間は余らせない
- 間違ったことはいわない
- 姿勢をよくして大きな声で行う
- 模擬授業の中で授業の目標と流れは明確に
- 教員と生徒がコミュニケーションを取りながら授業を進める(双方向授業)
- ICTを活用
最終審査の面接対策
面接では次に挙げる点などが見られているので、これらを踏まえ面接の質問を想定し、答えを用意しておきましょう。
- 本校の教員に本当になりたいのか
- 本校の考え方に合うのか
- 教科の知識があり、教科の知識を生徒に伝えられるか
- 生徒、保護者に対応できるか
- 本校の教員とチームワークがとれるか
私立の教員採用試験は情報収集が肝心
私立学校の教員の求人は定期的ではないので、採用ツールを活用し最新の情報をキャッチすることをおすすめします。すでに社会人の方で「本当は教員になりたかった」と夢を一度諦めた方もぜひ積極的に情報収集をしませんか。
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