教員の悩みランキングTOP10!あるある原因や辞める前に考えるべきこと

教員辞めようかな…その前に2つの視点で環境を見直そう。

教員の仕事は、児童や生徒の成長を間近で見守ることができるやりがいのある職業ですが、一方で皆さん、さまざまな悩みを抱えていらっしゃることと思います。授業の準備や事務作業など、仕事内容は多岐にわたるため、日々の仕事をこなすために時間的にも精神的にも余裕がなくなり、ストレスを抱えてしまうケースも少なくありません。

そんな悩みを抱える皆さんのために、今回は、現場で働く教員が抱える悩みやストレスについてのランキング、辞める前に考えるべき2つの解決方法を解説します。

教員の仕事でつらいと感じることは?

大学の長机に4脚の椅子が並んでいる

憧れの職業であったはずの教員としての仕事が、いつの間にかストレスに感じてしまうことは少なくありません。OECD(経済協力開発機構)が公表している2018年の国際教員指標環境調査(TALIS)報告書によると、日本の小・中学校の教員は次のようなストレスを抱えているという結果があります。

ランキングストレスの原因全体の割合(%)
1事務的な業務が多すぎること57.2
2保護者の懸念に対応すること45.6
3児童生徒の学力に対して責任を負っていること41.4
4国、地方自治体からの要求の変化に対応すること38.8
5学級の規律を保つこと35.6
6特別な支援を要する児童生徒のために授業を適応させること28.6
7多大な授業準備があること28.6
8採点業務が多すぎること28.4
9授業の数が多すぎること26.0
10教員の欠勤による追加的な業務があること18.4

出典:文部科学省「OECD 国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書 vol.2 のポイント」

教員が抱える悩みは仕事量と精神的ストレス

本棚をバックに一冊の本がめくれている。

教員が抱えるストレスの原因は、仕事量の多さや、超過勤務による精神的な負担に起因するものが大きくなっています。ここからは、教員が抱える悩みについて具体的に解説します。

教員の仕事内容は幅広い

教員は子どもたちのためという使命感から、学習指導だけでなく幅広い仕事を日々こなしています。例として、一般的な中学校教員のタイムスケジュールは次の通りです。

時間仕事内容教員の役割
8:00登校指導校舎の入口に立ち、あいさつや服装などの指導を行う。登校時の安全確保を目的とし、生徒のあいさつ励行や健康観察も兼ねている。
8:15職員会議、読書タイムなど職員会議ではその日の予定や生徒への連絡事項などを確認する。曜日によって全校集会が行われたり、読書タイムなど朝の活動を行ったりする場合もある。
8:30朝の会、健康観察生徒に連絡事項を伝達。健康観察も実施。
8:40授業(1、2時間目)担当する授業のコマが入っていないときは、職員室で授業の準備や事務作業を行う。
10:15業間休み職員室に戻り、授業の準備を整える。
10:35授業(3、4時間目)担当する授業のコマが入っていないときは、職員室で授業の準備や事務作業を行う。
12:10給食生徒が中心となって配膳をし、一緒に食事をとる。
12:50昼休みプリントなどの印刷や午後の授業の準備を行う。生徒の提出物などをチェックすることも。
13:35清掃清掃の見守り。清掃を怠っている生徒がいる場合は指導をする。
14:45授業(5、6時間目)担当する授業のコマが入っていないときは、職員室で授業の準備や事務作業を行う。
15:30帰りの会、下校指導生徒に翌日の連絡事項を伝達する。
15:45部活動、委員会活動部活動や委員会活動の指導を行う。

放課後は、曜日により職員会議や学年会、職員研修などが実施される場合があります。その他、学校行事の準備や進路指導、保護者懇談会や部活動の練習先調整など、時期や担当によりさまざまな仕事をこなしています。

仕事が多岐にわたるため、それらをこなすために時間が取られ、子どもたち一人ひとりに寄り添う時間が割けないなど、疲弊して悩みを抱えている教員も少なくありません。

放課後の残業や休日など時間外勤務が多い

教員採用教員の仕事は、児童や生徒の指導が優先されるため、子どもたちが下校するまでは基本的に子どもたちの時間割に沿ったタイムスケジュールで仕事をこなしています。そのため、授業中には対応できないさまざまな仕事を、放課後にまとめてこなさなければなりません。

教員が授業以外にこなす仕事内容は次の通りです。

仕事内容具体例
授業の予習やテストの採点資料や問題プリントの作成 宿題やテストの採点 授業の進め方や板書のシミュレーションなど
行事の準備や地域活動運動会や文化発表会など学校行事の準備 校外学習の下見 夏祭りや花火大会など地域イベント開催時の見回り
保護者対応家庭訪問 面談 懇談会 ケガやトラブルなどの電話連絡など

子どもたちのためではあるものの、教員自身が自分の時間を削って行っているのが現状です。

教員の仕事時間の内訳

前述したOECDの同報告書によると、日本の教員の仕事時間の内訳と、参加国の平均は次のような結果となっています。

時間の内訳小学校中学校参加国平均
授業時間23時間18時間20.3時間
課外活動0.6時間7.5時間1.9時間
事務業務5.2時間5.6時間2.7時間
授業計画・準備8.6時間8.5時間6.8時間
職能開発0.7時間0.6時間2.0時間

この調査結果によると、中学校の教員が課外活動に使った時間は、参加国平均よりも3倍以上の時間を費やしており、事務業務に使った時間は、小中学校いずれの教員も参加国平均の約2倍となっているのが特徴です。

この結果からも、日本の教員は他国に比べて仕事内容が多岐に渡っていることがわかります。

生徒や児童数の多さ

教員は担任を受け持つと、クラスの児童や生徒の学力、性格、家庭環境などを把握しておく必要があります。1クラスあたりの人数は、30~40人で構成されている自治体が多いため、1人で全てを把握するとなると大変です。

特に、友達関係には配慮が必要となる場合が多く、個々の性格などを照らし合わせながら、グループ編成や当番などを決めなければなりません。場合によっては、仲間外れなどいじめに発展する可能性もあるため、慎重に考えなければいけない点でも頭を悩ませる場合が多くなります。

人間関係のストレス

教員の仕事は忙しく、時間的にも余裕がないため、同僚同士の関係もギスギスしている職場も少なくありません。それだけでなく、保護者からの理不尽な要求や、学校運営の難しさにより、精神的にストレスを抱えてしまうケースが増えているのが特徴です。

2021年に文部科学省から発表された「令和元年度 学校教員統計調査」によると、公立幼稚園、小・中・高校教員の離職教員数から、病気を理由に離職した人の中で約66%が精神疾患を理由に離職しているという結果が示されています。

また、公立学校の場合、定期的な異動がつきものです。異動した地域によっては生活水準が低く、家庭環境が劣悪で問題を起こす児童や生徒が多いケースもあります。教員一人で抱えきれない問題が山積みになり、精神疾患を発症してしまうことも考えられます。

その他にもさまざまな悩みがストレスになっていることも

教員が抱えている悩みとしては、仕事量の多さや勤務時間の長さ、同僚や保護者などとの人間関係などが挙げられます。忙しい日々を過ごさざるを得ない中で、プライベートな時間を確保できなくなることも大きなストレスの要因です。

また、教員には常に児童や生徒の模範となるような行動が求められるため、勤務時間外であっても周囲の目があるところでは気が抜けず、束縛されていることでストレスを感じてしまうケースも多くなっています。

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教員を辞める前に働く環境を見直そう

背景にレンガの壁、窓側と天井は白色で。手前のテーブルの上に円柱のケースに入った鉛筆

教員としてのさまざまな悩みを抱えているうちに、ストレスから転職を考える人も少なくありません。教員になることは簡単なことではないため、辞める前にできる方法があれば試してみることも一つの選択肢です。ここでは働く環境を見直すための2つの方法について解説します。

勤務する学校を変えてみる

令和4年度現在で、全国の小中学校は約2万9,000校あります。そのうち、約1,000校が私立学校、約2万8,000校が国公立学校です。国公立学校は、地域や学校の教育目標により特徴が異なります。

私立学校については、学校創始者の理念に基づいて教育方針や学校のカリキュラムが決められているため、学校により特色の違いがはっきりとしているのが特徴です。通っている児童や生徒もさまざまな傾向があるため、同じ教員として働くにしても、学校により職場環境が大きく異なります。

つまり、勤務する学校を変えることにより、これまでとは異なる環境で働くチャンスになるため、自分に合う職場環境を探してみることも悩みを解決するために有効です。

 雇用形態を変える

教員の離職理由として、定年以外で多い理由が家庭の事情によるものです。前述の「令和元年度 学校教員統計調査」によると、定年以外で退職した教員のうち、約22%が家庭の事情により離職していると示されています。

特に女性教員の場合、結婚や出産、育児などのライフステージにより、仕事との両立に頭を悩ませるケースは少なくありません。家庭のために子どもたちと関わる時間が少なくなるなど、一人で思い悩み退職に至ってしまう場合もあります。

辞める前に雇用形態を見直してみることも選択肢の一つです。公立学校で雇用形態を変更したい場合、管理職に相談することで可能になります。また、私立学校でも非常勤講師や専任講師といった雇用形態があるため、自分にあった雇用形態や職種を探してみましょう。 

やりがいがあるからこそ悩みも多い教員の仕事

教員は、子どもたちの変化や成長を感じられることができるやりがいのある仕事です。だからこそ、「子どもたちのために」という使命感から、膨大な仕事量を抱え込んでしまう現状があります。

せっかく手に入れた教員の仕事を辞める前に、雇用環境を見直すことで悩みが解決する場合もあるため、自分に合った働き方ができる環境を探してみることも検討してみましょう。

教員を目指す方には以下の記事がおすすめです。社会人だからこそ、重点的に対策しておいた方が良い「面接対策」。しかし十分に練習できる時間や環境はなかなか取りづらいですよね。そんな方に、面接対策で最低限押さえてほしいポイントを解説していますので、早めの対策を進めましょう。


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