社会人のみなさん、学校は今、社会経験者の教員を切に求めています。というのも、大学卒業後教員になる方々は、ほとんどの人生を学校組織の中だけで生きているため、専門性はありつつも、社会の色々な業種については詳しくないことがあります。
社会人経験者の皆さんは、子どもたちに、よりリアルな社会を見せて、将来への希望を持たせてくれるキーパーソンです。
そこで今回は、社会人だからこそ突破しやすい、教員採用試験の面接対策について解説します。
社会人の教員採用試験の面接試験は自治体で内容が異なる
教員採用試験は社会人でも受験が可能です。教員不足が懸念されるなかで、国は優秀な人材を教員として採用するために、各自治体の選考基準にもとづいて社会人を対象とした選考枠が設けられています。
受験時に教員免許状(普通免許状)を持っていなくても受験は可能です。採用試験に合格したら、自治体より特別免許状が授与されます。これまでの勤務経験や専門知識を生かして教員として活躍したい方におすすめの試験です。
近年の教員採用試験は人物重視の傾向が強く、社会人選考においても例外ではありません。採用試験の面接では、実績やマナー、人となりにくわえて、教員としての資質がチェックされます。面接試験の評価基準は自治体や学校で異なり、過去の質問なども公開されていないため、対策が難しいといわれています。
社会人の教員採用試験の面接官は?
教員採用試験の社会人選考にあたり、面接試験を行うのはおもに学識経験者となります。学識経験者とはおもに以下に該当する方です。
- 大学の学長・認定課程を有する学部長
- 小学校・中学校・高等学校など各学校の校長先生
面接試験でよく聞かれるのは志望動機、自己PR、教育に関する内容です。指導内容などについても聞かれることもあります。社会人は学生と異なり、筆記試験の勉強で学んだ教育教養や教育時事などの知識を生かして、あらゆる質問に答えられるようにしておきましょう。
教員採用試験で合格をつかむための面接準備
社会人が教員採用試験で合格をつかむために必要な準備について解説します。教員採用試験の面接試験では、人物評価が重視されているため、どのように対策をすればよいのか悩む方もいるでしょう。どんな質問にも柔軟に回答できれば、好印象を与えることが可能です。
社会人としての知識や経験の棚卸しをする
社会人は学生時代を経て、社会人になっているため学生よりも経験が豊富です。社会人として「自分ならでは」の経験を書き出してみましょう。ご自身がもつ教育観と合わせて伝えられれば、好印象を与えることが可能です。
仕事で乗り越えたことや顧客対応から学んだことなどは、社会人でなければ経験できないことです。また、職種によっては唯一無二の経験かもしれません。自分のこれまでの勤務経験を振り返ってみてください。
自治体の募集要項ページを確認する
教員試験に合格したら、職歴や所有資格にもとづいた科目を受け持つことになります。教員採用試験は自治体ごとに募集枠が異なるように、社会人選考においてもすべての自治体で募集があるわけではありません。さらに今年は募集しないなど募集枠も限られています。まずは応募する自治体が自分の持つ知識が生かせるかどうか確認をしましょう。
よく聞かれる質問に対する回答を考えておく
教員採用試験の面接では、志望動機については必ず聞かれるため、スムーズに回答できるかで好印象を与えることが可能です。筆記試験が免除の自治体では面接試験の評価が大きく影響します。よく聞かれる質問に対する回答を考えておきましょう。
インターネットや参考書などでよく聞かれる質問に対する回答例が掲載されています。回答例を少しアレンジしたものは面接官が気づくものです。自分の経験を盛り込んだオリジナルの回答を考えておきましょう。
教職教養なども勉強しておく
筆記試験が免除となっている自治体の社会人選考枠を受験する場合でも、最低限の教職教養については勉強していたほうがよいでしょう。事前知識として身につけておくことで、面接官にアピールできる回答を作成しやすくなります。
特別免許状は学級担任や生徒指導なども担当が可能です。教育に関する知識の有無で指導方法が変わってくるでしょう。面接時に一定の教育教養があることをアピールできれば、面接官へ好印象を与えることが可能です。
最低限の面接マナーを身につけておく
面接試験では社会人として最低限のマナーがあるかもチェックされています。面接時の入退室をはじめ、回答時の言葉づかいや相手の話を聞く姿勢など最低限の面接マナーを備えているか自身でも確認しておきましょう。
特に言葉遣いや会話の受け答えについては、技術職だと不慣れな方もいます。面接試験では個別面接以外に集団面接を実施する自治体もあるため、会話のキャッチボールがうまくいかないと自分の意見を主張できません。慣れていない自覚のある方は練習をしておきましょう。
教員採用試験の面接試験の質問&回答のポイント
教員採用試験の面接では、面接官が何を知りたがっているのか質問の意図を理解することが大切です。よく聞かれる質問をもとに、回答時に押さえておきたいポイントを解説します。
Q. なぜ会社員から教員採用試験を受験しましたか
志望動機に関する質問は、よく聞かれる質問です。面接官は「なぜうちの自治体を選んだのか」「社会人から教員を目指す理由」を知りたがっています。以下のポイントを押さえて回答してみましょう。
- 社会人から教員を目指すきっかけ
- 社会人時代の経験
- 理想の教員像
「自分はこういう教員になりたい」と教員として働く熱意を伝えるためには、自己分析を行って自己理解を深めることが大切です。社会人として勤務時代から教員を目指すきっかけ、将来の展望などストーリー形式で伝えられるとよいでしょう。
Q. あなたの長所と短所を教えてください
長所と短所に関する質問は、自己分析ができているかどうかだけではなく、受験者の性格を知るために聞かれています。「責任感が強いです」「短気なところです」といった不明瞭な回答ではなく、長所や短所を裏付ける具体的なエピソードを盛り込みましょう。回答に教育関係の情報や知識も入れておくと、よりアピール力が高まります。
教育採用試験は人物評価が重視される傾向にあり、こうした受験者の人となりを知るための質問には、しっかりと回答できるようにしておくことが大切です。
Q. 短期間で退職した理由はなんですか
「もしかしたら採用後にすぐ辞めてしまうのかも」という不安から質問されています。退職理由はしっかりと伝えることが大切です。しかし「人間関係のトラブル」が理由の場合、伝え方によってはマイナス評価になるため、注意が必要です。伝えにくいからと取り繕うほど、面接官への印象は悪くなります。
しかし、人間関係のトラブルが理由でも上司からのパワハラなら、面接官が納得できる退職理由のため、伝えても問題はありません。
そうでない場合、人間関係の問題が業務にどのような支障をきたしたかを中心に伝えることがポイントです。たとえば人間関係の問題から、心身に不調をきたして通常業務ができないなどがあげられます。もし、短期間の退職歴があっても原因を克服しているなら、それは乗り越えた経験としてアピールできます。自信を持って伝えましょう。
Q. これからの教員に求められていることは何だと思いますか
時代とともに求められる教員の在り方も変化しています。求められる教員像に合致していれば、合格をつかむことが可能です。文部科学省の「教員に求められる資質能力」では以下のような資質能力が今後求められると示しています。
いつの時代にも求められる資質能力
教育者としての使命感、教科などに関する専門知識などにもとづいた実践的指導能力
今後特に求められる資質能力
地球的視野に立ち行動する資質能力、変化の時代を生きる社会人の資質能力、教職に必然的に止められる能力
上記にもあるように、文部科学省は社会人の経験や専門知識を生かした授業づくりに大きな期待をよせています。社会人経験や専門知識を教育現場でどのように活用していけるのか、自分の言葉で伝えられるとよいでしょう。
Q. 自治体が取り組んでいる教育施策を知っていますか
教育に関する知識が問われている質問です。筆記試験が免除の自治体でも、面接で教育に関する質問をされます。特別免許状でも学級担任をもつことは可能なため、教育に関する知識は不可欠です。自治体の教育施策を知ることで、自治体が抱える課題が見えてきます。教育施策は自治体または、教育委員会のホームページに掲載されています。
これから自身が教員としてどのように貢献できるのか、これからの教育について自分なりの考えを伝えましょう。
当ブログでは、「面接と集団討論、一緒に練習できる相手がいない」「仕事と両立で専門知識を身につける時間がない」という社会人の方々のお声に応えて、各最短8日で対策できる【面接・集団討論最強ワーク】を取り扱っています。これまで蓄積した教員採用試験データから厳選した頻出質問や討論テーマを収録しており、付属のMP3プレーヤーを使って、一人でも一問一答練習ができます。集団討論においても、どの役割になっても、どんなテーマが出ても対応できるように、一人で討論の流れや回答能力を掴めるワークを掲載しており、「スキマ時間に効率よく対策できた!」「合格パターンが見えた!」と94.1%のお客様に満足いただいています。最小投資で志望自治体の傾向に合わせた対策ができる「自治体別・合格レベル問題集」も併せてご活用ください。
教員採用試験の面接がボロボロな人の特徴
教員採用試験の面接で合格をつかむには、面接官に好印象を与えることが大事です。面接試験でやってはいけないことについて解説します。合格を目指している人は参考にしてみてください。
教員の待遇面の魅力ばかり伝える
民間企業と公務員では働く環境が大きく異なります。単純に異業種から志望動機を聞かれたときに、公務員の待遇面や安定性といった面だけに着目した内容ばかり話すのは避けましょう。教員として働き続けるために大事な要素ですが、印象はよくありません。どのような教員を目指しているか、理想の教員像を伝えることが大切です。
「よくある回答」のまま答えている
参考書やインターネット上には教員採用試験の面接対策として、模範解答や回答例が豊富に出まわっています。面接官はこれまでたくさんの受験生の面接を担当しているため「よくある回答」のままだと、アピールに欠ける可能性があります。
また、回答から内容を広げられたときに、回答例以外の質問に対応ができない可能性もでてくるため、注意が必要です。あらゆる質問に対応できるように、自己分析を深めて自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう。
話す内容がまとまっていない
面接時にだらだらと話す内容にまとまりがない話し方は、面接官からあまりよい印象をもたれません。「失敗してはいけない」「うまい回答を伝えないと」と失敗を気にしていると、自分でも何を話しているのかわからなくなるものです。
質問の意図がわからずに回答しづらいときは、面接官に素直に意図を聞きましょう。わからないことも「わかりません」と伝えて大丈夫です。関係のない話を続けるよりも印象は悪くはならないでしょう。
社会人で培った経験を最大限生かそう
社会人の教員採用試験は経験豊富な分、面接試験で有利です。よく聞かれる質問をはじめ、あらゆる質問に柔軟に回答できるように、自己分析だけではなく、教育に関する知識も身につけておくことが大切です。
教員に限らずどの職業においても、面接試験において絶対押さえたいポイントを以下の記事にまとめています。社会人ならではのポイントを解説していますので、今回の記事と併せて万全の対策を行いましょう。