社会人向け専門学校の選び方!おすすめの職種や学費を解説

あなたの気になる分野は? 専門学校で資格取得を目指す

今回は、社会人向けの専門学校について解説します。専門的な知識や技能を身につけられる専門学校は、社会人でも働きながら通うことが可能です。すぐに仕事につながる資格を取得したい方に向けたおすすめの職種も紹介しますので、キャリアアップを目指している方は参考にしてみてください。

専門学校とは

木製の椅子が並ぶ講義室

専修学校には「専門課程」「高等課程」「一般課程」の3つの課程があり、そのうちの「専門課程」を置く専修学校が「専門学校」と呼ばれています。中学校を卒業した方なら、基本的にどの課程にも入学は可能です。修業年限が長くなればなるほど、教育レベルも高くなります。

社会人が仕事につながる専門的な知識や技術を習得するなら、修業年限4年以上の専門課程を置く専修学校を選ぶとよいでしょう。ただし、学びたい分野によって置かれている課程や修業年数は異なるので、気になる専門学校があればホームページなどを確認してみてください。

専修学校の8分野の特色

専修学校はさまざまな職業教育を実施できるように、8つの分野に分かれてます。それぞれの特色をご紹介します。

専門分野設置学科
工業情報処理、コンピューターグラフィックス、自動車整備、土木・建築、無線・通信など
農業農業、園芸、畜産、バイオテクノロジーなど
医療看護、歯科衛生、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧、臨床検査など
衛生栄養、調理師、製菓、美容、理容など
教育・社会福祉保育、幼児教育、社会福祉、介護福祉など
商業実務簿記・経理、会計、OAビジネス、福祉ビジネスなど
服飾・家政ファッションデザイン、アパレルマーチャンダイジング、スタイリストなど
文化・教養デザイン、音楽、外国語、英語、通訳・ガイドなど

社会人向けの専門学校を選ぶポイント

国は社会人の学びを「リカレント教育」と呼んでおり、社会人が新たなチャレンジができる社会の構築に取り組んでいます。社会人の学びをサポートする制度について解説します。

職業実践専門課程認定校で専門分野を極める

看護専門学校入試情報が満載「職業実践専門課程認定校」とは、文部科学大臣が認定をした専門学校にある専門課程のことです。「令和2年度学校基本統計」によると、令和3年3月25日現在で職業実践専門課程認定を受けている専門学校は、全国に1,070校・3,149学科あります。

修業年限は2年以上あり、実践的な教育を受けられるので現場で活躍できる知識や技術を身につけることが可能です。新しい分野への転職を考えている方は「職業実践専門課程認定校」を選ぶとよいでしょう。

社会人向けキャリア形成促進プログラム

「キャリア形成促進プログラム」は、社会人のキャリア形成を目的としてスタートした事業です。社会人が学びやすいカリキュラムが組まれているのが特徴で、実務に生かせる実践的・専門的な能力を身につけられます。修業年限は1年のため、できるだけ短い期間で資格取得を目指している方におすすめです。

他にも社会人が通いやすいように、スマートフォンを活用した学習システムの導入や夜間、土日の自習室開放、経済的支援制度も充実しています。資格取得のためのカリキュラムがしっかりと組まれているため、効率よく学ぶことが可能です。

専門学校の学費

少しずつお金が貯まる

専門学校へ通うにあたり、気になるのが学費です。授業料にくわえて、実習費用や施設設備費などさまざまな費用がかかります。東京都専修学校各種学校協会の「令和2年度 学生・生徒納付金調査」より、分野別の学費の平均額をまとめてみました。

専門分野昼間部夜間部
工業約128万円約73万円
農業約125万円約128万円
医療約147万円約124万円
衛生約148万円約99万円
教育・社会福祉約109万円約106万円
商業実務約115万円約72万円
服飾・家政約113万円約49万円
文化・教養約118万円約75万円

「医療関係」は昼間・夜間どちらも100万円を超えており、続いて「衛生関係」や「工業関係」も高い傾向があります。分野ごとに学費が異なるため、自分が学びたい分野の学費をきちんと把握しておくことが大切です。今の収入で払える金額かどうか気になる方は、専門学校のホームページで学費を確認しておきましょう。

【専門学校のおすすめ資格を解説】

専門学校で取得できる資格について、以下の記事でおすすめを紹介しています。

専門学校卒業者の就職率

専門学校の昼間部の就職率は平均94.5%。夜間部の就職率は90.5%です。専門学校は専門的な知識や技能を習得できるだけではなく、国家資格も取得できるので就職に不利ではないことがわかります。分野別の就職率と関連職種への就職率をまとめてみました。

専門分野昼間部の就職率夜間部の就職率
工業95.3%95.5%
農業97.9%100%
医療93.6%95.3%
衛生99%99.1%
教育・社会福祉96.2%88.5%
商業実務96.6%99.7%
服飾・家政86.4%60.5%
文化・教養87.9%76.3%

専門学校を卒業した後は専門分野に限らず、修得した知識や技能を生かして関連職種に就職されている方もいます。

社会人なら看護・介護系専門学校がおすすめ

血圧を測る

働きながら専門学校に通うのは大変です。確実に仕事につながる知識や技能、資格を取得したい方は多いことでしょう。日本は高齢化社会が進んでおり、医療や介護業界の人手不足問題は深刻です。国は看護師を2025年までに約200万人、介護従事者を約250万人確保することを目指しており、有資格者の復職サポートや勤務環境の改善に取り組んでいます。

また、人材育成に向けた取り組みとして新卒者だけではなく、看護・介護業界での活躍を志す方の支援も行っているため、仕事につながる資格を取得したいと考えている方は、看護・介護系専門学校がおすすめです。

専門学校卒業で一生役立つ資格の取得が目指せる

看護・介護系の専門学校では以下の資格が取得できます。

専門学校の種類取得できる資格・受験資格
看護学校・看護師国家試験受験資格
・保健師助産師学校受験資格
・保健師学校・助産師学校・養護教諭課程受験資格
・専門士(医療専門課程)
・大学編入学受験資格(看護師養成課程を持つ大学)
介護系専門学校(医療・福祉)・介護福祉士(国家資格)
・社会福祉士(国家資格)
・精神保健福祉士(国家資格)
・作業療法士(国家資格)
・社会福祉主事(厚生労働省認定)
・介護職員初任者研修

助産師国家資格は、看護師国家試験の受験資格を取得後、必要な学科を1年以上学ばなければ受験資格が得られません。(保健師助産師看護師法 第19条)これら国家資格や受験資格以外にも、看護・介護業界で役立つ資格の取得を目指すことができます。

社会人が通いやすいカリキュラムが組まれている

社会人が専門学校へ通う場合、仕事を続けながら通えるのか不安に感じている方は少なくはないでしょう。専門学校では社会人が通いやすいように夜間コースや通信課程を設けている学校があります。通学制にこだわらなければ、自分のペースで学べるため、通いやすい学校を選びましょう。

社会人を対象とする入試制度を設けている学校を選べば、小論文と面接試験を受けることが可能です。ただし、社会人枠は競争率が高いため、万が一を考えて一般入試に向けた受験対策も行っておきましょう。

専門学校の学費をサポートする制度

専門学校の学費は夜間なら費用を抑えることはできるものの、それでも何十万という費用を生活費と別で捻出するのは大変です。少しでも負担を軽くし、仕事と学業を両立しやすくするために活用してほしい制度をご紹介します。

教育訓練給付金制度

教育訓練給付金制度は申請することで学費の一部が還元される制度です。利用できるのは厚生労働大臣が指定した教育訓練施設のみ。3つの教育訓練レベルに分かれており、それぞれ給付率や受給額が異なります。

教育訓練の種類受講費用に対する給付率
専門実践教育訓練最大70%
特定一般教育訓練40%(上限20万円)
一般教育訓練20%(上限10万円)

看護・介護系専門学校は「専門実践教育訓練給付金」を受けることができますが、受給するには条件があります。

厚生労働省の検索システムでは、教育訓練給付金対象の対象講座を検索できます。取得したい資格から、最寄りの専門学校を調べてみてください。

高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金は、ひとり親の資格取得をサポートする制度です。

支給時期金額
訓練期間中月10万円(住民税非課税世帯:月7万500円)
訓練期間最後の1年間期間中の給付金+4万円支給
訓練修了後5万円(住民税非課税世帯:2万5,000円)

看護師や准看護師、介護福祉士など就職の際に有利な資格を対象としており、養成機関において6か月以上の修業に加えて、児童扶養手当の受給者などの条件があります。給付訓練給付金の指定講座も対象のため、ひとり親の方で学費の負担に悩んでいる方はぜひ申請してみてください。

看護・介護系専門学生が利用できる奨学金

看護・介護系専門学校へ通われる方をサポートする奨学金には、都道府県や自治体が運営するものと医師会や病院が運営しているものがあります。どちらも卒業後、病院または施設で一定期間勤務すれば返済は不要です。看護師の資格取得前から医療現場で働けるため、将来働きたい病院が決まっている方には学費負担を抑えながら夢を叶えられるメリットがあります。

将来は別の病院へ勤務したいと考えている方は、教育資金の貸付制度もあるので利用しやすいほうを検討してみてください。

社会人向け専門学校は就職に有利な資格取得におすすめ

専門学校は、転職やスキルアップを目指している社会人が働きながら通えるように学習環境や学費のサポート制度が整っています。多くの人材確保が必要な看護・介護系の資格を取得すれば、活躍できる職場もたくさんあるのでおすすめです。

社会人向けのカリキュラムがある学校には、社会人選抜が設けられています。入試で実施される小論文と面接試験は、事前にしっかりと対策しておきましょう。万が一、選抜に落ちたことも考えて過去問題集などで入試対策もしておくことも大切です。