急に離職して就職先を探す方や、在職しながら転職を考えている方のために、厚生労働省では職業訓練制度を実施しています。
「施設内訓練、公共職業訓練、求職者支援訓練…沢山名称があって、どれを受講すればいいの⁉」と、迷われる方からのお問合せを良くいただきますので、今回は、職業訓練の種類を整理してみました。他にも、受講するための条件や選考試験の受験対策を解説しますので、自分に一番合った訓練が、きっと見つかります。
ハロートレーニングの職業訓練とは
厚生労働省では、求職者のために必要な職業スキルや知識を習得できる公的職業訓練制度を実施しており、ハロートレーニングはその愛称です。ハロートレーニングの職業訓練には公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類あります。それぞれについて説明していきましょう。
2種類の職業訓練がある
公共職業訓練や求職者支援訓練を受講するにはそれぞれに条件がありますが、2つの職業訓練に共通していることがあります。
- 受講料が無料
- 豊富なコースが用意されている
- 全国のハローワークで申し込める
- 受講できるのは、仕事を探している方で、ハローワークに受講が必要と認められた方
- 雇用(失業)保険の受給資格に関係なく受講できる
大切なポイントは仕事を探していることと、ハローワークの職業相談で必要と認められた場合に受講できることです。
次にそれぞれの受講条件について説明します。
公共職業訓練を受講できる条件
公共職業訓練は再就職やキャリアアップのために必要なスキルを習得するのが目的で、国・都道府県が実施している公的制度です。
受講するための条件は2つあります。
区分 | 条件 |
公共職業訓練 | ・雇用(失業)保険を受給している ・ハローワークで求職しており、支援が必要と認められる |
ハロートレーニングの職業訓練には公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類がありますが、実は公共職業訓練にも2つの種類があります。
その2つとは、施設内訓練と委託訓練です。それぞれの特徴を知っておくと、職業相談がしやすくなるので覚えておきましょう。
施設内訓練には、国が運営する職業能力開発促進センターと独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構、都道府県立公共職業訓練校の施設内訓練があり、いずれも常設・直営の訓練校です。
委託訓練とは、都道府県立の公共職業訓練校が民間企業や専門学校などに委託して職業訓練を行うものです。
見分け方が難しいため、公共職業訓練の求職情報を収集する際は両者の違いを知っておくと便利です。
区分 | 施設 | 訓練期間 | おもなコース |
施設内訓練 | 高齢・障害・求職者雇用支援機構 | 標準6か月 | テクニカルオペレーション、金属加工、電気設備、制御技術、ビル管理など |
都道府県の公共職業訓練校 | 標準6か月~1年 | 情報ビジネス、介護サービス、建築、自動車整備、造園など | |
委託訓練 | 専修学校・各種学校、大学、事業主など | 標準3か月(1か月当たり100時間以上が原則) | OA事務、経理事務、情報処理、介護サービス、販売実務など |
施設内訓練、委託訓練ともに対象となるのはハローワークの求職者です。
当ブログでは、職業訓練校を受験するにあたって、最小投資で志望校の傾向に合わせた対策ができる「志望校別・合格レベル問題集」を取り扱っています。各学校の受験生からの生の声をもとに傾向を合わせているので「仕事と両立しやすかった!」「無駄なく効率よく対策できた!」とご好評いただいています。試験官に刺さるオリジナリティ溢れる願書を最短3日で作成できる「願書最強ワーク」も併せてご活用ください。
求職者支援訓練を受講できる条件
求職者支援訓練は、公共職業と同じく再就職やキャリアアップに必要なスキルを習得するのが目的ですが、月額10万円の給付金を受給しながら受講できる制度です。
訓練の名称 | 受給条件 |
求職者支援訓練 | ・雇用保険を受給できない求職者(受給が終わった方も含む) ・ハローワークで求職登録し、支援が必要と認められる |
求職者支援訓練は、これまで仕事をしていなかった方も対象になります。また給付金の支給要件を満たさない場合でも、無料で受講可能です。
給付金を受給して受講できる対象者と、受給しないで受講できる対象者は下記のとおりです。
給付金を受けて受講できる方 | |
離職者 | ・雇用保険の適用がなかった方 ・自営業を廃業した方 ・フリーランス ・雇用保険の受給が終了した方 |
在職者 | ・パートタイム(一定額以下の収入)で正社員への転職を目指す方 ・社内で正社員への転換を目指す方 |
給付金を受けずに受講できる方 | |
離職者 | ・親や配偶者と同居しており、一定の世帯収入がある方 ・親と同居している学卒未就職の方 |
在職者 | ・働いており一定の収入がある方 ・フリーランスで働いており、正社員への転換を目指す方 |
2つの職業訓練の違い
公共職業訓練と求職者支援訓練は受講する条件が違いますが、そのほかにも違いがあるのでわかりやすくまとめてご紹介します。
保険の名称 | 公共職業訓練 | 求職者支援訓練 |
雇用保険 | 雇用保険を受けている方 | 雇用保険を受けていない方 |
対象者 | 会社を辞めて求職中の方など | フリーランス、自営業、主婦、就職が決まらずに学校を卒業した方など |
訓練期間 | 約3か月~2年 | 約2~6か月 |
給付金 | なし | あり(条件付き) |
訓練期間は選んだコースによって違ってきますので、次は職業訓練で受講できるコースと取得できる資格について説明しましょう。
職業訓練受講給付金の支給条件とは
求職者支援訓練では、一定の条件を満たせば月額10万円の給付金を受けながら職業訓練を受講できます。雇用保険の適用がないフリーランスや自営業者、主婦の方などは給付を受けながら訓練でスキルを身につけることが可能です。
給付金を受けられる7つの条件
求職者支援訓練を受講する方が給付金を受けるには、次の7つの条件をクリアしなければなりません。7つの条件のすべてを満たす必要があり、1つでも欠けると受給できないため注意してください。
給付に影響する事柄 | 給付条件 | 給付条件の内容 |
本人の収入 | 月8万円以下 | 収入とは税引前の給与、事業収入、各種年金、仕送り、養育費など |
世帯の収入 | 月25万円以下 | 世帯とは本人のほかに同居、または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母 |
世帯の金融資産 | 300万円以下 | 世帯は上に同じ |
土地・建物 | 現住地のみ | 現住地以外に土地や建物を所有していないこと |
訓練実施日 | すべて出席 | 支給単位期間は、訓練開始日から1か月ごとに区切った期間。やむを得ない理由がある場合でも8割以上の出席が必要 |
ほかの受給者 | いない | 世帯の中に給付金を受けて訓練を受けている人がない |
不正受給 | 過去3年以内にない | 過去3年以内に不正行為により、特定の給付金を受給したことがない |
条件を満たしているかは、支給単位期間ごとに確認が行われます。
受給者は支給単位期間が終わるごとにハローワークで職業相談を受けて、給付金の申請を行う必要があります。
給付金の内訳
求職者支援訓練の給付金には、次のような手当を受け取ることが可能です。
給金の種類 | 支給額 |
職業訓練受講手当 | 月額10万円 |
通所手当 | 訓練実施施設までの経路に応じた交通費(上限あり) |
寄宿手当 | 月額10,700円(訓練を受けるために寄宿している場合) |
月額10万円のほかに、訓練実施施設へ通う方や、訓練を受けるために部屋などを借りている方は、その分の費用も受給できるようになっています。
給付金を受けるための手続き
給付金を受けるには所定の手続きが必要です。原則として住所を管轄するハローワークで手続きを行いますので、下記の流れを参考にしてください。
手続き | 手続方法 |
ステップ1 | ハローワークで求職を申込み、職業相談をする |
ステップ2 | 訓練の受講を申込み、受講と同時に給付金の審査を申請する。 |
ステップ3 | 面接と筆記試験などを受験する |
ステップ4 | 合格したら職業訓練を受講する |
ステップ5 | 月に1回、ハローワークで職業相談を受けて、給付金を申請する |
求職者支援訓練の給付金は以上の流れに沿って申請手続きが必要です。詳しい情報を知りたい方は、最寄りのハローワークに問い合わせてください。
職業訓練の選考試験受験対策
職業訓練を受けるためには、選考試験に合格しなければなりません。筆記試験と面接試験が行われますが、とくに重要なのは面接試験です。
選考試験を突破するためには、事前の受験対策が欠かせません。ここでは筆記試験と面接試験の勉強の仕方や対策ポイントについて説明します。
筆記試験の対策
多くの場合、筆記試験は30~60分で行われ、出題内容は国語と数学です。ただし全国統一の内容ではなく各都道府県によって出題傾向は異なるため、事前にチェックしておく必要があります。
自治体によってはサイトに過去問を掲載しているところもあるので、確認しておきましょう。また「職業訓練試験アクセス」では全国の職業訓練校別問題集を取り扱っており、受験対策に役立ちます。
筆記試験でおもに出題される問題は下記のとおりです。
受験科目 | 出題内容 |
国語 | 漢字の読み書き、長文読解 |
数学 | 四則演算、関数、図形 |
自治体によって試験要項が異なりますが、なかには筆記試験に適性検査が含まれる場合があります。
適性検査は図形の問題やパズル的な問題などが多く、適性検査について公式サイトに明記されていない場合でもハローワークや訓練校に問い合わせてみてください。
面接試験の対策
職業訓練校の選考試験では、面接試験が重視されます。一般の就職試験の面接とは違うので、事前の対策は必須です。
よく質問される問題と解答例などは面接試験問題集が参考になります。「職業訓練試験アクセス」で取り扱っている願書最強ワークは、面接対策のノウハウも詰まっています。
面接試験では、ものごとにコツコツと取り組む姿勢と情熱をアピールすると面接官の印象が良くなります。
特に重要なポイントは以下の3点です。
- 就職の意思があることを強く示す
- なぜその訓練コースを選んだのかを明確に答える
- 仕事に対する継続力・忍耐力をアピールする
面接で最も大切なのが就職の意思を示すことで、面接官に伝える方法として効果的なのは、いつ頃までに就職したいか、就職後の働く目標を訴えかけることです。
たくさんある訓練コースの中で、なぜ自分は該当コースを選んだのかを訴えることも大事で、コースで身につけたスキルをどのように活かしたいかを面接官に伝えます。
継続力・忍耐力のアピールは、これまで意欲的に取り組んだことを中心に面接官にアピールしてください。
条件を満たせば職業訓練を受験しよう
職業訓練には2種類ありますが、どちらも無料で受講できるのはありがたいですよね。職業訓練を受講するには、ハローワークで職業相談を受け、選考試験に合格する必要があります。本記事を参考にして、ぜひ職業訓練受験に挑戦されてください。
職業訓練校を受験することが決まれば、以下の記事で対策を進めましょう。求職者が、受講料無料でさまざまな技能や技術を習得できる職業訓練は、大変注目を集めています。選考試験に合格するために、職業訓練の倍率、試験内容やその難易度、試験対策を解説しています。