「免許がないと教員採用試験は受けれない…」と諦めかけの社会人の皆さんに朗報です。もちろん、免許があったことに越したことはありませんが、無くても教員になるルートは、存在しています。
今回は教員採用試験の社会人枠について徹底解説します。受験方法や社会人から取得できる3つの免許の種類、教員免許がない社会人が教員になる4つの方法など、ブログをご利用くださってる多くの方のご意見を参考にまとめました。
教員採用試験の社会人枠ってあるの?
教員採用試験とは学校で働くために、大学で教職課程を履修するなど教員免許を持っている人が受ける試験です。教員採用試験には社会人枠として特別選考が設けられています。
民間企業などで培った社会人経験を生かして受験できることから、社会人から教員へ転職を希望する方に注目を浴びています。
特別選考を受験する
教員採用試験では民間企業などの正社員として働いていた方を対象とした社会人枠「特別選考」があります。民間企業などの経験者は、以下も対象です。
- 講師
- NPO法人
- 官公庁
- 青年海外協力隊
上記で勤務経験があるなら、教員免許状の有無は問われません。
ただし、教員免許状がなくても受験できる特別選考を実施しているのは2023年時点で奈良県と香川県、島根県(高等学校の工業に限る)のみです。合格後、2年以内に教員免許の取得見込みであれば受験できます。
試験は小論文・面接試験がメインですが、筆記試験を実施する自治体もあり、受験資格も自治体で異なるため、募集要項を確認しておきましょう。
社会人経験年数や指定資格の保有で一部試験免除となる
民間企業など経験の特別選考では、勤続年数や指定された資格を持っている場合、一部試験が免除になります。たとえば民間企業の正社員、または官公庁などの正規職員として、勤続年数3~5年以上を在籍証明書の提示で確認できる場合、第1次試験の筆記試験のうち、教職専門の試験が免除されるなどです。「小論文」に替えられる自治体もあります。
私立学校の教員適性検査を受ける
現在教員免許状を持っていなくても、取得見込みであれば私立学校の教員適性検査を受検できます。各学校で実施される「私立学校教員適性検査」に合格することで、教員として働くことが可能です。ただし、通常の授業を行うには教員免許は必要なため、適性検査合格後に取得しなければなりません。
適性検査の内容は、公立学校の教員採用試験の1次試験と似ており、しっかりとした対策が必要です。また、適性検査は学校ごとに試験日が異なります。働きたい学校のホームページで募集状況を確認してください。
教育職員検定を受けて特別非常勤講師として働く
教員免許を持たない社会人が教員になるには、教育職員検定に合格して特別免許状を取得することで特別非常勤講師として働くことが可能です。特別非常勤講師になれば、公立学校(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)の教科を担当できます。
担当領域 | 職業・専門分野 |
医学・看護 | 医師、看護師など |
情報 | プログラマーなど |
野外体験活動 | 農家、造園業など |
競技スポーツ | 元プロ野球選手など |
家庭科教育 | 調理師、栄養士など |
その他 | NPO法人代表、CGクリエイターなど |
専門分野に関する知識や技術を持っている社会人には、大きなメリットがあるでしょう。
ただし、特別非常勤講師は授業数によって給与が決まるため、正規職員よりも給与や待遇面はあまりよくありません。しかし、Wワークは可能なため、現職を続けながら特別非常勤講師として働くことはできます。
社会人枠で受験するために教員免許を取る方法
教員採用試験の社会人枠で受験するには、教員免許状がなければ、受験できる自治体が限られます。志望している自治体で教員として働くために、教員免許状を取得しておきたい方もいるでしょう。社会人が教員免許を取るための方法について解説します。
普通免許状を取得する
普通免許状は大学の教育課程を履修することで取れる免許状です。普通免許状でも単位数や学位で種類が異なります。
学校種 | 免許状 | 教えられる学校 |
短期大学 | 二種免許状 | 小学校・幼稚園、特別支援学校のみ |
大学 | 一種免許状 | 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校 |
大学院 | 専修免許状 |
特別支援学校も二種・一種・専修免許状がありますが、一種免許状を持つには二種免許状での在職経験が3年、かつ認定講習などを受けて単位の修得が必要です。普通免許状を取るためには大学や専門学校などで学ばなくてはなりません。
特別免許状を取得する
特別免許状は、すぐれた知識と経験を持つ社会人が「教育職員検定」を受けて合格することで授与される免許状です。小学校・中学校・高等学校の全教科が対象のため、専門分野の教科の免許状を受けられます。
教員免許状を持つ教員と同じように授業を行えるだけではなく、特別活動などの教科外の活動も担えるため、生徒としっかりかかわりながら教員として働くことが可能です。
幼稚園教員の免許状はもらえませんし、社会人経験を生かした専門分野に限られるため、クラス担任を受け持つことはできません。
以前は10年間の有効期限がありましたが、2000年の法改正により特別免許状を持ち在職期間が3年以上+所定単位の修得により普通免許状を取得できるようになっています。
臨時免許状を取得する
臨時免許状は学校で教員が不足した際に、普通免許状を持っていない者を教員として採用する際に、3年間の有効期限をもって例外的に授与される免許状です。都道府県教育委員会が実施する教育職員検定試験に合格しなければ、臨時免許状は授与されません。
教員免許が無いところから教員になる方法
教員免許がない状態から社会人が教員を目指すには、教職課程を履修できる大学へ通うか、特別免許状や教員資格認定試験の活用があげられます。それぞれ具体的な活用方法をご紹介します。
教職課程を履修できる大学へ編入する
教育課程を履修できる大学へ入学できれば、一種免許状の取得が可能です。文部科学省のホームページ「教員免許状を取得可能な大学等」で幼稚園・小学校・中学校・高等学校など学校種に応じた免許状が取得できる学校の一覧を見ることができます。
通学圏内で気になる大学があれば、編入制度の有無を大学のホームページで確認してみましょう。
大学によっては社会人編入試験を実施している大学がありますが、社会人編入試験を実施している大学は多くはありません。また毎年、募集があるわけでもないため、一般選考を受けることも検討しましょう。
大学の通信課程を受ける
大学の通信課程で普通免許状を取得できます。文部科学省のホームページによると2021年度に13の私立大学が通信課程を実施しています。取得できる免許状の種別は一種免許状と専修免許状です。
通信課程なら働きながらでも学べるため、勉強時間が大きく確保できない社会人にとってはメリットがあります。教員免許状を取得できる通信課程のある大学も、文部科学省の「教員免許状を取得可能な大学等」に掲載されていますので確認してみてください。
英語の資格を生かして特別非常勤講師を目指す
英語の教員を目指している方は、TOEICやTOEFLのスコアアップや英検の取得などで英語のスキルを生かした特別選考を受験できます。各英語の資格で求められる要件の例は以下になります。
- TOEIC730~900点以上
- TOEFL550点以上、CBT250点以上
- 高等学校英語・実用英語技能検定試験1級
- 長期留学経験者
- 英語を母国語とする者と同じような環境で英語を学んでおり指導ができる
- 英語を母国語とする者
- 外国語を使用した実務経験が10年以上
TOEICとTOEFLのスコアは自治体によって基準が異なるため確認してください。
教員資格認定試験を受験する
「教員資格認定試験」に合格すれば、教員採用試験の受験資格を得ることが可能です。合格後は、幼稚園・小学校・特別支援学校の公立学校3校種の教員として働ける二種免許状が授与されます。最終学歴が高卒や教職課程を履修できない大学を卒業しているなど、教員免許状を持っていない方で教員免許状を持っていない方が教員採用試験の一般選考を受けるためのステップとして活用できます。
教員資格認定試験は独立行政法人教職員支援機構によって運営されており、各教員資格認定の試験問題の閲覧が可能です。3つの学校種で共通している受験資格は以下のとおりです。
- 20歳以上
- 高校を卒業している人
- その他大学入学資格を持っている
各認定試験のなかでも「小学校教員資格認定試験」は、教員不足などをふまえてすぐれた社会人人材を確保するため、積極的に活用する方向で進んでいます。「教員になるには大学の教職課程を履修していないと無理だ」とあきらめていた社会人でも、教員への転職を目指せます。
当ブログでは、独学でも予備校のような学習が叶う決定版「要点解説講座」を取り扱っています。これまで蓄積した教員採用試験データから厳選した、最重要・頻出問題について、講師が音声で詳しく解説しています。一般教養・教職教養の200テクニックが身につくため、「この対策セットだけで合格できた!」「1テクニックの音声解説を5分以内に聴けるから、勉強のハードルが下がった!」と94.1%のお客様に満足いただいています。最小投資で志望自治体の傾向に合わせた対策ができる「自治体別・合格レベル問題集」も併せてご活用ください。
社会人の教員採用試験の採用倍率
文部科学省の「2022年度教員採用選考試験の実施状況調査」によると、公立学校の教員採用者のなかで社会人から教員として採用された方は全体の約3.6%と、かなり少ないことがわかります。
2022年度の公立小学校教員の採用試験の倍率が2.5倍と過去最低の数値を出したこともあり、教員の人材確保は急務です。各自治体では教員採用試験の社会人枠の拡充や、試験日を夏だけではなく、秋や冬にも実施するなどさまざまな方法で人材の確保に取り組んでいます。
狭き門を突破するために問題集で対策しよう
教員採用試験の社会人枠は、人物重視はもちろん、筆記試験の結果も合否の判定に利用されます。
社会人から教員に転職するなら弊社で取り扱っている「自治体別合格レベル問題集」がおすすめです。社会人でも勉強と仕事を無理なく両立できると好評いただいております。大学に入学して教育課程を履修されたい方は「大学・学部別対策問題集」で社会人編入受験を突破し、最短で免許取得のスタートを切りましょう。
教員採用試験の受験を決めたら、まず思い浮かぶハードルは筆記試験ですよね。以下の記事で、社会人が筆記試験を突破する対策方法を解説していますので、ぜひご覧ください。