職を探している方におすすめなのが、職業訓練です。訓練中は生活費が不安な方もいるでしょう。でもご安心を、職業訓練にはいくつか、支援制度があります。働く人が増えることは国にとっての喜び、皆さんを応援したいのです。
そこで今回は、2種の職業訓練の手当を受給できる条件などの情報をはじめ、選考試験対策4つのポイントまで解説します。
手当がもらえる職業訓練とは
職業訓練の目的は、離職者や求職者に専門のスキルや知識を身につけて就職につなげることです。しかし職業訓練をしている間の生活に不安がある方のために、手当(給付金)が受けられる制度があります。
手当があれば、生活費の心配をしないで職業訓練を受けられるでしょう。しかし、手当の支給には一定の条件が必要です。どのような条件を満たせば手当がもらえるのかについて説明しましょう。
職業訓練の種類
手当がもらえる職業訓練の説明をする前に、職業訓練にはどのようなものがあるのか確認しましょう。
職業訓練には大きく分けて国が支援しているものと、民間のものがあります。
国が推進しているハロートレーニングという職業訓練は基本的に無料で、公共職業訓練と求職者支援訓練の2つの種類があります。ここでは2つの種類の違いについてご紹介しましょう。
民間の職業訓練とは自発的にスキルや能力を高めるために専門学校などへ通うもので、有料です。
訓練の名称 | 訓練の対象者 | 訓練期間 | 費用 | 給付金 |
公共職業訓練 | 雇用保険を受給している方 | 3か月~2年 | 無料 | なし |
求職者支援訓練 | 雇用保険を受給してない方 | 2~6か月 | 無料 | あり(条件付) |
どちらの職業訓練も受講費用は無料です(テキスト代など除く)が、手当が支給されるのは求職者支援訓練だけです。
では、手当にはどのような種類があるのかを見ていきましょう。
求職者支援訓練の手当の種類
手当(給付金)には訓練の受講手当、通所手当、寄宿手当がありますので、それぞれの特徴と支給額について説明します。
手当の名称 | 手当の内容 | 支給額 |
訓練受講手当 | 訓練を受講している間、1か月ごとに支給 | 月額10万円 |
通所手当 | 訓練施設へ通所する定期乗車券などを支給 | 月4万2,500円(上限) |
寄宿手当 | 通所のためにアパートなどへ入居する費用を支給 | 月額1万700円 |
寄宿手当は、同居の配偶者や子、父母と別居する場合です。また通所のための往復所要時間が4時間以上、住所変更が必要、などハローワークが認める場合に支給されます。
手当を受けても生活費が不足する場合
給付金を受給しても生活費が不足する場合は、求職者支援資金融資の制度を利用して生活資金を借りることができます。
求職者支援資金融資 | |||
貸付額 | 対象者 | 担保・保証人 | 利率 |
月5万円(単身者) 月10万円(扶養家族) | ・職業訓練受講給付金を支給される方 ・融資要件確認書を受けた方 | なし | 2% |
対象者の融資要件確認書はハローワークで交付されます。おもな要件は、下記のとおりです。
- 貸付を希望する理由が正当である
- 貸付金を返済する意思がある
- 暴力団員ではない
申込手続きはハローワークで貸付要件の確認を行い、ハローワークが指定する金融機関(労働金庫)で行います。
公共職業訓練でもらえる手当
給付金を受けられるのは求職者支援訓練だけですが、公共職業訓練の場合は失業手当(雇用保険)を受けられます。
失業手当は労働者が失業した場合に生活および就職の促進のために設けられた制度で、ハローワークで手続きをします。
支給額は以下のとおりです。
手当の種類 | 支給額 |
基本手当 | 離職前の賃金に応じて支給額が変わる |
受講手当 | 日額500円(上限あり) |
通所手当 | 通所方法により支給額が変わる(上限あり) |
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求職者支援訓練手当の支給要件と手続
求職支援訓練を受講する方は誰でも手当を受けられるわけではなく、支給するための要件があります。支給要件のすべてをご紹介しましょう。
No. | 要件の内容 | 特記事項 |
要件1 | 本人収入が月8万円以下 | シフト制で働く場合は月12万円以下 |
要件2 | 世帯全体の収入が月25万円以下 | 令和5年3月末までは40万円以下 |
要件3 | 世帯全体の金融資産が300万円以下 | 世帯とは本人のほかに同居、生計を一つにする別居の配偶者、子、父母 |
要件4 | 現住地以外に土地・建物を所有しない | 現在すんでいる場所のみ所有を認める |
要件5 | 全ての訓練実施日に出席する | やむを得ない場合は8割以上の出席。欠席分は日割りで給付 |
要件6 | 世帯に同時に給付金を受ける者がいない | 世帯とは本人のほかに同居、生計を一つにする別居の配偶者、子、父母 |
要件7 | 過去3年以内に不正受給していない | 不正行為による特定の給金支給を受けたことがない |
以上の7つの要件をすべて満たしていれば支給の可能性がありますが、1つでも当てはまらないと支給されません。
内容の一部は、令和5年3月末までの特例となっているものもあるので、詳しくはハローワークで確認してください。
手当を受けながら職業訓練を受けるための手続
7つの要件を満たしていれば基本的に給付金を受けられますが、ここでは給付されるまでの流れをお伝えします。
手続のステップ | 手続きのやり方 |
STEP.1 | ハローワークで求職を申込み、職業相談をする |
STEP.2 | 職業訓練の受講を申し込む(受講と同時に給付金の審査を申請) |
STEP.3 | 選考試験(筆記・面接)を受験する |
STEP.4 | 合格したら職業訓練のコースを受講する |
STEP.5 | 月1回ハローワークで職業相談をうけ、給付金の申請をする |
ポイントは、ハローワークで求職を申し込み職業相談をしていることですが、訓練が必要だと認められないと選考試験を受けられません。
給付金を受けて訓練を受けられる対象者
給付金を受けながら訓練を受講できる方は、離職者と在職者で要件が異なりますのでご紹介します。給付金を受けずに訓練を受講する方についても触れています。
給付金を受けて職業訓練を受ける方 | |
離職者 | 雇用保険の適用がない方、フリーランス・自営業を廃業した方、雇用保険の受給が終了した方など |
在職者 | 一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職や社内で正社員への転換を目指す方など |
給付金を受けずに職業訓練を受ける方 | |
離職者 | 親や配偶者と同居して一定の収入がある方など(親と同居している学卒未就職の方も含む) |
在職者 | 働いていて一定の収入がある方など(フリーランスで働きながら正社員への転職を目指す目指す方も含む) |
職業訓練の選考試験に合格するポイント
公共職業訓練や求職者支援訓練にかかわらず、職業訓練を受けることでスキルが身につき資格取得にもつながり就職に有利になります。しかし職業訓練を受講するには、選考試験に合格しなければなりません。
選考試験はおもに筆記試験と面接試験で、とくに重要なのは面接試験です。面接官の前で失敗しないように、普段から社会人としてのマナーや服装に気をつけておく必要があります。
職業訓練の合格率
合格率は、各自治体の職業訓練校や選択したコースによって違ってきます。公共職業訓練と求職者支援訓練では、一般的に公共職業訓練の方が倍率は高い傾向です。
求職者支援訓練は定員割れの場合が多いですが、申込者全員が合格するわけではありません。いわゆる学校とは違って職業訓練をするので、やる気が感じられない場合や問題行動を起こしそうな場合は不合格になります。
志望動機の合格ポイント
職業訓練では志望動機がポイントとなります。面接官はまず志望動機を見ますので、書き方についてはとくに注意しましょう。
志望動機を書くときの3つのコツは下記のとおりです。
- 手書きで丁寧に書く
- 職業訓練を受講したい理由を書く
- 就職への意欲を書く
時間をかけて丁寧に手書きで書くのがポイントです。途中で破れたり字を間違ったりしたときは修正液を使わないで書き直した方がよいでしょう。
重要なのは受講理由と就職の意欲です。実際に就職活動で苦労した点などをアピールし、それを職業訓練の受講理由につなげてください。また職業訓練校は就職できる方を求めていることから、就職意欲のアピールは効果があります。
筆記試験の合格ポイント
筆記試験の内容は各職業訓練校によって違いますが、おおむね国語と数学から出題されます。詳しい内容は最寄りのハローワークや職業訓練校に問い合わせてください。
おもに出題されるのは国語と数学で、次のような設問が出題されます。
- 簡単な読み書き
- 文章問題
- 一般常識
- 計算問題
自治体によっては専用サイトに過去問を掲載しているところもあるので、チェックしてみる必要があるでしょう。
面接試験の合格ポイント
職業訓練の選考試験で重要なのは面接試験です。面接官が何を求めているのかを知ることがポイントになります。
面接官が確認したいポイントを挙げておきましょう。
- 意欲と熱意があるかどうか
- コミュニケーション力があるかどうか
- 訓練を受ける必要があるかどうか
意欲と熱意は就職に対するもので、受講希望者が雇用保険や給付金、資格の取得だけを目的としていないか面接官は見極めます。このような目的では選考試験は通りません。
面接官がよく質問する項目についても説明します。
- 職業訓練の志望動機
- 前職を辞めた理由
- 就職して具体的にやりたいこと
- 訓練を休まずに続けられるか
職業訓練の選考試験は面接で決まるといわれているため、就職への意欲、志望動機、具体的にやりたいことなどは事前によく考えておく必要があります。
職業訓練で手当をもらいながらスキルアップを目指そう!
2種類の職業訓練はどちらも無料で受講できます。求職者支援訓練は条件を満たすことで給付金を受けながら受講できます。スキルや資格があれば転職にも有利となるため、国が支援している職業訓練を利用しない手はありません。
職業訓練校を受験することが決まれば、以下の記事で対策を進めましょう。求職者が、受講料無料でさまざまな技能や技術を習得できる職業訓練は、大変注目を集めています。選考試験に合格するために、職業訓練の倍率、試験内容やその難易度、試験対策を解説しています。